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22.世にも奇妙な脅迫

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思い切って聞いてみるか。

「あのルミーナさんは僕を脅してるんですか?」

「はい、そうですよ」

「ハイ!?」

ナンダッテイ?

「実は貴方に興味がありまして、少し私のお願いを聞いて頂ければ嬉しいのですが」

ルミーナさんはニコニコしながらも、淡々と言う。

「いや、ニコニコしながら言われても・・・」

「別に無理なお願いは致しませんよ。まず一つ」

そう言うとルミーナさんは僕の鞄を指差す。

「そこにある物を見せて頂いてもよろしいですか?」

「え?あっ、はい」

鞄を手渡すと、ルミーナさんはガサゴソとあさり始めた。鞄に入ってるのは魔導球元スマホとメンヴィルハイムの残り、あとは竜に貰った鱗なんだけど。まぁ、ある意味全部珍しいものかも。

「どうして貴方がこれを?」

ルミーナさんは鱗が入った小袋を手に取り、僕に問いかける。

「貰ったんです、竜に」

「それは、凄いですね」

言葉とは裏腹に驚いた様子は微塵もない。

「何故でしょう?」

・・・この人、全部喋らせる気だ。



「成る程、異世界ですか・・・」

ルミーナさんは何か考えている様だ。

「どんだけ喋らせるんですか・・・」

かれこれニ時間は話しただろうか。窓も時計もないから体感的に、だけど。あの竜といい、異世界の人は途中の関係ない話まで突っ込んで来るから話がなかなか進まない。

出して貰った飲み物に口をつける。

甘酸っぱいて美味しい。おまけにいつまで経ってもぬるくならないからすごくいい。コップに何か仕掛けがあるのかな?

「私の気が済むまで、です。あとそれが冷たいのはコップに冷気の魔石が使われているからです。なかなか珍しいんですよ」

だからなんで分かるんだよ・・・

「顔に書いてあるからです」

「はぁ」

ダメだ、理解できない。

「それより、よくあの樹海を踏破しましたね。流石は異界から来ただけの事はあります」

「いや、それは、加護というかそんな感じの力を貰ったんで来れたんです」

加護というよりはオマケみたいな感じだったけど。

「成る程、面白い・・・」

「そんな目で見られても困ります」

まるで珍しい物でも見ている様な、なんだろうか?

「もしかすると貴方のいた世界は魔法や魔力といったモノがなかったりしませんか?」

「そうですけど」

「やはり・・・いや、そうなると先程仰った”ひこうき”や”しんかんせん”といったものは非常に高度な技術が用いられていると考えられますね」

「まぁ、そうですね。でもどうして魔法が存在しないと分かったんですか?」

「う~ん、どうしてか説明してもきっとキョトンとされるだけでしょうし・・・」

全くもって同感。答えだけ言われても多分理解できない。

「貴方は異界から来たばかりなので、こちらの常識が分からないでしょうから、簡単に説明して差し上げます」

「それはありがたいんですが・・・本当に簡単でいいですからね」

それから二時間みっちりこの世界の魔法について説明されるのだった。
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