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15:運命じゃないから③
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「……いいのか?そんな、不誠実で」
震える声が俺の鼓膜を震わせる。しかし、それはどこかホッとしたような声だった。
「ジル、君は真面目過ぎる。こんなの、全然不誠実じゃないよ。ベータの普通の恋愛は、こんなモンだ」
「これが、ふつう?」
「うん、普通」
「……そうか。すごいな」
それは、まるで子供が新しい発見をするみたいな、そんな無邪気な反応だった。
あぁ、まったく。この人は本当に不器用で、真面目過ぎる。だからこそ、会議の時も背中を押したくなったのだ。
「ジル。仕事もあるんだ。恋愛なんて、気楽にやろうよ。セックスして、気持ち良くなって。苦しくなったら離れればいい。お互い、別の相手なんていくらでも居る」
「……っは」
顔は見えなかったけど、とても“可愛い”と思ったから。
「っはは!……そうだ。仕事もある。うん。良いね、こういうの」
あぁ、やっぱり可愛い。
俺はジルの頬に指を這わせると、そのまま静かに口付けをした。触れるだけのヤツ。触れてすぐに離れようとすると、離れるのが嫌だとばかりにジルが俺の唇に吸い付いてきた。
「っん゛っ……っふぅっ」
「っは、っぅん」
重ねた指が、更に深く絡まる。同時に、口内でジルの舌が俺の歯列を舐め上げた。舌の先端が互いの粘膜を絡めとる。見えていないせいか、口内の感覚が酷く鋭敏に感じる。気持ちが良い。こんな気持ち、久しぶりだ。
「っはぁ、はぁっ……っん。くる、し……」
「まだ、足りない」
一旦離れた唇が、湿ったジルの言葉と共に再び重ねられ、舌をしゃぶられた。
こんな余裕のないキス、久しぶりだ。まるで、思春期のようなキスの勢いに、思わず笑ってしまいそうになる。
まぁ、笑う余裕なんて欠片も無かったが。
「っふ、ぁっ……んっ……はぁ、はぁっ」
「はぁ……」
そうやって、しばらく唇を重ねていた俺達だが、やっとの事でジルの唇が離れていく。同時に、腰を強く抱かれた。密着した下半身は互いに固く反応し合っていた。腰がジンと疼いて、密かに下は濡れそぼっている。
キスをしただけなのに、これではどちらが思春期か分かったモノではない。
「っは、っぁ……っく」
苦し気なジルの声が、俺の下半身に響く。また濡れる。同時に、繋がれた手にギリと力が籠った。
痛いほど握りしめられる左手に、俺は手探りをしながら右手でジルの下半身へと触れた。
「んっ、っぁ」
「はぁ……ジル、待ってて」
見えないせいで、ズボンの上から隆起するジルのモノへと無意味に触れてしまう。いや、ちょっとだけわざと。俺の手がジルの欲に触れる度に、耳元で聞こえる苦し気な声が、更に俺を高めてくれる。
「……あった」
ジ、と。ファスナーを下ろす。ゆっくり。早く、と主張するジルのモノを押しやり、撫でつけながら。もう少し待ってと、宥める。
「あつ……」
「っはぁ、っく……早く。たのむ」
仕事の時とはまるで異なる、弱弱しい懇願に、俺はジルの耳元で「可愛い」と呟いた。その瞬間、ジルの体がブルリと震えた。その可愛い反応に背中を押され、下着から熱いペニスを取り出す。
「元気だな……会議の時のジルみたい」
「……はぁ、も。いいかげんに、してくれ。頭がおかしくなる」
揶揄うように言ってやれば、余裕の一切無くなった声で唸るように返される。少し、意地悪をし過ぎたようだ。
「ごめん。待ってて」
「っっく……うっ」
俺は、熱く隆起するジルのペニスに触れた。
その瞬間、耳元で息を呑むジルの声がする。クチュクチュと、粘り気を帯びた水音が、ジルの熱い吐息と共に俺の耳を甘く痺れさせた。
「ジル……気持ちいい?」
「っぅはぁ、っぁぁっ!」
「かわい」
既に先走りの溢れるペニスは、指の滑りもよく、ただ、俺の想像していたよりも随分と大きく感じた。目隠しをしているので目視で確認が出来ないが、だからこそ掌でハッキリと感じる。上を向くペニスは、くっきりとエラが張り、指の先に感じる幹には、とぐろを巻くように浮き上がる血管の筋を感じる。
ジルは可愛いけど、コッチは全然可愛くな……。
「ううん。一生懸命で、かわいい。ジルみたい」
「かわいい、かわいいと……さっきからっ……っくぅっ」
「……っはぁ、コレ。すごく。あつい」
俺の手で上下に扱くと、それに合わせてジルのペニスが大きくしなる。
「っはぁ、っぅ……手つなぎ、さん」
「はい」
「手、では……足りない」
「どうしたい?」
「あなたの、ナカに……入り、たいっ」
耳元に聞こえるジルの縋るような声が、鼓膜を伝い俺の脳を揺らす。その瞬間、俺の頭の中が蕩けた。
「うん、いいよ」
俺は繋がれた手を握りしめ、ジルの耳元に口を寄せて言う。すると、その瞬間、俺の体は勢いよくソファに押し倒されていた。
「っはぁ……っはぁ、っくそ」
「じる……おれ、オメガじゃ、ないから……だから」
「分かっているッ!」
余裕が無いのだろう。俺の言葉に会議の時の、激しいジルが顔を覗かせた。俺はオメガや女の子と違って、アルファの雄を受け入れるようには出来ていない。だから、俺に挿れるなら、それなりに前準備が必要となる。
