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旅に出ることにしました 3

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先にガロスさんにはテントに入ってもらい、自分はもう片方の天幕から掛け布や必要なものを集めてからそちらへ向かった。

後ろからレイシスさんの視線をずっと感じる。見張りなんだから向こうを見てて下さい!



「えっと、お邪魔します」



「はい、いらっしゃ~い♪」



テントの中ではすでにガロスさんが毛布を被って寝転んでいた。

高くない天井には魔法道具のランプがぶら下がっており、そこから広がる橙色の光が辺りの輪郭をほんのりと照らし出す。

テントは結構スペースに余裕をもって張られていたので狭くはなるけど寝るスペースは十分ありそうだ。荷物を踏まないように気を付けて入口近くの隅っこに寝る場所を見繕っていると、いきなりグイっと手を引かれた。



「わっ」



「そっちは敷布が薄くなってるだろ?こっちで一緒に寝よーぜ」



そう言って腹に手を回され、寝転ぶガロスさんに寄り添う形で引き倒された。逃げ出そうとしても、ぶっとい二の腕がビクともしない。



「ちょっと待って!これじゃガロスさんぐっすり寝れないでしょ?俺は隅っこに…」



「大丈夫!俺どんな状況でも寝れるから!」



のび●か!

確かに今までの言動を見てる限りじゃ、人が側にいて気になって寝れない、みたいな繊細さはなさそうだけど…。

でも例えガロスさんがよくても俺が困る。これじゃ俺の方が落ち着かないんだけど…。



「ほら、サクヤが一人で寝るの嫌がったのって、敵が周りにいそうで不安だったからだろ?それならこうしてたら絶対にお前のこと守れるし!そしたら安心して寝れるじゃん」



「う、うーん…」



そう…なのかなぁ?

離れて寝る心細さと、抱き合って寝る居心地の悪さ。どっちのが安心して眠れるんだろ?

ただここで俺がいくら離れて寝たいって言っても、簡単には説得できなさそうだよなぁ。ガロスさんの悪気のない笑顔を見て、ため息をつく。

説得が長引くほど見張りのために只でさえ短いガロスさんの睡眠時間をもっと削ることになってしまう。

どうにも居心地が悪いけどしょうがない。ここはおとなしくいう事を聞こう。



「…じゃあ、すみません。お邪魔します」



念のため何度か抵抗してみたが、やっぱりというか俺の体に回された腕は一切緩んでくれなかった。仕方ないので諦めてガロスさんの分厚い陶板の上にそろりと体重を預ける。

高めの体温と、とくんとくんと小さく聞こえてくる鼓動の音に怯えてた心が少しだけ緩んだ。



子供を寝かしつけるように背中のあたりをぽんぽんとやさしく叩かれる。



確かに恥ずかしさにさえ慣れちゃえば、誰かに寄り添って寝るのって安心するな。

旅の疲れもあり、しばらくすると瞼が重くなってきた。

そうしてオバケを思い出すこともなく、俺は眠ってしまったらしい。





◆◆◆



ごそごそ…



ん?

眠りの世界に沈み込んでいた意識がふっと浮上する。



「やっぱり超かわいい…」





ガロスさんが何か言っているみたいだけど、睡魔に邪魔をされて内容が把握できない。

おかしいなぁ。さっきはすぐに寝れるって言ってたのに、まだ寝ないのかなぁ。そんなことをぼんやり考えながらそのままウトウトたしていると、急に首元の辺りが擽ったくなってきた。



「んん…ッ」



反射的に体をもぞもぞ動かす。そうしてしばらくするとくすぐったいのが消え眠れそうになるのに、しばらくするとまたむず痒くなる。

繰り返される睡眠妨害に堪りかねて、重い瞼を何とか開けた。



あれ?寝付いた時と体勢が変わってる?

ガロスさんが俺に覆い被さるような態勢になって何故か俺の首元に顔を埋めていた。



「あの…?」



「あーやべ。起きちまった?やっぱりこうして一緒に寝てると我慢できなくてー。ごめんな?」



天幕の頼りない灯りに照らされたのは全く悪びれてない笑顔だった。

何なの、そのいい笑顔…。嫌な予感しかしないんだけど。冷汗がにじみ眠気が吹き飛ぶ。



「が、我慢って、まさか…」



「まさかも何も、こーゆーこと♪」



そう言うとガロスさんは躊躇なく俺の頭をぽんと叩いた。

その途端、旅に出てからしばらく忘れていた甘い感覚が体の中を駆け抜けた。



「な!何考えてんですかッ!ここ、外ですよ?」



元の世界だって整備されてない自然の中でキャンプなんてしていたら危険が付きまとう。あちらですらそうなのに、ここではさらに野生の動物や、盗賊、さらにはモンスターまでいるんだ。

そんな中で、あ、あ、あんなことしようとなんて!信じられない!



