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一章 〜浄化の聖女×消滅の魔女〜
魔物の館×不朽の忠義
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「えっうそ、すごい、思ってたのより数倍綺麗で立派な建物がたってる」
アルルの目の前に聳える館は、かつて身を置いていた公爵家の館よりも精巧な装飾が施されていた。
予想していたような悪趣味な装飾は無く、人間が住んでいると言われても納得してしまう程に綺羅びやかな風貌を醸し出している。
「類稀な知を持つ魔物達の結晶だ。気に入ってくれたか」
「うん、すっごく気に入った。元々木の上にでも住むつもりだったし」
「それは嬉しい。出迎えが来たようだぞ、我らが聖女よ」
館の玄関、庭、窓、バルコニー、至る所から様々な種族の魔物たちが顔を出しアルルの来訪を歓迎する。
「あっ!? ちょ、ちょっと降ろして!」
腕の中でじたばたともがくアルルを、ジゼはゆっくりと地面に下ろす。
「如何したかアルル殿? いきなり声を張り上げるなど」
アルルは地に足がついた瞬間、とある一匹の魔物の元へと駆け寄った。
「ロシェ……ロシェなの?」
ロシェ。それはかつて、アルルに弱ったところを発見され可愛がられていた魔物の名である。
一国の次期皇太子妃候補であり聖女でもあるアルルが魔物に情を移していたなどと公になれば、死罪は免れ得ない。
しかし弱り切ったその姿にアルルは種族の壁を越えた情を抱いてしまっていた。
そしてアルルのその思いに応えられるよう、ロシェは自分が魔物である事を懸命に忘れようとした。
しかし、ロシェがアルルの事を想えば想う程、それに比例して殺戮、破壊衝動も強まっていった。
ロシェはそんな自分に心底嫌気が差し、最期はアルルの手でこの世との決別を果たす事を望んだ。
それこそが憐れな一匹の魔物の、唯一残された悲しき願いだったのだ。
アルルもその決意を受け入れ、それに応えるよう、溢れる想いを目に留めながらも手厚く手向けたという。
そしてロシェは今、歓喜に震えている。
もうアルルの手が目の前に迫ろうとも、噛み砕きたくなる衝動にも駆られない。
抱き上げられようとも、その身をズタズタに引き裂きたくもならない。
そんな、当たり前の幸福に。
ロシェは短く、それでいて大きく喜びを表すかのように一声鳴くと、アルルの元へと一直線に駆けていった。
「ほ、ほんとうに、ロシェ、なんだよね? うそ、みたい」
身体の幾何学模様が静かに物語る。
見紛う筈も無く、間違いなくロシェである、と。
目線を合わせるように屈んだアルルの手の内にすっぽりと収まるロシェ。
「ちょっ、ロシェ、くすぐったいってば!」
「アルル殿は魔物の知り合いが居たのか。それに見たところ随分親しげであるな」
「あたしだって別に手当たり次第に魔物を浄化してきた訳じゃないんだけど?」
ロシェの頭を優しく撫でながら、受け答えを行うアルル。
「真か? 我はてっきり無差別に攻撃していたものだとばかり思っていたが」
浄化の聖女と言えば魔物の間では人間界で言う悪魔的な存在としてその名を馳せていた。
「瘴気が薄い魔物は最低限の浄化に止めて見逃してたんだ。あたしが独断でやってた事なんだけどね。あの国全体での認識ならそれで間違って無いかな、残念だけど」
最低限の浄化、言い換えれば魔王の縛鎖から解き放つ……までは残念ながら行かないものの、緩める程度は可能だった。
「そのような話、魔物内では聞いたことも無かったが……少し考えれば至極当然の話か」
聖女に見つかり慈悲を与えられ逃げ帰ったなどと知られればその場で骸を晒す事になるだろう。
魔物の世とは、それだけ厳しい。
「ロシェはかなり瘴気が強い方だったんだけど、元気になっても最後まで人を襲おうとはしなかったんだ」
瘴気が濃いほど闘争本能が強く圧し掛かり、それに抗う代償も強くなる。
ロシェの種族、ウルフェンバイトはその色が特に強い。
計り知れないほどの衝動に駆られながらも極限まで耐え抜いたロシェの苦悶は語るまでも無い。
「アルル殿が魔物の世に生れ落ちていたとしてもまた、聖女と謳われていたのだろうな」
「魔物の聖女? ってなにそれ、へんなの」
「魔物の世にとって必ずしも邪が正義とは限らないという事だ」
裏を返せば、聖が必ずしも人間の世にとって正義とは限らない、ということ。
「むしろさっきの話を聞く限りじゃ魔物にとっても邪は悪としか思えないんだけど?」
呆れるように問いを投げるアルル。
「多かれ少なかれ大抵の魔物はそれに気づいているのだろう。だが所詮、それに抗えはしない」
ジゼは何かを思い出すように哀愁に耽る。
「邪を正義と思い込むしかなくなるってこと、か。やんなっちゃうね」
魔物に対する同情はとうに封じ込めたアルルであったが、手を組む以上は無理に押し込める必要も無い。
