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47.寮にて

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「ふう、疲れたー」

自分に充てがわれた部屋に戻りベッドへダイブする。

「はぁ~」

最近、僕にとって寝床が一番安心する空間になりつつある。そして1人の時間になんとも言い難い幸福を感じることが多くなった。こっちに来る前は実家から学校まで遠く寮もなかったから近くのアパートに独り暮らしだった。その時はホームシック気味になったり、1人の時間を寂しく思うこともあったのに。こっちにきて一週間以上1人で歩いて普通なら人恋しくもなったりするだろうけどそうでもない。逆に耐性ができたようだった。

「僕も変わったなぁ」

こっちにきて一ヶ月が経とうとしている。いきなり環境が変わって、それに適応しようとすれば多少変わってしまっても不思議ではないのだろう。

「目指せアイソレ・・・」

やっぱりあまり変わってないのかもしれない。

「そういえば、ここにはお風呂があったはず」

こっちにきてから一度も入っていない。村に泊まっている時は水浴びをしていたし、道中は魔法の練習も兼ねて身体の表面に水の魔法を巡らせていたからあまり汚れてはいない。制服も然り、皺は寄ってしまっているが泥が跳ねたりしたら洗ったし、雨が降れば乾かしていた。だとしてもお風呂には入りたい。

「確か廊下の突き当たり・・・」

部屋を出て風呂場へと向かう。

「いや待て」

風呂場は一つしかない。即ち男女兼用、先に女性であるチャーノさんが入るために席を外したのならここで真っ直ぐ進むのは最良の選択とは言い難い。

「部屋にもど・・・」

待て待てそれでは入るタイミングがわからないじゃないか。しかし今時のラノベじゃあるまいし直進するわけにもいかない。ならば・・・

「ロベルトさんだな」

カールさんだとまたお酒を飲まされそう。一口飲んだけどあんなのガブガブ飲めるわけない。ロベルトさんなら話すついでに魔法の勉強もできそう。そう思い2号室へ向かう。風呂場から逆方向へ。コンコンとドアをノックする。

「マークか、いいぞ」

「失礼します」

ノックでわかるもんなんですね。てか部屋スゴッ!

「どうしたんだ?」

天井すれすれ、壁一面本棚。後は椅子とベッド。なんだかよくわからない箱が並んでいる。

「すまんな散らかっていて、あまり自室で時間を過ごすことがないからあまり片付いていないんだ」

「いえ、忙しいのにすみません。お風呂いただきたいんですけど」

「ああ、今はチャーノが入ってるな。もうすぐ上がって来ると思うから、ここで少し待ってろ」

やっぱりか。気づけてよかった。危うく大惨事になるとこだった。

「ついでに、それまで少し俺の暇つぶしに付き合ってくれないか?」

暇つぶし?

「ええ、構いません」

「すまんな。何か飲むか?」

ロベルトさんはよくわからない箱の一つに手を突っ込み液体の入ったビンとグラスを取り出す。

「いえ、お酒は苦手で・・・」

冷蔵庫みたいなものだろうか。

「やはりこの箱には驚かんか。ふむ」

「箱?もしかして魔導箱キューブってやつですか?そういえば、さっきチャーノさんに貰ったんですよ。掃除用のやつなんですけど」

「掃除用?あぁ、清空のことか。あれは掃除用なんかじゃないぞ」

へ?

「あれはもともと火山や活火山付近の洞窟なんかの有毒ガス発生地帯で行動する時に使うものだ」

「そうだったんですか・・・」

便利グッズみたいなものって考えてた自分が恥ずかしい。

「応用するにしても霧払いか気化生物を散らすぐらいだな」

「なんか、すごいですね。チャーノさん」

主に使い方が。

「話を戻すがお前にはこれが魔導箱に見えるのか?」

ロベルトさんは小型の冷蔵庫(のようなもの)をパンパンと叩いた。

「これは新開発の仮設型冷却機だ。同じ型の魔導装置はまだ実用段階の域を出ないはずだが…」

なんかとんでもないものみたいです。でもイマイチよくわからない。

「あまり詳しくないので、違うんですか?」

「これは少し説明した方がいいな」

はい?
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