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声劇用台本 占の報告書 №1~動物霊~
しおりを挟む~動物霊~
声劇用記載文字説明
N(ナレーション)
〇M(マインド、心の中で思っていること、及び独り言)
登場人物
(占)占竜
年代:40代イメージ
職業:占術師(お祓い、祈祷もする占い師)
(和)佐藤和美
20代前半イメージ
職業:OL
(犬)犬の霊
佐藤和美の飼っていた犬で、亡くなった後も主人を守っている忠犬
登場人物
(占)占竜
年代:40代イメージ
職業:占術師(お祓い、祈祷もする占い師)
(和)佐藤和美
20代前半イメージ
職業:OL
(犬)犬の霊
佐藤和美の飼っていた犬で、亡くなった後も主人を守っている忠犬
【劇始】
【電話コール音】
占「はい、占竜です♪」
和「もしもし、占術師さんですよね?
鈴木さんから、お祓いもすると聞いて電話したのですが…」
占「はい、時と場合によりますが、お祓いもいたしますよ」
和「ご相談にのってもらいたいので、15日に予約とれますか?」
占「はい、大丈夫ですよ。
15日は午後2時から空いておりますが、いかがいたしましょうか?」
和「では、15日の午後2時から予約をいれてください」
占「ご予約ありがとうございます。
それでは、お名前をお願い致します。」
和「佐藤和美です
よろしくお願いします」
占「佐藤和美さんですね。
では、予約をいれておきますので
よろしくお願いします
失礼します」
【電話を切る】
占M「疲れているような暗い声だったなぁ…
取り憑かれてなきゃいいけどなぁ…」
N〖占いは女性からの依頼で恋愛占術が主だが、
時たまこういう依頼がくる。
運勢を良くする為には、
邪魔をする輩を、なんとかしないと道は開きづらい…〗
占M「さて、鬼がでるか蛇がでるかは、15日までのお楽しみってことだな…」
【15日占術当日になる】
占M「さて、そろそろ約束の時間だな…」
和「こんにちは、予約をしていた佐藤ですが…」
占「はじめまして、占竜です
さあ、どうぞこちらへ」
N〖佐藤さんは、まわりを見渡しながら、占竜の後へとついていった…〗
占「では、こちらでお話をおうかがい致します
どうぞお掛けになってください。」
N〖小さい個室へと案内された佐藤さんは、言われたとおりに椅子に座ると、
心配そうにキョロキョロしていた…〗
占「それでは、お話をお聞きしましょうか?」
和「はい…
実は自宅に男の子がでるんです…」
占「男の子?でるってことは…
幽霊みたいな感じってことですか?」
和「はい、夜中の2時頃になると男の子が…」(恐怖で青ざめ声が震えている)
占「この部屋には悪しき者が入れないように
結界を張っています…
心配せずに話してくださいね…
どんな状況でも必ず改善の道はあります…
とりあえず、ゆっくり深呼吸してください…」
N〖占竜から促され、佐藤さんはゆっくりと深呼吸を始めた…
落ち着きを取り戻したのを確認した占竜はゆっくりと話しだす…〗
占「まだ、その男の子の霊が
悪影響をあたえているかはわかりません…
ただ怖いってだけで拒絶してはダメですよ…
何かを伝えたいだけかもしれません…」
和「はい…」
占「では、男の子の霊が現れはじめた頃のお話を、できるだけ詳しく教えてください…」
N〖佐藤さんは俯き加減でポツリ、ポツリと話し始めた…〗
和「最初の頃は、夜中に子供が歩く足音が聞こえたんです…
ペタペタと…
気のせいだろうと思っていたのですが…
毎晩聞こえて…
そのうち、男の子がすすり泣く声が聞こえてきたのです…
怖くなって布団に潜って震えていました…
最近では部屋に入ってくるんです…
閉めたはずのドアが少し開いていて…
その隙間から、私が寝ているベッドをジィ~と見ているんです…
黒い影のような男の子なんですが
目だけが赤くて、血の涙を流しているかのように…」
占「話はだいたいわかりました。
まあ、お茶でも飲んでゆっくりしていてくださいね。
少し占ってみますので…」
和「私に何か取り憑いていますか?
