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第三章
第19話『接敵、ソルジャーラット』
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康太がソルジャーラットと接触して、ここまで連れてくる手はずとなっている。
会議を経て、立ち回りはある程度決まった。
まず初めに前衛。守結と桐吾は遊撃。
次に後衛。プリーストである美咲を中央に、右に彩夏、左に幸恵を配置して扇状の陣形。
僕は後衛の遊撃といった立ち位置で、指示を出す司令塔になることが決まった。
エリアボス、ソルジャーラットは基本的に単独で行動しない。その周りには必ず同種族の下級モンスター二体が護衛するかのように同行している。
それだけではない。その取り巻きを討伐したところで、不定期なタイミングでどこからか合流を果たすべく同種族のモンスターが加勢にくる。
なので、一気に3体を相手するにはかなり骨が折れてしまうため、遊撃の2人が取り巻きの相手をして、その援護を後衛2人が担う。
その間に康太がソルジャーラットのヘイトを管理して、僕と美咲で回復する。といった戦術になっている。
「よしみんな、そろそろ康太が戻ってくる。陣形や戦術自体は大丈夫だと思うけど、気を抜かずにいこう」
「う、うん。焦って回復しないように気を付けなくっちゃ」
「私も、ちょっと緊張してきたかも」
「私はやる気満々になってきたよー!」
「そこまで気を気負わずに。僕たちで勝ちを掴み取ろう」
深呼吸を繰り返す美咲と彩夏を元気づけるかのように、幸恵が元気を振り撒いている。
後衛は今回の戦闘でかなり緊張感しているように見える。
今までの戦闘では、モンスターのヘイトが後衛に向いたとしても、容易に対処できた。
でも今回は……下手な戦い方をしてしまうと、そのままパーティが壊滅する危険性がある。
「よぉーし、張り切っていきましょーっ」
「あはは、守結さんがいるだけで勇気付けられますね」
「おおー? なになに、褒めてくれるのー?」
元気溌剌な守結にバシバシと背中を叩かれている桐吾。2人はこの緊張する空気に飲まれず仲良くやっているようだ。あんな風にみえても、たぶん2人も緊張していると思う。みんなと変わらずに僕だってそうだ。
たかが授業。気楽にやればいいとはわかっていても、初見の強敵が相手。しかも初パーティで挑むことに緊張しないわけがない。
でも、こんな状況でもやることはやらないといけない。
攻撃上昇【オフェイズ】、防御上昇【ディフェイズ】、ダメージ軽減【ハーネス】、速度上昇【ムーブサポート】をこの場にいる全員に再度付与して、康太の到着を待つ。
「っしゃぁー、来たぞー!」
――声の方にみんなの視線が集まった。
そこには、脇目を振らずに「うおおお!」と大声を出しながらこちらに走ってくる康太の姿があった。
「取り巻きは、僕たちが!」
「いっくよーんっ」
手はず通りに、前衛2人が真っ先に飛び出していった。
それに反応したソードラット二体と交戦状態になって、出だしは好調。
それを確認した彩夏と幸恵は、
「いくよー、【ファイアーボール】!」
「私もー! 【ファイアタァン】!」
各々が得意な、方向型の炎魔法スキル、位置型の炎魔法スキルを使用。
【ファイアーボール】はモンスターに直撃して破裂。
【ファイアタァン】は地面から炎が腰ぐらいの高さまで噴き出した。
各魔法は、正確に発動されていてダメージを負わせることに成功している。
「っしゃぁ! かかってこいや!」
康太が自分を鼓舞している。
それもそうだ。観測当初は、若干の距離があったから予想でしかなかった身長が、今康太の目の前にいるのは、目線と同じ高さぐらいはある。
しかも今までより格段と強い。一切気を抜いてはいけない。
「【フィジックバリア】! 康太! そのまま、防御と回避に専念して!」
「【ヒー】――」
「待って美咲、焦らないで。回復はまだ大丈夫」
「う――うん、わ、わかった」
「落ち着いて――僕たちは、他の誰よりも冷静でいないといけない。深呼吸して美咲――落ち着いていこう」
「――うんっ」
美咲は杖を持つ手を細かく震わせている。その姿を見て、僕は他人事としてみることができなかった。『みんなが頑張っているから、自分も何かをしなくちゃいけない』。そんな焦りや使命感が、体に現れてしまっている。
その気持ち……僕は痛いほどわかる。
でも僕たち支援役は、パーティにとって一番大事な立ち位置。成功するか失敗するか、それは僕たちの行動にかかっているといっても過言ではない。
