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終幕

永遠の観測者たち

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永遠の観測者たち
 「なあ、おい白城、置いていくなよ。指食ったのは悪かったからさぁ。」
俺は今あの丘の上にいる。そう、あの時剣崎が帰還したレオナルド・ダ・ヴィンチを見つけた丘だ。
「あー、やっと追いついた…って何だこりゃ。」
「慰霊碑だよ。そうは見えないか。」
「いや、こんなすごいのここにあったっけ?」
「簡素なものだが俺が作った。」
「いやいやいや、全然簡素じゃない!お前1人で作ったとは思えない出来だ!」
「とはいえこれだって永遠には残らない。流石に木材以外の材料は調達出来なかったからな。」
「そりゃお前が死ぬまでって言ったら石でももたないぜ。」
「まあ、木でもお前が16になるまではもつか。」
「えっ俺不老不死になったんじゃないの?」
「あの量じゃ50年くらいだな。」
「えっ、これ50年ももつ?」
「そっちかよ…。ここの気候次第だが普通にもつだろう。」
「契約延長はできるの?」
「お望みなら。髪や爪が伸びたら効果が切れ始めた証拠だ。…今度があったとしたら肉まで食うなよ。」
「わかってるよ。そうだ、お前これからどうする?」
「これからか…。たまには上総社長の顔でも拝みに帰るか。」
「誰それ?」
「聖電鉄の社長だよ。」
「えっ、あの大手鉄道会社の社長さんと知り合いなの!?俺にも紹介して!」
「若市に帰るならな。」
「いや、俺も帰るつもりだった。」
「あれ、てっきり半不老不死になったからどこか旅にでも出るのかと。」
「旅は記録が終わってからだ。」
「記録?」
「元々俺は記録をつけるのが趣味だが、この体質を得た以上経験を文字に起こすのはもはや使命だ。お前がそれを作ったのだって似たようなものだろう?」
そうか、不死の者はどうしても事件の当事者たちと同じ位置に立つのは難しい。だが物事を永く客観的に見ることができるというのは記録する者にとっては利点である。その発想に至るあたり俺よりもむしろこいつの方が適正者なのではないだろうか。
 俺たちは理研特区を後にした。この地が豊かな研究都市となるのはまた数十年後のことだろう。その時俺たちは変わらぬ姿で変わったこの地を見ることになるのか、それは未来の俺の気分次第だろう。
 
to be continued…
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