と、そこまで思い至ったはいいものの、あまりにも自分勝手な思考ぶりに我ながら呆れるアルルであった。
「その通りだ、アルル殿。いくら足掻いたところで本質までは変えられない。変えるとしたら……我らの様に生まれ変わる他無い」
魔物の中には魔王の呪縛を振り払うべく研究に耽る者も存在したが、遂に完全に支配から逃れる事は叶わなかった。
「ほんと、魔物と人間の争いってバカみたいだよね」
アルル自身、戦いの中で何回もそれを痛感している。
「共通の敵が存在する方が都合がいいのだろう、互いにな」
「そうでもしないと今度は同じ種族同士で殺し合っちゃうからね」
「我も完全に理性を失った同志を幾度か切った、まだその時の感触がこの手に鮮明に焼き付いている」
忌々しき記憶に哀愁を漂わせるジゼ。
「あたしもね、さっき、人間を殺してきたんだ」
「そうか。互いに互いの種族に背く者同士、そのようなことも多々あろう。覚悟はあるか?」
「魔物も人間も等しく殺すよ。もう、あたしは自分を聖女だなんて思ってないし」
(いや元から毛ほどもそんな事思ってないけど)
「ならば良い。だがアルル殿は聖女だ。自分でどう思おうが構わぬが、聖女の名に相応しい者は他には居まい」
人間に剥奪された聖女の名を今度は魔物に与えられる。
こんな不可思議なことは他には無い。
「ごめん、足止めちゃって。館の中、案内して! いこ、ロシェ!」
アルルが一声かけると邪魔にならない程度にその足元に張り付くロシェ。
そして館に一歩足を踏み入れれば、深い森の中に建っているとはとても思えない、まるで別世界のような空間が広がっていた。
外観もさることながら、内装も人間の技術と比べても遜色ないほど精巧な作りに仕上がっている。
それも当然の話。
アルル一行が攻め入った魔王城はヴリードル城よりも高く、瀟洒に聳えていたのだから。
アルルが到着した頃には城下町は既に荒らされた後で、見るに堪えない有様であったが。
「皆アルル殿に救われた魂だ。これをどう思う」
出迎えに上がった魔物たちが、新たなる主を一目見ようと一定の距離を保ちながらわらわらと二人の周囲に集う。
「やっぱり変な感じだね。自分じゃそんなつもりなかったし」
自身の地位向上、利益の為に私利私欲のまま魔物を屠ってきたアルル。
その過程で心の何処かに芽生えた罪悪感が、"慈悲"の正体。
しかしやはりジゼが言う通り、その我が儘で傲慢な慈悲に救われた魂が数え切れぬ程存在するのも事実で。
「無意識で他を救える者ほど聖女の肩書に似合う者もおらぬな」
「もうわかったからあんまり持ち上げないで、恥ずかしいから」
人間性的な部分の自己評価が低いアルルはその観点で褒められる事を良しとしていない。
「そうか? おっと、ここが共有の広間だな。暇な者は大抵ここで暇を潰している」
玄関を抜けたすぐ先に広がる綺羅びやかな空間は、アルルの心を掴むのには十分すぎた。
「すごい! 城の居間より綺麗かもしれない!」
間もなく、その設計と装飾に携わった人物――魔物が二人の前に姿を表す。
アルルの目の前に聳える館は、かつて身を置いていた公爵家の館よりも精巧な装飾が施されていた。
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「ロシェ……ロシェなの?」
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しかし弱り切ったその姿にアルルは種族の壁を越えた情を抱いてしまっていた。
そしてアルルのその思いに応えられるよう、ロシェは自分が魔物である事を懸命に忘れようとした。
しかし、ロシェがアルルの事を想えば想う程、それに比例して殺戮、破壊衝動も強まっていった。
ロシェはそんな自分に心底嫌気が差し、最期はアルルの手でこの世との決別を果たす事を望んだ。
それこそが憐れな一匹の魔物の、唯一残された悲しき願いだったのだ。
アルルもその決意を受け入れ、それに応えるよう、溢れる想いを目に留めながらも手厚く手向けたという。
そしてロシェは今、歓喜に震えている。
もうアルルの手が目の前に迫ろうとも、噛み砕きたくなる衝動にも駆られない。
抱き上げられようとも、その身をズタズタに引き裂きたくもならない。
そんな、当たり前の幸福に。
ロシェは短く、それでいて大きく喜びを表すかのように一声鳴くと、アルルの元へと一直線に駆けていった。
「ほ、ほんとうに、ロシェ、なんだよね? うそ、みたい」
身体の幾何学模様が静かに物語る。
見紛う筈も無く、間違いなくロシェである、と。
目線を合わせるように屈んだアルルの手の内にすっぽりと収まるロシェ。
「ちょっ、ロシェ、くすぐったいってば!」
「アルル殿は魔物の知り合いが居たのか。それに見たところ随分親しげであるな」
「あたしだって別に手当たり次第に魔物を浄化してきた訳じゃないんだけど?」
ロシェの頭を優しく撫でながら、受け答えを行うアルル。
