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崩壊、閉幕の前に
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崩壊、閉幕の前に
「久しぶりだな。…なんだ、再会を喜ぶ余裕はなさそうだな。」
「師匠!いつ帰ってきたのですか!」
「俺が大好きな科学技術の気配を感じたから、な。」
師匠こと新井和彦は最強の剣豪と噂される人物で俺に1人で生きるための術を教えてくれた。好奇心旺盛で各地を放浪している。人物と言ったが正確には半人半妖で恐らく100歳は超えている。新しいもの、特に科学が好きといった点妖怪としては異端な存在だ。
「しかし御存じないでしょうけどまた新技術の芽は…」
「聖電鉄の件だろ?社長が心臓を一刺しされて死亡。人を操る妖術ってのは恐ろしいものだ。」
「妖術…!?てっきりアンチが紛れ込んだのかと…」
「ああ、そうだ。社員が操られたわけではない。元々操られているやつが入り込んだだけだ。反対派だけじゃあない、聖教だかなんかの信者たちも奴の手先だったわけさ。」
「奴とは…?」
「石野櫻。またの名を御影石桜花の怪。装飾品など石を用いたものを介して人を操る厄介な妖怪だ。気に入らないもの…、特に科学技術などを排除するために動いているようだ。」
「まさかこの間会ったやつが…」
「石野に会ったのか!?」
「ああ、恐らく。和装で、男だか女だかわからない、というか人間離れしたような見た目で…科学技術を嫌っているようだった。」
「それは石野だ。…マズい、お前には接触させたくなかったのだが。」
「何故です。」
「あいつは秩序を何よりも大事にする。不老不死なんて自然界の掟に反した体質のお前を放ってはおかないだろう。」
「しかし俺だってそんなやつに負けるほど弱くは…」
「あれは自分の手は汚さない。聖電鉄の件だってそうだったろう?」
「確かに…。」
「とにかく石野に洗脳された人々のことは俺に任せろ。聖電鉄にはこれからも頑張って欲しいんだ。お前がもう1人の黒幕を処理してこい。」
「もう1人の黒幕…?それは誰なんですか。」
「“家”に帰ればわかることさ。まったく、とんだ女狐がいたもんだぜ。」
「まさかあんたが黒幕だったとはな。」
「あら、なんのことかしら。今忙しいの。悪いけど千坊だとしてもお相手できないわよ。」
「あれだけ支援していた聖電鉄を潰すための手続きに追われているってか?」
「…聖社長を始末した今、彼らは勝手に潰れるわよ。」
「始末だと!?ふざけるな!表向きは近代化政策を掲げておきながら裏では妖怪共と手を組んで…あんたの目的はなんだ!」
「別に何もないわ。石野さんたちと協調関係を築けば一生安泰だったってだけよ。」
「そのために…そんなことのために聖は…!」
「不老不死のくせに庶民の命を気にかけるのね。面白い子。」
「なっ…!」
「総理大臣の私がよくわからない孤児を拾うだなんておかしいと思わなかったの?石野さんから与えられた条件は指定された企業を膨張させ自滅させることだけではないわ。あなたの観察、あわよくば始末。それも私に与えられた任務よ。」
怒りだけでこの国のトップを殺すわけにはいかない。だが、こいつを生かしておくことで俺自身にも危険が及ぶなら話は別だ。元々人間的には好きではなかったがこの国の発展に向けた思いもフェイクならば…いくらSPを呼んでもらっても構わない。俺の力ならこの建物ごと消し去ることができる…!
「やっぱり俺は人間が嫌いだっ…!」
「久しぶりだな。…なんだ、再会を喜ぶ余裕はなさそうだな。」
「師匠!いつ帰ってきたのですか!」
「俺が大好きな科学技術の気配を感じたから、な。」
師匠こと新井和彦は最強の剣豪と噂される人物で俺に1人で生きるための術を教えてくれた。好奇心旺盛で各地を放浪している。人物と言ったが正確には半人半妖で恐らく100歳は超えている。新しいもの、特に科学が好きといった点妖怪としては異端な存在だ。
「しかし御存じないでしょうけどまた新技術の芽は…」
「聖電鉄の件だろ?社長が心臓を一刺しされて死亡。人を操る妖術ってのは恐ろしいものだ。」
「妖術…!?てっきりアンチが紛れ込んだのかと…」
「ああ、そうだ。社員が操られたわけではない。元々操られているやつが入り込んだだけだ。反対派だけじゃあない、聖教だかなんかの信者たちも奴の手先だったわけさ。」
「奴とは…?」
「石野櫻。またの名を御影石桜花の怪。装飾品など石を用いたものを介して人を操る厄介な妖怪だ。気に入らないもの…、特に科学技術などを排除するために動いているようだ。」
「まさかこの間会ったやつが…」
「石野に会ったのか!?」
「ああ、恐らく。和装で、男だか女だかわからない、というか人間離れしたような見た目で…科学技術を嫌っているようだった。」
「それは石野だ。…マズい、お前には接触させたくなかったのだが。」
「何故です。」
「あいつは秩序を何よりも大事にする。不老不死なんて自然界の掟に反した体質のお前を放ってはおかないだろう。」
「しかし俺だってそんなやつに負けるほど弱くは…」
「あれは自分の手は汚さない。聖電鉄の件だってそうだったろう?」
「確かに…。」
「とにかく石野に洗脳された人々のことは俺に任せろ。聖電鉄にはこれからも頑張って欲しいんだ。お前がもう1人の黒幕を処理してこい。」
「もう1人の黒幕…?それは誰なんですか。」
「“家”に帰ればわかることさ。まったく、とんだ女狐がいたもんだぜ。」
「まさかあんたが黒幕だったとはな。」
「あら、なんのことかしら。今忙しいの。悪いけど千坊だとしてもお相手できないわよ。」
「あれだけ支援していた聖電鉄を潰すための手続きに追われているってか?」
「…聖社長を始末した今、彼らは勝手に潰れるわよ。」
「始末だと!?ふざけるな!表向きは近代化政策を掲げておきながら裏では妖怪共と手を組んで…あんたの目的はなんだ!」
「別に何もないわ。石野さんたちと協調関係を築けば一生安泰だったってだけよ。」
「そのために…そんなことのために聖は…!」
「不老不死のくせに庶民の命を気にかけるのね。面白い子。」
「なっ…!」
「総理大臣の私がよくわからない孤児を拾うだなんておかしいと思わなかったの?石野さんから与えられた条件は指定された企業を膨張させ自滅させることだけではないわ。あなたの観察、あわよくば始末。それも私に与えられた任務よ。」
怒りだけでこの国のトップを殺すわけにはいかない。だが、こいつを生かしておくことで俺自身にも危険が及ぶなら話は別だ。元々人間的には好きではなかったがこの国の発展に向けた思いもフェイクならば…いくらSPを呼んでもらっても構わない。俺の力ならこの建物ごと消し去ることができる…!
「やっぱり俺は人間が嫌いだっ…!」
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