ぐざい

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羊が口に煙草をくわえる。手慣れた手つきでマッチをこする。マッチの匂いが狼の鼻にも届いた。
「その匂い嗅ぐと俺、羊を思い出すよ」
羊は煙草の煙を吸い込み、1度飲み込むと、一気に吐き出す。ふーっと長い息が聞こえる。
「なんでマッチなの?」
だらしのない姿勢のまま、狼が羊に聞く。
「俺はお前みたいに、女からライターを貢がれないからだよ」
狼は、クロムハーツのジッポやらデュポンのライターやら、いつも違うライターを使っていた。ビックの100円ライターの時もある。なぜそんなにころころライターを変えるのかあえて聞いたことはないのだが、どうも狼は平気でどこかになくしてくるようだった。ポケットをまさぐって、あれ?という表情をしたあと、火を借りているのを度々見かけた。
100円ライターをなくすのは分かる。しかし高いライターを平気でなくす感覚は理解できない。自分で買ったからいいとか、人からもらったものだからいいとか、そういう問題でもない。
羊はそういう、物に煩わされるのを好まなかった。貰ったものだから使わないといけないみたいな感じも嫌いだった。だからマッチが好ましかった。使い終わったら捨てる。火が消えたらそれで終わり。
狼が羊に近づいてきた。羊の首に腕をまわし、羊の口の煙草を奪う。狼の髪の匂いがわかる。狼はその煙草を左手で持ち、狼はそれを吸った。羊はキスされるのかと身構える。ところが狼は煙草の煙をうまそうに吐き出した。羊に跨る。羊が横目で狼を見る。狼はまた煙草を唇にあてて吸い込んでいる。煙草から唇を離し、口を半開きにした狼が羊の頭をつかんでキスをした。羊は一瞬ひるむ。次の瞬間、羊は目を見開いた。狼が羊の口に煙草の煙を吹き込んだ。
「うえぇっ!…げほっげほげほっ…あ、がはっ…っ」
羊の目から涙がこぼれる。羊は煙草を灰皿に放ると、下を向いた羊の髪をつかんだ。舌で羊の涙を舐める。羊が歯を食いしばる。
「なに考えてるんだお前…げほっげほっ…」
狼が笑う。羊の口から唾液が垂れる。鼻水も。ああ、好きだなと思う。
「そういう顔を見ると、俺、ちんちん大きくなっちゃうんだよな」
羊が強張る。狼の腕を強くつかんだ。抵抗する。羊よりも華奢な狼のどこにそんな力があるのか、羊は狼から離れることができない。羊の鼻から口角に向かって狼が舌を這わせる。羊に口に鼻水が入ってくる。
「や…やめ…」
羊が抗う。狼の力がさらに強くなる。狼が首に唇をあてる。ねっとりとした舌の感触に羊がのけぞる。狼の舌が羊の首をざらざらと刺激する。その感触が脳に直接響いてくる。びりびりする。首を通って腰まで伝わってくる。さらに身体がのけぞる。狼が羊の首に歯を立てた。やたら大きい犬歯が食い込む。
「…っ!!」
まるで全身の毛穴が開いたような感覚。狼が更に歯に力を込める。食い込んでくる。
「あっ!い…痛いっ…やめ…っ」
羊が狼の頭をつかむ。髪を鷲掴みにする。狼は一度口を離して、反対側の首筋に唇をあてた。羊は翻弄される。また首筋を舐めるところから始まる。下から上にむかって、狼の舌が自分の首筋をずっと這っている。延々と続く、ざらついた感触。狼の手が羊の恥部を乱暴につかむ。ああまたか。やめてくれ。声にならない。
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