お祓いしてもらえますか?」
占「佐藤さんには憑いてはいませんね…
男の子の足音が聞こえ始めたのはいつぐらいですか?」
和「2ヶ月前からです…
私に憑いていないのなら、なんで男の子はでてくるの?
幻覚を見ているの?」
占「幻覚ではないと思います…
確かに何かは見ていると思います…
佐藤さんに憑いてない以上、原因は他にあります…
自宅に住んでどれくらい経ちます?」
和「五年くらいだと思います…
でも、最初は何も異変はなかったんです…
男の子が出だしたのは最近なんですよ…」
占「五年ですか…
自宅はアパートですか?」
和「自宅はアパートです…」
占「2ヶ月~3ヶ月前に、何か自宅で変わったことを、しませんでしたか?」
和「特に変わったことは…
していないと思うのですが…」
占「う~ん…
私が占うと自宅に問題ありとでるんです。
アパートなら他の住人が男の子について
話しているのを、聞いたことはないですか?」
和「他の住人の方にも聞いてみたのですが
特に何もないよ、と言われました…」
占「よろしければ自宅を見せてもらえませんか?
自宅まで行けば原因を掴めると思うのですが…」
和「是非お願いします…」
占「ふ~む…
では、いつにしましょうか」
和「できれば今すぐにでも来てもらいたいのですが…」
占「申し訳ないのですが、今日になりますと
他のお客様から占術の予約をいただいておりまして
自宅にお伺いするのは夜になると思いますが、よろしいですか?」
和「夜中になろうが、かまいませんので
お願いしたいです!」
占「では、住所と電話番号を教えてください。
占術が終わり次第、ご連絡差し上げますので…」
和「はい」
N〖佐藤さんは占竜からメモ帳を受け取ると、住所と電話番号を書いて、
不安そうな表情で頭を下げ、帰って行った…
占竜は佐藤さんが帰ると次のお客様の準備にとりかかる。
最後のお客様を見送ると、占竜は壁にかけられている時計を見た…〗
占M「23時か…
遅くなってしまったなぁ…
とりあえず佐藤さんに連絡をとるか…」
【電話をかける】
※雑音が凄い通話となる
和「はい、佐藤です」
占「夜分すいません…
占竜ですが、今仕事が終わったんです…
かなり遅くなってしまいました…
今からお伺いしても大丈夫でしょうか?」
和「あっ、占竜さん!
電話待っていました!
お疲れとは思いますがよろしくお願いします…」
占「では、今から準備して、お伺いしますね」
和「はい、お待ちしています。
失礼します…」
【電話を切る】
占M「…………」
占M「雑音が酷いなぁ…
間違いなく何かいるなぁ…
仕事が忙しく疲労困憊で、今すぐにでも寝たいとこだが…
仕方ないかぁ…
佐藤さん精神的にヤバかったからなぁ…
普通なら違う日にずらしてもらうが…
気合いを入れて行くかな…」
【佐藤さんの自宅に移動】
占M「さてと、ここだな、佐藤さんの自宅は…」
占「あっ!佐藤さん!寒いのに外で待っていてくれたのですか?」
和「はい、部屋の中が怖くて…
今日もでるんじゃないかと…
どうぞ、上がってください…
お茶いれますね…」
占「お邪魔します」
N〖部屋に入りお茶を飲みながら部屋を見渡す占竜
時刻は0時35分…
丑の刻と呼ばれる時刻まであと少しになっていた…〗
占「各部屋を見せてもらっていいですか?」
和「はいっ!
どうぞ!」
N〖占竜は鞄からペンデュラムを取り出し
霊的障害を調べる準備をはじめた〗
占「・・・サキク ウラトノカミヤマ オリマセマセ・・・」
【部屋移動】
占「佐藤さん、この押入には何が入っています?