「真か? 我はてっきり無差別に攻撃していたものだとばかり思っていたが」
浄化の聖女と言えば魔物の間では人間界で言う悪魔的な存在としてその名を馳せていた。
「瘴気が薄い魔物は最低限の浄化に止めて見逃してたんだ。あたしが独断でやってた事なんだけどね。あの国全体での認識ならそれで間違って無いかな、残念だけど」
最低限の浄化、言い換えれば魔王の縛鎖から解き放つ……までは残念ながら行かないものの、緩める程度は可能だった。
「そのような話、魔物内では聞いたことも無かったが……少し考えれば至極当然の話か」
聖女に見つかり慈悲を与えられ逃げ帰ったなどと知られればその場で骸を晒す事になるだろう。
魔物の世とは、それだけ厳しい。
「ロシェはかなり瘴気が強い方だったんだけど、元気になっても最後まで人を襲おうとはしなかったんだ」
瘴気が濃いほど闘争本能が強く圧し掛かり、それに抗う代償も強くなる。
ロシェの種族、ウルフェンバイトはその色が特に強い。
計り知れないほどの衝動に駆られながらも極限まで耐え抜いたロシェの苦悶は語るまでも無い。
「アルル殿が魔物の世に生れ落ちていたとしてもまた、聖女と謳われていたのだろうな」
「魔物の聖女? ってなにそれ、へんなの」
「魔物の世にとって必ずしも邪が正義とは限らないという事だ」
裏を返せば、聖が必ずしも人間の世にとって正義とは限らない、ということ。
「むしろさっきの話を聞く限りじゃ魔物にとっても邪は悪としか思えないんだけど?」
呆れるように問いを投げるアルル。
「多かれ少なかれ大抵の魔物はそれに気づいているのだろう。だが所詮、それに抗えはしない」
ジゼは何かを思い出すように哀愁に耽る。
「邪を正義と思い込むしかなくなるってこと、か。やんなっちゃうね」
魔物に対する同情はとうに封じ込めたアルルであったが、手を組む以上は無理に押し込める必要も無い。
と、そこまで思い至ったはいいものの、あまりにも自分勝手な思考ぶりに我ながら呆れるアルルであった。
「その通りだ、アルル殿。いくら足掻いたところで本質までは変えられない。変えるとしたら……我らの様に生まれ変わる他無い」
魔物の中には魔王の呪縛を振り払うべく研究に耽る者も存在したが、遂に完全に支配から逃れる事は叶わなかった。
「ほんと、魔物と人間の争いってバカみたいだよね」
アルル自身、戦いの中で何回もそれを痛感している。
「共通の敵が存在する方が都合がいいのだろう、互いにな」
「そうでもしないと今度は同じ種族同士で殺し合っちゃうからね」
「我も完全に理性を失った同志を幾度か切った、まだその時の感触がこの手に鮮明に焼き付いている」
忌々しき記憶に哀愁を漂わせるジゼ。
「あたしもね、さっき、人間を殺してきたんだ」
「そうか。互いに互いの種族に背く者同士、そのようなことも多々あろう。覚悟はあるか?」
「魔物も人間も等しく殺すよ。もう、あたしは自分を聖女だなんて思ってないし」
(いや元から毛ほどもそんな事思ってないけど)
「ならば良い。だがアルル殿は聖女だ。自分でどう思おうが構わぬが、聖女の名に相応しい者は他には居まい」
人間に剥奪された聖女の名を今度は魔物に与えられる。
こんな不可思議なことは他には無い。
「ごめん、足止めちゃって。館の中、案内して! いこ、ロシェ!」
アルルが一声かけると邪魔にならない程度にその足元に張り付くロシェ。
そして館に一歩足を踏み入れれば、深い森の中に建っているとはとても思えない、まるで別世界のような空間が広がっていた。
外観もさることながら、内装も人間の技術と比べても遜色ないほど精巧な作りに仕上がっている。
それも当然の話。
アルル一行が攻め入った魔王城はヴリードル城よりも高く、瀟洒に聳えていたのだから。
アルルが到着した頃には城下町は既に荒らされた後で、見るに堪えない有様であったが。
「皆アルル殿に救われた魂だ。これをどう思う」
出迎えに上がった魔物たちが、新たなる主を一目見ようと一定の距離を保ちながらわらわらと二人の周囲に集う。
「やっぱり変な感じだね。自分じゃそんなつもりなかったし」
自身の地位向上、利益の為に私利私欲のまま魔物を屠ってきたアルル。
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しかしやはりジゼが言う通り、その我が儘で傲慢な慈悲に救われた魂が数え切れぬ程存在するのも事実で。
「無意識で他を救える者ほど聖女の肩書に似合う者もおらぬな」
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人間性的な部分の自己評価が低いアルルはその観点で褒められる事を良しとしていない。
「そうか? おっと、ここが共有の広間だな。暇な者は大抵ここで暇を潰している」
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