抵抗したいのに体は一瞬で呪いに支配されてしまった。

頭にふわふわと霞が掛かったようになり、体中が敏感になる。ガサガサした敷布の感触にもびくりと震えた。そしてそのまま簡単に下に組み伏せられてしまう。

嬉しそうな表情を浮かべたガロスさんは、俺の服をはだけさせ首から鎖骨へ舌を這わせた。暖かくぬめっとした感触にどうしようもなく感じてしまう。



「や…止めてくださいッ」



「んー?いいの?止めちゃって?この前、散々試したじゃん。そんで自然にこの状態は収まらねえのは嫌って程分かっただろ?まあ、俺はずっとこうして可愛がってあげるだけでもいいんだけど」



「う…。そ、それは…」



「あとあんまり大声出さない方がいいんじゃね?レイシスの奴が気付くぞ?」



そう言って意地の悪い笑顔でニヤニヤと見つめてくる。

そりゃこんな状態、見られなくて済むならそっちの方がいい。呪いのせいでぼんやりする頭に喝を入れ、大声にならないよう息を落ち着かせる。



それに…悔しいけど、こうなった以上呪いを収める方法は一つしかない。

その原因を作り出したガロスさんをせめてもの抵抗できっと睨みつける。全然効いてなさそうだけど。

……はぁ。仕方ない。覚悟を決めてやるしかない。



「は、離してください…」



「また~。無駄な抵抗しちゃって。ほんとに止めちゃっていいの?」



「ちが…この体勢じゃ、ガロスさんの…舐めれないから…」



そういってそろりとガロスさんの腰に手を伸ばす。

体格差のせいで届かないけど意思は伝わったようだ。

すでに大きく主張しているモノをゴリッと俺の太腿に擦り付けてきた。その熱さに心臓がキュンと跳ねる。

や、止めて…。そんなことされたら…。

口の中に生唾が溜まる。俺の方もとっくに勃ち上がってる。下着越しにガロスさんの逞しい腹筋に擦られすでにびっしょり濡れていた。

ガロスさんは俺の様子を見て嬉しそうにニヤリと笑った。



「俺の咥えたいの?積極的じゃん。いいね~♪」



「そっ、そういう訳じゃ…ッ」



違!俺がやりたいわけじゃない。呪いを抑えるために仕方なくするって分かってるでしょ?

その途端、別の方法に気づいて絶望する。

そうだ…。別に直接咥える必要なんてないじゃん。手とか使って出したものをペロッと舐めればそれでいいんだから。

いつの間にか、あの肉棒を咥えることに抵抗がなくなってきた自分に愕然とした。

違うよな。呪いのせいで感覚が麻痺しているだけだよな?

俺の心中での格闘を嘲笑うように、ガロスさんが唇を塞いでくる。ぐちゅりと肉厚な舌に上顎を謎られると俺のか細い理性が負けそうになる。

長い口づけの後、離れていった唇をうっとりと眺めているとそれは嬉しそうに歪んだ。



「すっげぇ唆られるお誘いなんだけど、止めとくわ」



「え」



どういうこと?手でするどころか、咥えるのも嫌っていう事?

もしかしてこのままずっと放っとかれるのか、と回らない頭で考えてショックを受ける。思わず涙がジワリと滲んだ。



「違う違う。放置プレイなんてしないから、安心しなって」



「だって…舐めさえて、くれないって…ぐす…」



俺がそう言うと、ガロスさんは堪らないといった顔をして目から零れ落ちた涙を舐めとっていった。

そうして太い指を俺の口の前に差し出し咥えさせる。

素直にそれに軽く吸い付くとガロスさんは嬉しそうに頬を緩めた。



「大丈夫。ちゃーんと俺の精液はたっぷりやるから。ただし、ココにじゃなくって…」



そしてもう片方の手を俺の膝裏に入れ、グイッと持ち上げる。

そして抵抗する間もなくズボンも下着も剥ぎ取られてしまう。お尻が丸見えになる体勢に顔がかッと赤くなった。嫌がって暴ても微動だにしない。文句を言いたくても口では指を頬張っているのでくぐもった声が漏れるだけだ。



「ん~!」



ちゅぽっと指を口から抜き取ると唇から唾液が零れた。

そしてその塗れた指を俺の後ろの穴にいたずらに潜り込ませ、ビクッと腰を跳ねさせる。



「あっ…んッ」



たったそれだけの刺激なのに声が上がってしまい、必死で唇を噛んだ。



「こっちにあげるね♡」



「へ…?」



え…どういうこと?

お尻にアレをくれるって…。それって…それって…もう、野外セッ――――



「ダダダメです!!そ、そんなの…こんなとこで…ッ」



「だって、サクヤを一番に触ったのは俺なんだぜ?あん時は必死に我慢したってのに。よりによってレイシスの野郎に処女を取られるなんて!この悔しさ!分かるか!?」



「分かりません!」



ツッコミどころが多すぎる!俺で処女ってあるのか!?

それに俺は俺みたいな奴とどうこうなりたいなんて思ったことないし。同意を求められて分かるはずもない。



「ん?大声だしていいのか?レイシスが気付くんじゃね?」



そう言われ、バッと両手で口を塞ぐ。そんな俺をガロスさんがニヤニヤした顔で見下ろしてきた。



「そうそう。ホラ。もうこうなったらヤッちゃうしか方法ないんたから。大人しくした方がいいぞ~。ほ~ら、口開けてみ」



文句を言いたいのは山々だけど、兎にも角にもまずはこの呪いの発作を止めなきゃいけない。それは確かだ。

わずかに残る羞恥心を押し込み自棄になりながら、言われた通り両手を唇から離す。

そしてガロスさんを受け入れるべく、自ら薄く口を開いた。



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