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今晩は
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「皿は俺が洗うよ。テレビでも見ててよ」
「ホントに!? じゃあ、お言葉に甘えちゃおうかな」
皿を洗いながらふと考えた。リサとの共同生活はまだ始まったばかり。相手は人間ではない。だが、人間とほとんど変わらない。
今後、どうやって接して行けばいいのか決めあぐねている。
もう少しで洗い物が終わところで、リサがリビングからこちらに呼びかけてきた。
「ねーえー、早く早くっ。一緒にネットショッピングしようよー」
「はいよー、すぐ行くー」
俺はタオルで手を拭き、リビングへと向かった。
リサはソファーでクッションを抱きしめ横になり寛いでる。そんなことは気にせず、隣に腰を落としリモコンを操作し始めた。
俺が座った途端、リサはバッと体を起こし、体を密着させてきた。
「リサ、距離感近くない?」
「そーかなー、気のせい気のせい、さあ、レッツショッピングー!」
こちらの心情など無視し、拳を突き出しノリノリのご様子だ。
「まずは、リサの服だな。部屋着は今の俺のを使えるとしても、外出用に何着か買うか」
「いいねいいね! 部屋着はこの先も文哉のやつで大丈夫だよ?」
「うん、まあそうだな? んで、どんなのがほしいの?」
「んー」
リサは顎に手を当て、考え始めたがすぐに辞め答えを出した。
「文哉が決めてっ」
こちらに向かいウインクをするリサ。
「流石に全任せはやめてくれよ? 好みぐらいはあるだろうからさ」
「うーん、確かに、全任せは酷だよね。わかった、一緒に考えよー!」
◇◇◇
「よし、購入完了っと。平日に届くからリサ、頼んだ」
「はいはーい、お任せあれ!」
「そろそろお風呂にするかー。リサはどうする?」
「ん――え、ちょ、ちょーっと……え、えっと、そういうのはまだ恥ずかしいと言うか……でも、文哉がどうしてもって言うなら、考えなくもないというか――」
リサは、わけのわからないことを言いながらモジモジしている。俺が風呂に入るのに何か不都合なことでもあるのか? リサの反応の意味を考えていると――その意味に気づいてしまった。
「わかった、私がんば――」
「あっ! 悪い! そう意味じゃないんだ」
「……へぇ?」
「俺の聞き方が悪かったごめん。俺は、一人で入るから、リサも入るなら俺があがった後で大丈夫だよ」
「――んーっもーう!」
顔を赤らめ頬を膨らませている。鮹のようになったリサを直視すると吹き出しそうになるため、すぐに目線を逸らした。
「そ、それじゃあお先に――」
背後でリサがどのような表情になっているのか気になったが、俺は自分の用を済ませこの場を去った。
◇◇◇
夜も更け、気づけば23時を過ぎていた。寝支度をしていると、俺はふと疑問に思った。
「いつもだと、立ったまま休息モードに移行できたんだけど、リサは寝る時どうするんだ?」
「えー、立ったままとか寝たくないよー」
「んー、でもベッドは一つだしなぁ」
「いーじゃんそれ採用! 文哉、一緒に寝ようよ――だめ……かな?」
顔の前で両手指を合わせ上目遣いで聞いてくるリサに、俺は直視できず目線を逸らし、頬を指で掻きながら承諾した。
答えを聞いたリサは、はしゃいで喜び始めた。こんな時間だと言うのに子供みたいな様子に俺もつい笑顔になっていた。
俺は既にリサとの付き合い方に気づいていたのかもしれない。
特に意識する必要なんてない。ありのままに自分を曝け出し、同じ人間として接する。何も難しくない簡単なことだ。気づけば心の中で渦巻いていた靄は晴れ、肩の荷が下りた気分になっていた。
「ホントに!? じゃあ、お言葉に甘えちゃおうかな」
皿を洗いながらふと考えた。リサとの共同生活はまだ始まったばかり。相手は人間ではない。だが、人間とほとんど変わらない。
今後、どうやって接して行けばいいのか決めあぐねている。
もう少しで洗い物が終わところで、リサがリビングからこちらに呼びかけてきた。
「ねーえー、早く早くっ。一緒にネットショッピングしようよー」
「はいよー、すぐ行くー」
俺はタオルで手を拭き、リビングへと向かった。
リサはソファーでクッションを抱きしめ横になり寛いでる。そんなことは気にせず、隣に腰を落としリモコンを操作し始めた。
俺が座った途端、リサはバッと体を起こし、体を密着させてきた。
「リサ、距離感近くない?」
「そーかなー、気のせい気のせい、さあ、レッツショッピングー!」
こちらの心情など無視し、拳を突き出しノリノリのご様子だ。
「まずは、リサの服だな。部屋着は今の俺のを使えるとしても、外出用に何着か買うか」
「いいねいいね! 部屋着はこの先も文哉のやつで大丈夫だよ?」
「うん、まあそうだな? んで、どんなのがほしいの?」
「んー」
リサは顎に手を当て、考え始めたがすぐに辞め答えを出した。
「文哉が決めてっ」
こちらに向かいウインクをするリサ。
「流石に全任せはやめてくれよ? 好みぐらいはあるだろうからさ」
「うーん、確かに、全任せは酷だよね。わかった、一緒に考えよー!」
◇◇◇
「よし、購入完了っと。平日に届くからリサ、頼んだ」
「はいはーい、お任せあれ!」
「そろそろお風呂にするかー。リサはどうする?」
「ん――え、ちょ、ちょーっと……え、えっと、そういうのはまだ恥ずかしいと言うか……でも、文哉がどうしてもって言うなら、考えなくもないというか――」
リサは、わけのわからないことを言いながらモジモジしている。俺が風呂に入るのに何か不都合なことでもあるのか? リサの反応の意味を考えていると――その意味に気づいてしまった。
「わかった、私がんば――」
「あっ! 悪い! そう意味じゃないんだ」
「……へぇ?」
「俺の聞き方が悪かったごめん。俺は、一人で入るから、リサも入るなら俺があがった後で大丈夫だよ」
「――んーっもーう!」
顔を赤らめ頬を膨らませている。鮹のようになったリサを直視すると吹き出しそうになるため、すぐに目線を逸らした。
「そ、それじゃあお先に――」
背後でリサがどのような表情になっているのか気になったが、俺は自分の用を済ませこの場を去った。
◇◇◇
夜も更け、気づけば23時を過ぎていた。寝支度をしていると、俺はふと疑問に思った。
「いつもだと、立ったまま休息モードに移行できたんだけど、リサは寝る時どうするんだ?」
「えー、立ったままとか寝たくないよー」
「んー、でもベッドは一つだしなぁ」
「いーじゃんそれ採用! 文哉、一緒に寝ようよ――だめ……かな?」
顔の前で両手指を合わせ上目遣いで聞いてくるリサに、俺は直視できず目線を逸らし、頬を指で掻きながら承諾した。
答えを聞いたリサは、はしゃいで喜び始めた。こんな時間だと言うのに子供みたいな様子に俺もつい笑顔になっていた。
俺は既にリサとの付き合い方に気づいていたのかもしれない。
特に意識する必要なんてない。ありのままに自分を曝け出し、同じ人間として接する。何も難しくない簡単なことだ。気づけば心の中で渦巻いていた靄は晴れ、肩の荷が下りた気分になっていた。
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