開けてもらってもいいですか?」
和「はい、この中には実家から持ってきた荷物ですが…」
占「このダンボールを開けてもらっていいですか?」
和「はい」
占「佐藤さん…
これは?」
和「それは、実家で飼っていた竜って名前の犬の首輪です…」
占「飼っていた?」
和「数年前に寿命で亡くなったんです…
ずっと可愛がっていたから…
形見にと…
実家から持ってきたのですが…
これが原因なのですか?」
占「ちょっと待ってください…
霊気はスゴいですが、原因とは限りません…
次に行きましょうか…」
【移動中】
占M「やはり寝室は霊気が凄いな…
寝室は裏鬼門か…
玄関が鬼門で寝室が裏鬼門か…
笑える作りだな…
家の中で原因が見つからないか…
そうなると…
家の外を調べないと…
くぅ…
こりゃ、調べるのに日数が必要だぞ…
仕事がつまっているしなぁ…
さて、どうしよう…
危険だが、男の子に直接聞くか…
割に合わない仕事だな…」
和「原因わかりました?」
占「いえ…
まだ特定はできていません…
佐藤さん…
もうすぐ2時だし男の子を待ちましょうか?」
和「嫌です!!!」
占「そんなに嫌がらなくても大丈夫ですよ!
自分もいますし…
でてきたら男の子を捕まえて、迷子センターにでも連れて行きますからっ♪」
和「…わかりました…」(すごく嫌そうに承諾する)
占「佐藤さんは何が起こっても、動いたり喋ったりはしないでくださいね」
N〖佐藤さんは青ざめて首をタテにふるしかできなくなっていた…
佐藤さんには、いつも通りにベッドに入ってもらい電気を消して寝てもらった…
占竜はベッドから少し離れたところに椅子を持ってきて、男の子が現れるのを待つ…
シ~ンっと静まり返った静寂の中…
カチカチと時計の音だけが異常に大きく感じる…
2時15分くらいだろうか…
ペタペタと足音が聞こえ始めた…〗
占M「さあ、正体をあらわせ…
なぜ佐藤さんを苦しめているのかを教えてもらうからな…」
N〖占竜は心の中で、霊から姿をくらます真言を念じながら
男の子が部屋に入ってくるのを待つ…
部屋のドアが触れてもいないのに、スゥ~と開き、黒い影が入ってきた…
占竜は唾を掌に吐き、
まゆげにぬると黒い影を凝視した・・・〗
占M「なるほど…
黒い影のような男の子で赤目に血の涙か…
さてと、何が望みだ?…
怨み?…だけじゃないな…
悲しみ?…
苦痛?…
何かを伝えようとしているのか…
佐藤さんにではないな…
人間?
人間すべてにか?
しかし、何故このレベルなのに佐藤さんにとり憑いてないのだ?
怒りはなくとも…
佐藤さんにとり憑き、苦しめ訴えることができるレベルだぞ?…
ここまでしているに何故とり憑いていないのだ?」
N〖黒い影に気をとられすぎていた占竜が、ふっと佐藤さんが寝ているベッドを
見ると、いつのまにか佐藤さんのベッドの真横にも何かが蠢いていた…〗
占M「ヤバい!
これは聞いてないぞ…
佐藤さん…
気づいてなかったのか…
マズいな二体いやがったか…」
N〖占竜がどうしようかと思案していると、複数の
ペタペタとした足音とが聞こえ
黒い影がワラワラと部屋に入ってくる…〗
占M「なにぃ~!
なんだぁ~!
この霊体の数は!
これは日数かけた方が良かったな…
よく見ると、血の涙を流しているな…
女の子や老人までいやがるじゃないか…
いったい何体いやがるんだ…」
N〖佐藤さんが布団の隙間からのぞき見て、影の多さに気づいた〗
和「きゃあ~!」
N〖佐藤さんの声に驚いた霊達が一斉に
襲い掛かってきた!〗
占「ヤバい!」
犬「ウウウウウゥ~…ウウォン!」【和美を必死に守ろうと威嚇する犬の霊】
N〖佐藤さんのベッドの側にいた霊が唸り声を上げ、
吠えた!
