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終章 ヒーローを支えるために
終章 ヒーローを支えるために
しおりを挟む魔王は、ヒーローによって倒された。
世界は救われた。
――結論としては、この二行があれば十分だろう。
俺としては、その後にもう一行――
そして助けられた俺は、ヒーローと結ばれた。
そう、付け加えたい所だったけれども。
そんな事実とは関係なく、世界は再び動き始めていた。
支配下から解放され、色を取り戻した世界には人が溢れ始める。
その中で、ユウは改めてより素晴らしいヒーローになるべく訓練を続けていた。
そして、俺は――
マンションの最上階、かつて魔王に囚われていた部屋へと足を運び本を広げる。
ユウをヒーローにするために、その資料にと常に持ち歩いていた重たい本。
ゆっくりと広げ、そこに記されている文字列を読み上げる。
「――お呼びでしょうか? 僕の世界――」
何処からともなく現れたのは、魔王だった。
ヒーローによって倒された筈の。
いや――魔王が倒されることによって、ヒーローはヒーローになったのだ。
だから、ヒーローには魔王が必要。
ユウには、魔王が必要……
だから、俺は呼び出した。
まさか俺が世界でそのまま魔王に浚われることになるなんて思わなかったけど。
結果は、全てオーライだった。
そして……
「ヒーローには、まだ魔王が必要なんだ」
全ては、ユウがヒーローになるために。
そのために、俺は何でもする。
俺にとって、ヒーローはユウだけだ。
ずっと、ユウの役に立ちたかった。
ユウのヒーローになる夢を支えたい――それが、俺の願いだから。
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