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墓
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教会での活動はあっという間に終わり、外に出るともうすでに魔王は魔馬車にもたれかかってわたしを待っていた。
「来たな」
手を差し出されて、それに掴まって車内に乗り込むと、魔馬車はすぐに出発した。
だけど、走るのはいつもの道ではない。来る途中に言われた『寄り道』の場所に行くのだろうと思って窓から外を見ると、街の景色はみるみる遠のいていった。城よりはさらに遠く、郊外に出てきたようだ。
どこにいくのかしら、と思って魔王の方を窺うと、ばっちりと目が合った。
夕暮れみたいな薄紫の瞳を見ていると、「デートだ!」と囃された子どもたちの声が蘇ってきて、なんとなく気恥ずかしくなって目をそらしてしまう。
黙って目をそらしたことを追求されるのではないかと思ったが、魔王はそんなわたしに何も言わなかった。
ただ、懐かしいものを見るように笑っている姿を目の端で捕らえた。
優しい微笑みだ。どうして、わたしをそんな目で見るのかわからない。
そんな時間をしばらく過ごして、ようやく馬車は止まる。
「少し歩くぞ」
そう言って魔王はわたしの手をとり、まるでエスコートするようにして歩き出した。歩いている間、顔が赤くなってないかとわたしはそればかりを心配していて、周りの風景が目に入っていない。ただひたすら、石畳の途切れ目を見続けていて、そして「着いたぞ」と言われてようやく顔を上げたとき、目の前に広がったのは、
古びた墓場だった。
ほらやっぱり、デートじゃない。
初デートが墓場だなんて、いくらなんでもあんまりだもの。
すこしだけ残念な気持ちになって息を大きく吸い込むと、華やかな香りが鼻腔をくすぐった。見渡せば、墓を慰めるように真っ赤な薔薇がそこかしこに咲いている。
「きれいな薔薇……魔族の土地は作物が育ちにくいと聞きましたが、薔薇はよく咲くんですね」
「この地の固有種だからな。昔から、この花だけはよく咲くんだ」
柔らかい声音に驚いてすぐ横にいる魔王を見上げると、見たこともないような穏やかな顔をしている。
城ではいつもツンツンした顔をしているくせに、この場所では随分リラックスしているみたいだ。よっぽどここは、この人にとって大切な場所なのではないだろうか。
そうでもなければ、こんな顔はできないと思う。
――このお墓に、一体何があるというのだろう。
――わたしに何の話を聞かせるというのだろう。
そんなことを考えながら、導かれるまま魔王について進んでいくと、墓地の一番奥にひときわ立派な墓があった。
「これは、どなたのお墓ですか?」
答えなんてわかり切っている質問を、わたしはする。
なぜならきらびやかな装飾を見れば、相当高位の人のお墓であることは一目瞭然だからだ。
つまり、この墓の主は魔王領で、最も尊敬されている人。歴代魔王の誰かの墓であるはずだ。
だけど、魔王本人の答えは、わたしの予想から少しだけズレていた。
「初代魔王の墓だ。そして、俺の墓でもある」
その言葉に驚いて彼を見上げるが、瞳は穏やかなままだった。
「どういう、意味ですか?」
生者の墓を用意するだなんて、その人の死を願うという意思の表明だ。わたしが暮らしてきた人間の社会ではそうだったし、魔族の社会でも、それは変わらないはずだ。
そんなわたしの戸惑いをすべてわかった顔で、魔王はこんな説明をした。
「魔王と称される存在は、すべて初代のクローンなんだ。だから初代以降の魔王は全員同じ遺伝子を持って生まれ、死ねばここに埋葬される」
「クローン? それってなんですか?」
「命の複製、と言えばわかりやすいか。遺伝子レベルで自分の肉体を複製し、魔法によって魂を移譲する。そうやって、初代魔王は疑似的な不死を実現させたんだ」
「どういうことです?」
意味が分からなかった。複製? クローン? そんな知識はわたしにはない。この人が一体何を言っているのかわからない。
わたしの戸惑いを知らずに、魔王は穏やかな顔のまま話を続ける。
「魔王は何度も自分自身を複製してずっと生き続けてきたということだ。完全に記憶を維持したまま、聖女を待ちつづけるために」
「……聖女を?」
話についていけなくて混乱し始めたわたしにもう一度あの穏やかな微笑みを見せた後、魔王はぽつりぽつりと語った。
それはカイドルさんから聞いた、宝玉を巡る人類と魔族の話の、魔王視点のお話。
「初代魔王は人間との戦争にあたって、魔族の中でも最も魔力の強い者が選ばれた。強い者が権力をもつ魔族の社会では当然のことだ。だが、争いの火種となった宝玉を誰かが手に入れれば、それが誰であっても魔王にとっては自分の地位を脅かす脅威になる」
これが、魔王にのみ語られることを許される歴史というものなのだろうか。
だけどそれが、先ほどまでの話にどうつながるというのだろう。
「だから『人間を倒して宝玉を手に入れる。その力で魔族はさらに強力になる』という魔族の大多数の主張に賛同するふりをしていても、もし宝玉を手に入れたとしたらすぐに破壊する気だったんだよ」
初代魔王が葬られているという墓をコンコンと叩いて、魔王は続ける。
「しかし初代は、聖女に出会った。聖女は勇者からの保護を求めるのと同時に、魔族と人間の融和を唱えた。それでも人間との敵対路線を改めない初代を説得するために、何度も魔王領にやってきた。その美しさ、ひたむきさにいつしか初代は、心を奪われた」
それはつまり――初代魔王は、当時の聖女に恋をしていたということ?