しっかりと戦況を見渡そう――この戦いは、まだ始まったばかりだ。
会議を経て、立ち回りはある程度決まった。
まず初めに前衛。守結と桐吾は遊撃。
次に後衛。プリーストである美咲を中央に、右に彩夏、左に幸恵を配置して扇状の陣形。
僕は後衛の遊撃といった立ち位置で、指示を出す司令塔になることが決まった。
エリアボス、ソルジャーラットは基本的に単独で行動しない。その周りには必ず同種族の下級モンスター二体が護衛するかのように同行している。
それだけではない。その取り巻きを討伐したところで、不定期なタイミングでどこからか合流を果たすべく同種族のモンスターが加勢にくる。
なので、一気に3体を相手するにはかなり骨が折れてしまうため、遊撃の2人が取り巻きの相手をして、その援護を後衛2人が担う。
その間に康太がソルジャーラットのヘイトを管理して、僕と美咲で回復する。といった戦術になっている。
「よしみんな、そろそろ康太が戻ってくる。陣形や戦術自体は大丈夫だと思うけど、気を抜かずにいこう」
「う、うん。焦って回復しないように気を付けなくっちゃ」
「私も、ちょっと緊張してきたかも」
「私はやる気満々になってきたよー!」
「そこまで気を気負わずに。僕たちで勝ちを掴み取ろう」
深呼吸を繰り返す美咲と彩夏を元気づけるかのように、幸恵が元気を振り撒いている。
後衛は今回の戦闘でかなり緊張感しているように見える。
今までの戦闘では、モンスターのヘイトが後衛に向いたとしても、容易に対処できた。
でも今回は……下手な戦い方をしてしまうと、そのままパーティが壊滅する危険性がある。
「よぉーし、張り切っていきましょーっ」
「あはは、守結さんがいるだけで勇気付けられますね」
「おおー? なになに、褒めてくれるのー?」
元気溌剌な守結にバシバシと背中を叩かれている桐吾。2人はこの緊張する空気に飲まれず仲良くやっているようだ。あんな風にみえても、たぶん2人も緊張していると思う。みんなと変わらずに僕だってそうだ。
たかが授業。気楽にやればいいとはわかっていても、初見の強敵が相手。しかも初パーティで挑むことに緊張しないわけがない。
でも、こんな状況でもやることはやらないといけない。
攻撃上昇【オフェイズ】、防御上昇【ディフェイズ】、ダメージ軽減【ハーネス】、速度上昇【ムーブサポート】をこの場にいる全員に再度付与して、康太の到着を待つ。
「っしゃぁー、来たぞー!」
――声の方にみんなの視線が集まった。
そこには、脇目を振らずに「うおおお!」と大声を出しながらこちらに走ってくる康太の姿があった。
「取り巻きは、僕たちが!」
「いっくよーんっ」
手はず通りに、前衛2人が真っ先に飛び出していった。
それに反応したソードラット二体と交戦状態になって、出だしは好調。
それを確認した彩夏と幸恵は、
「いくよー、【ファイアーボール】!」
「私もー! 【ファイアタァン】!」
各々が得意な、方向型の炎魔法スキル、位置型の炎魔法スキルを使用。
【ファイアーボール】はモンスターに直撃して破裂。
【ファイアタァン】は地面から炎が腰ぐらいの高さまで噴き出した。
各魔法は、正確に発動されていてダメージを負わせることに成功している。
「っしゃぁ! かかってこいや!」
康太が自分を鼓舞している。
それもそうだ。観測当初は、若干の距離があったから予想でしかなかった身長が、今康太の目の前にいるのは、目線と同じ高さぐらいはある。
しかも今までより格段と強い。一切気を抜いてはいけない。
「【フィジックバリア】! 康太! そのまま、防御と回避に専念して!」
「【ヒー】――」
「待って美咲、焦らないで。回復はまだ大丈夫」
「う――うん、わ、わかった」
「落ち着いて――僕たちは、他の誰よりも冷静でいないといけない。深呼吸して美咲――落ち着いていこう」
「――うんっ」
美咲は杖を持つ手を細かく震わせている。その姿を見て、僕は他人事としてみることができなかった。『みんなが頑張っているから、自分も何かをしなくちゃいけない』。そんな焦りや使命感が、体に現れてしまっている。
その気持ち……僕は痛いほどわかる。
でも僕たち支援役は、パーティにとって一番大事な立ち位置。成功するか失敗するか、それは僕たちの行動にかかっているといっても過言ではない。
しっかりと戦況を見渡そう――この戦いは、まだ始まったばかりだ。
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