霊達は唸り声に怯み、後退りを
はじめ…
チリジリに逃げだした…〗
占「しめたっ!
お前は佐藤さんを守ってくれていたんだな!
俺は霊を追いかける!
佐藤さんを守っておいてくれよ!」
犬霊「ウォン♪」
N〖占竜は霊達を見逃さないように秘文を唱えながら
そっと、ついて行く…
霊はある場所にくると、スゥ~と消えた…〗
占「ここだな…」
N〖占竜は数ある石碑の中で、影の消えた石碑の前に立つと
悲しい表情で見つめていた…
そこには……
動物実験により…
無惨にも殺された実験動物たちの
慰霊碑が建っていた…〗
占M「この慰霊碑には犬が供養されているのか…」
N〖慰霊碑の周りを見渡すと、二本の木がそびえたち
枝が折れて鳥居のような形になっていた…
佐藤さんの部屋に向かう為にできた道しるべのように…〗
占M「霊道が佐藤さんの部屋にむかって開いていたのか…」
N〖占竜は鳥居みたいになっている
折れた木の枝を取り払い
秘文を唱えて、霊道閉じた…〗
占M「犬の慰霊碑と佐藤さんの部屋が繋がっていたんだな…」
N〖ふたたび犬の慰霊碑の前に立つ占竜の心に
犬たちの苦痛と悲鳴が染み込んできた…〗
M占「この慰霊碑の数々…
苦痛にのたうちまわる動物達を封印する為に作ったのか?
苦しんで死んだ動物達に感謝もせず…
欲にまみれた人間が、会社の印象が悪くならないようにと
体裁の為だけに作り上げられた物じゃないか…」
N〖占竜は動物達の無念を思い、頬を濡らす…〗
占「すまない…人の為…命を捧げ尽くしてくれたのにな・・・
すべての人が無情で欲にまみれているわけじゃないんだ…
アナタ達のお陰で病に打ち勝ち…
涙を流し喜んでいる人は沢山いる…
その方達はアナタ達の命を賭した功績に気づかず…
薬を作った人間…
それを使用し病を治した医者に、高額な費用を払い感謝している・・・
アナタ達に…
アナタ達に…
一番感謝しないといけないのになぁ・・・
すまない…
俺だけでは到底納得できるハズがないのはわかっているが…
少しでもアナタ達の苦しみが癒されるように・・・」
N〖占竜は慰霊碑の前で印を組むと
静かに真言を唱え始めた・・・〗
占「動物達を守護し畜生の苦しみを
癒す菩薩よ・・・
何卒哀れなる動物達を救い給え…
オン・アミリト・ドハンバ・ウン・ハッタ・ソワカ・・・」
N〖犬の慰霊碑、他の慰霊碑からも蛍のような光があふれ…
空へと昇っていく・・・〗
占「また来るから…」
N〖そう動物たちに告げると占竜は慰霊碑に頭を下げ
佐藤さんの自宅にゆっくりと歩いてむかった・・・〗
占「んっ?
疑問が残っているの?
何故、犬の慰霊碑なのに男の子や女の子、老人の霊がでたんだってこと?
多分犬達はこう言いたかったのだろうね…
僕たち犬は人に忠誠を誓う…
弱い生き物なんだ…
こんなにも人のことが大好きなのに…
何故イジメルの?
苦しいよ…
痛いよ…
怖いよ…
弱い僕らをイジメないでって
人間の世界では弱い子供や老人に化けて訴えていたんだよ…
ん?まだ質問かい?佐藤さんのベッドの横に何がいたのかって?
それは…言わなくてもわかるでしょ♪
犬は人間の最高で最強のパートナー!
忠犬と呼ばれ…
何世代にもわたり人間と共に暮らしてきた…
人間はね…
簡単に人を裏切るが…
犬は死んでもご主人を守るものなんだよ…
佐藤さんは今でも、竜の首輪を大事にしています…
あの日以来パッタリと霊が見えることはなくなったそうですよ♪」
【閉幕】
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