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【Memory_1】君と共に
4.君の世界
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「…に…さ。お…い…さん」
目も開けていないのにどこか眩しい。
陽の光が顔面に直接当たっているようなそんな感覚だった。
でも、現状想像ができるのが葬式でしか無い。
もしかして俺、火葬されてるんじゃ無いかと思うとじんわり暖かいのも気持ちが悪くなる。
だって、今は冬なのに背中あたりも体の側面も、何故か暖かみがあるのだから。
不思議な感覚に包まれていると、微かに聞こえていた声が大きくなってきた。
「お兄さん!ねえ!こんなとこで寝たら死んじゃうよ!」
「わーーーーー!!!!焼かれて死ぬ!!!!」
夢じゃなかった!と騒ぎながら上半身を起こして起き上がろうとすると、「わっ」と声の主が声をあげた。
視界の端で辛うじて姿を捉えた俺は咄嗟に声の主の背中に手を回した。
誰?なんて聞く間も無く急に起き上がった俺が全面的に悪い。
「えー…っと、迷子?」
色んな疑問を飲み込み出たのが、方向の斜め逆とも言わんばかりの質問だった。
どう見ても、女の子だが1人で出歩くのまだ少し危ない年齢にも見える。
気まずいから必死に目をそらす女性経験がない俺と、急のことに驚いてるのかまじまじとこちらを見る少女。
だが、ついに死んだ魚見たいな俺の目と、キラキラと輝くサファイア見たいな深い藍色の瞳がバッチリと合ってしまった。
目があったそのわずか数秒の中の俺の頭はなんで少女に馬乗りにされているんだとか、少し生暖かいなとかしょうもない事ばっかりが駆け巡っていた。
「…迷子じゃないよ。」
「…。」
「……。」
その言葉で、余計気まづい空気が流れる。
迷子じゃないよって。うん、俺もそう思うよ寧ろなんでそんな質問したのか誰か怒ってくれ。
少女と目が合いっぱなしで返答も無く数秒の時間が数分、いや数時間にも値するくらいに感じる。
まるで合コンに参加している感覚だ。
当の俺は参加したこともそんなシチュエーションに出会ったこともないけれど。
もしこの場が合コン会場なら、ぜひ司会の方が自己紹介お願いしますって言い出して欲しい。
俺は人見知りなんだが、気まずいのを向こうも察知したのか苦笑いかはにかみか微妙な笑顔を向けてこられた。
___嗚呼、これは俺が話題提供する側か。
「俺は、命って言うんだけど…」
「私はリリィ!」
恥ずかしいとか緊張するとか余計な気持ちは全部捨てた。
勇気を出して話しかけたのに、やや俺に食い込みがちで少女は名乗りを上げた。
最初からお前から話を振ってきてくれたらどれほど楽だったか。
そんな少女が見せた笑顔は、俺にはとても眩かった。
にぱっと笑うアホ面の少女が、死んだ魚の俺に日差しを与えてくれた様な気がしたんだ。
「…ふはっ、綺麗な名前だね。」
ふと、口から出たのがその言葉だった。
それと同時にこんなにも俺に興味を示してくれたのが面白くて自然と笑みが溢れていた。
「急にそんなこと言われたら、照れるよ。」
少女…もとい、リリィは少し顔を赤らめながら自分の髪を持って口元を隠した。
彼女の髪は透き通る様な白い肌に十分くらい映える金色の髪。
そして、少し癖毛で、ふわふわしていて、どこか犬を思い出す。
…思い出すのは、本当に犬だけか?
何か大切な事を忘れている気がする。
そもそも、なんで俺がこんな緑の生い茂る場所にいるのかも謎なんだけれども。
「何かついてる?