「はぁっ、っくそ」
ジルがゴソゴソと自分のズレたズボンのポケットから何かを取り出そうとしているのが分かる。あぁ、隣に座った時から、ずっと当たっていた。
震える声が俺の鼓膜を震わせる。しかし、それはどこかホッとしたような声だった。
「ジル、君は真面目過ぎる。こんなの、全然不誠実じゃないよ。ベータの普通の恋愛は、こんなモンだ」
「これが、ふつう?」
「うん、普通」
「……そうか。すごいな」
それは、まるで子供が新しい発見をするみたいな、そんな無邪気な反応だった。
あぁ、まったく。この人は本当に不器用で、真面目過ぎる。だからこそ、会議の時も背中を押したくなったのだ。
「ジル。仕事もあるんだ。恋愛なんて、気楽にやろうよ。セックスして、気持ち良くなって。苦しくなったら離れればいい。お互い、別の相手なんていくらでも居る」
「……っは」
顔は見えなかったけど、とても“可愛い”と思ったから。
「っはは!……そうだ。仕事もある。うん。良いね、こういうの」
あぁ、やっぱり可愛い。
俺はジルの頬に指を這わせると、そのまま静かに口付けをした。触れるだけのヤツ。触れてすぐに離れようとすると、離れるのが嫌だとばかりにジルが俺の唇に吸い付いてきた。
「っん゛っ……っふぅっ」
「っは、っぅん」
重ねた指が、更に深く絡まる。同時に、口内でジルの舌が俺の歯列を舐め上げた。舌の先端が互いの粘膜を絡めとる。見えていないせいか、口内の感覚が酷く鋭敏に感じる。気持ちが良い。こんな気持ち、久しぶりだ。
「っはぁ、はぁっ……っん。くる、し……」
「まだ、足りない」
一旦離れた唇が、湿ったジルの言葉と共に再び重ねられ、舌をしゃぶられた。
こんな余裕のないキス、久しぶりだ。まるで、思春期のようなキスの勢いに、思わず笑ってしまいそうになる。
まぁ、笑う余裕なんて欠片も無かったが。
「っふ、ぁっ……んっ……はぁ、はぁっ」
「はぁ……」
そうやって、しばらく唇を重ねていた俺達だが、やっとの事でジルの唇が離れていく。同時に、腰を強く抱かれた。密着した下半身は互いに固く反応し合っていた。腰がジンと疼いて、密かに下は濡れそぼっている。
キスをしただけなのに、これではどちらが思春期か分かったモノではない。
「っは、っぁ……っく」
苦し気なジルの声が、俺の下半身に響く。また濡れる。同時に、繋がれた手にギリと力が籠った。
痛いほど握りしめられる左手に、俺は手探りをしながら右手でジルの下半身へと触れた。
「んっ、っぁ」
「はぁ……ジル、待ってて」
見えないせいで、ズボンの上から隆起するジルのモノへと無意味に触れてしまう。いや、ちょっとだけわざと。俺の手がジルの欲に触れる度に、耳元で聞こえる苦し気な声が、更に俺を高めてくれる。
「……あった」
ジ、と。ファスナーを下ろす。ゆっくり。早く、と主張するジルのモノを押しやり、撫でつけながら。もう少し待ってと、宥める。
「あつ……」
「っはぁ、っく……早く。たのむ」
仕事の時とはまるで異なる、弱弱しい懇願に、俺はジルの耳元で「可愛い」と呟いた。その瞬間、ジルの体がブルリと震えた。その可愛い反応に背中を押され、下着から熱いペニスを取り出す。
「元気だな……会議の時のジルみたい」
「……はぁ、も。いいかげんに、してくれ。頭がおかしくなる」
揶揄うように言ってやれば、余裕の一切無くなった声で唸るように返される。少し、意地悪をし過ぎたようだ。
「ごめん。待ってて」
「っっく……うっ」
俺は、熱く隆起するジルのペニスに触れた。
その瞬間、耳元で息を呑むジルの声がする。クチュクチュと、粘り気を帯びた水音が、ジルの熱い吐息と共に俺の耳を甘く痺れさせた。
「ジル……気持ちいい?」
「っぅはぁ、っぁぁっ!」
「かわい」
既に先走りの溢れるペニスは、指の滑りもよく、ただ、俺の想像していたよりも随分と大きく感じた。目隠しをしているので目視で確認が出来ないが、だからこそ掌でハッキリと感じる。上を向くペニスは、くっきりとエラが張り、指の先に感じる幹には、とぐろを巻くように浮き上がる血管の筋を感じる。
ジルは可愛いけど、コッチは全然可愛くな……。
「ううん。一生懸命で、かわいい。ジルみたい」
「かわいい、かわいいと……さっきからっ……っくぅっ」
「……っはぁ、コレ。すごく。あつい」
俺の手で上下に扱くと、それに合わせてジルのペニスが大きくしなる。
「っはぁ、っぅ……手つなぎ、さん」
「はい」
「手、では……足りない」
「どうしたい?」
「あなたの、ナカに……入り、たいっ」
耳元に聞こえるジルの縋るような声が、鼓膜を伝い俺の脳を揺らす。その瞬間、俺の頭の中が蕩けた。
「うん、いいよ」
俺は繋がれた手を握りしめ、ジルの耳元に口を寄せて言う。すると、その瞬間、俺の体は勢いよくソファに押し倒されていた。
「っはぁ……っはぁ、っくそ」
「じる……おれ、オメガじゃ、ないから……だから」
「分かっているッ!」
余裕が無いのだろう。俺の言葉に会議の時の、激しいジルが顔を覗かせた。俺はオメガや女の子と違って、アルファの雄を受け入れるようには出来ていない。だから、俺に挿れるなら、それなりに前準備が必要となる。
「はぁっ、っくそ」
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