The Last Word~ノークスの手記(千年放浪記完結編)

しらき

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追うは先人、世界の謎

ヴァッフェル王国にて

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 それにしてもここは一体どこなのだろう。一見中世風の街並みだが、あちこちにテクノロジーの産物が見られる。人々の雰囲気は私が元いた世界と変わらないようだが…いや、観察だけじゃ得られる情報に限りがある。まずはこの世界にある程度詳しそうで突然声をかけてきた異邦人を無下にしないような…というのは高望みし過ぎか。そうだな、あの陽気そうな役人にでも声をかけてみようか。
「Excuse me,私は旅の者なのだが…」
「…!その言葉、もしかして君も仲間かい!?」
「…仲間?一体どういう…」
「ああ、ごめんね。ヴァッフェル王国でgiapponeseやtedescoが使われているくらいだしどこかにlingua ingleseを話す人たちがいてもおかしくはないか…」
「Italianか…?しかし日本語も通じているようだしこの国の共通語は何語なんだ…?」
いや仮にファンタジーの世界なら言語が混ざっていたり欧風の街で何故か日本語が通じてもおかしなことはない。そういう風に出来ているからだ。しかしこの人物も私が英語を話せることに驚いているようだが…”仲間”という発言…それに英語を知っている…
「まさかあなたも元々はこの世界の住人ではなかったのだろうか?」
「そのセリフ…君も地球の人間だね?」
「ああ…。ってことはここは地球じゃないのか?」
「地球は地球だけど裏地球という場所らしい。ちなみにおれたちがいたところはこっちでは表地球と呼ばれてる。」
「裏地球…」
驚いた、地球には裏表があったのか。そして私以外にも転移者がいる…。そもそもこちらの世界で”裏地球”、”表地球”という言葉が普通に存在しているということは我々”表”の者はこの世界のことを知らないのに対し、こちらでは我々の世界は一般的に知られているということか。その点は私が今まで読んだり書いたりしてきたファンタジー小説とは勝手が違うな。
「…君、面白いね。おれや姉さん、それに同じ表出身のロンは知らない世界に来てしまったと知った時にはひどくうろたえたのに、そんな冷静に思考を巡らせることができるなんて。度胸があるのか、それとも頭がいいのかな。」
「…いや、私は人一倍好奇心が旺盛なだけだろう。元々知らない世界に来てしまったとわかった時から困惑より期待の方が大きかった。向こうではそう楽しいこともなかったしな。だがここと元いた場所…表地球だったか、が全く無関係の異世界ではないという可能性を知ってさらにワクワクしているんだ。」
「ワクワクか…。やっぱ君は只者じゃないね。ここと向こうの関係なんて考えたことなかった…。おっと、それよりとりあえずこの国について紹介した方がいいかな?」
「ああ、お願いしたいな。それと既にあれこれ話し込んでしまったが、まだ名乗っていなかった無礼をお詫びしたい。私はコウ・ノークスだ。」
「おれはマルコ。一応言っておくとおれの出身はVenezia、水の都だよ♪」
「ヴェネツィアか…私も一度行ったことがあるが、いいところだった。ところであなたはどこへ向かおうとしているんだ?」
「どうせなら他の表地球仲間にも会いたいでしょ?ここで立ち話もなんだし、おれの友達がやっているカフェが近くにあるからさ。」
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