それより、早く家に帰ったほうがいいよ。
今夜は酷く、冷え込むみたいだから。」
「あっ、いや、実は…さ、恥ずかしい話なんだけど、
目が覚めたらここにいて、ここが日本のどこかわからないんだけど何県かわかる?」
じっと見ていると少し不機嫌そうにされてしまった。
もちろん帰る家どころか、ここがどこかも分かるわけがない。
返答を待っていた俺に、リリィはちょんと首を傾げていた。
「ニホン?他国の地名でも聞いたことないよ。
ここは冬を司る国、リードグレン王国だよ。」
「………は?」
目も開けていないのにどこか眩しい。
陽の光が顔面に直接当たっているようなそんな感覚だった。
でも、現状想像ができるのが葬式でしか無い。
もしかして俺、火葬されてるんじゃ無いかと思うとじんわり暖かいのも気持ちが悪くなる。
だって、今は冬なのに背中あたりも体の側面も、何故か暖かみがあるのだから。
不思議な感覚に包まれていると、微かに聞こえていた声が大きくなってきた。
「お兄さん!ねえ!こんなとこで寝たら死んじゃうよ!」
「わーーーーー!!!!焼かれて死ぬ!!!!」
夢じゃなかった!と騒ぎながら上半身を起こして起き上がろうとすると、「わっ」と声の主が声をあげた。
視界の端で辛うじて姿を捉えた俺は咄嗟に声の主の背中に手を回した。
誰?なんて聞く間も無く急に起き上がった俺が全面的に悪い。
「えー…っと、迷子?」
色んな疑問を飲み込み出たのが、方向の斜め逆とも言わんばかりの質問だった。
どう見ても、女の子だが1人で出歩くのまだ少し危ない年齢にも見える。
気まずいから必死に目をそらす女性経験がない俺と、急のことに驚いてるのかまじまじとこちらを見る少女。
だが、ついに死んだ魚見たいな俺の目と、キラキラと輝くサファイア見たいな深い藍色の瞳がバッチリと合ってしまった。
目があったそのわずか数秒の中の俺の頭はなんで少女に馬乗りにされているんだとか、少し生暖かいなとかしょうもない事ばっかりが駆け巡っていた。
「…迷子じゃないよ。」
「…。」
「……。」
その言葉で、余計気まづい空気が流れる。
迷子じゃないよって。うん、俺もそう思うよ寧ろなんでそんな質問したのか誰か怒ってくれ。
少女と目が合いっぱなしで返答も無く数秒の時間が数分、いや数時間にも値するくらいに感じる。
まるで合コンに参加している感覚だ。
当の俺は参加したこともそんなシチュエーションに出会ったこともないけれど。
もしこの場が合コン会場なら、ぜひ司会の方が自己紹介お願いしますって言い出して欲しい。
俺は人見知りなんだが、気まずいのを向こうも察知したのか苦笑いかはにかみか微妙な笑顔を向けてこられた。
___嗚呼、これは俺が話題提供する側か。
「俺は、命って言うんだけど…」
「私はリリィ!」
恥ずかしいとか緊張するとか余計な気持ちは全部捨てた。
勇気を出して話しかけたのに、やや俺に食い込みがちで少女は名乗りを上げた。
最初からお前から話を振ってきてくれたらどれほど楽だったか。
そんな少女が見せた笑顔は、俺にはとても眩かった。
にぱっと笑うアホ面の少女が、死んだ魚の俺に日差しを与えてくれた様な気がしたんだ。
「…ふはっ、綺麗な名前だね。」
ふと、口から出たのがその言葉だった。
それと同時にこんなにも俺に興味を示してくれたのが面白くて自然と笑みが溢れていた。
「急にそんなこと言われたら、照れるよ。」
少女…もとい、リリィは少し顔を赤らめながら自分の髪を持って口元を隠した。
彼女の髪は透き通る様な白い肌に十分くらい映える金色の髪。
そして、少し癖毛で、ふわふわしていて、どこか犬を思い出す。
…思い出すのは、本当に犬だけか?
何か大切な事を忘れている気がする。
そもそも、なんで俺がこんな緑の生い茂る場所にいるのかも謎なんだけれども。
「何かついてる?
それより、早く家に帰ったほうがいいよ。
今夜は酷く、冷え込むみたいだから。」
「あっ、いや、実は…さ、恥ずかしい話なんだけど、
目が覚めたらここにいて、ここが日本のどこかわからないんだけど何県かわかる?」
じっと見ていると少し不機嫌そうにされてしまった。
もちろん帰る家どころか、ここがどこかも分かるわけがない。
返答を待っていた俺に、リリィはちょんと首を傾げていた。
「ニホン?他国の地名でも聞いたことないよ。
ここは冬を司る国、リードグレン王国だよ。」
「………は?」
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