その言葉に、なぜか心が冷えていく。
懐かしい記憶を思い出すかのように語り続ける彼の紫の瞳には、果たしてなにが映っているのだろう。
あの微笑みは、誰に向けられたものだっただろう。
「来たな」
手を差し出されて、それに掴まって車内に乗り込むと、魔馬車はすぐに出発した。
だけど、走るのはいつもの道ではない。来る途中に言われた『寄り道』の場所に行くのだろうと思って窓から外を見ると、街の景色はみるみる遠のいていった。城よりはさらに遠く、郊外に出てきたようだ。
どこにいくのかしら、と思って魔王の方を窺うと、ばっちりと目が合った。
夕暮れみたいな薄紫の瞳を見ていると、「デートだ!」と囃された子どもたちの声が蘇ってきて、なんとなく気恥ずかしくなって目をそらしてしまう。
黙って目をそらしたことを追求されるのではないかと思ったが、魔王はそんなわたしに何も言わなかった。
ただ、懐かしいものを見るように笑っている姿を目の端で捕らえた。
優しい微笑みだ。どうして、わたしをそんな目で見るのかわからない。
そんな時間をしばらく過ごして、ようやく馬車は止まる。
「少し歩くぞ」
そう言って魔王はわたしの手をとり、まるでエスコートするようにして歩き出した。歩いている間、顔が赤くなってないかとわたしはそればかりを心配していて、周りの風景が目に入っていない。ただひたすら、石畳の途切れ目を見続けていて、そして「着いたぞ」と言われてようやく顔を上げたとき、目の前に広がったのは、
古びた墓場だった。
ほらやっぱり、デートじゃない。
初デートが墓場だなんて、いくらなんでもあんまりだもの。
すこしだけ残念な気持ちになって息を大きく吸い込むと、華やかな香りが鼻腔をくすぐった。見渡せば、墓を慰めるように真っ赤な薔薇がそこかしこに咲いている。
「きれいな薔薇……魔族の土地は作物が育ちにくいと聞きましたが、薔薇はよく咲くんですね」
「この地の固有種だからな。昔から、この花だけはよく咲くんだ」
柔らかい声音に驚いてすぐ横にいる魔王を見上げると、見たこともないような穏やかな顔をしている。
城ではいつもツンツンした顔をしているくせに、この場所では随分リラックスしているみたいだ。よっぽどここは、この人にとって大切な場所なのではないだろうか。
そうでもなければ、こんな顔はできないと思う。
――このお墓に、一体何があるというのだろう。
――わたしに何の話を聞かせるというのだろう。
そんなことを考えながら、導かれるまま魔王について進んでいくと、墓地の一番奥にひときわ立派な墓があった。
「これは、どなたのお墓ですか?」
答えなんてわかり切っている質問を、わたしはする。
なぜならきらびやかな装飾を見れば、相当高位の人のお墓であることは一目瞭然だからだ。
つまり、この墓の主は魔王領で、最も尊敬されている人。歴代魔王の誰かの墓であるはずだ。
だけど、魔王本人の答えは、わたしの予想から少しだけズレていた。
「初代魔王の墓だ。そして、俺の墓でもある」
その言葉に驚いて彼を見上げるが、瞳は穏やかなままだった。
「どういう、意味ですか?」
生者の墓を用意するだなんて、その人の死を願うという意思の表明だ。わたしが暮らしてきた人間の社会ではそうだったし、魔族の社会でも、それは変わらないはずだ。
そんなわたしの戸惑いをすべてわかった顔で、魔王はこんな説明をした。
「魔王と称される存在は、すべて初代のクローンなんだ。だから初代以降の魔王は全員同じ遺伝子を持って生まれ、死ねばここに埋葬される」
「クローン? それってなんですか?」
「命の複製、と言えばわかりやすいか。遺伝子レベルで自分の肉体を複製し、魔法によって魂を移譲する。そうやって、初代魔王は疑似的な不死を実現させたんだ」
「どういうことです?」
意味が分からなかった。複製? クローン? そんな知識はわたしにはない。この人が一体何を言っているのかわからない。
わたしの戸惑いを知らずに、魔王は穏やかな顔のまま話を続ける。
「魔王は何度も自分自身を複製してずっと生き続けてきたということだ。完全に記憶を維持したまま、聖女を待ちつづけるために」
「……聖女を?」
話についていけなくて混乱し始めたわたしにもう一度あの穏やかな微笑みを見せた後、魔王はぽつりぽつりと語った。
それはカイドルさんから聞いた、宝玉を巡る人類と魔族の話の、魔王視点のお話。
「初代魔王は人間との戦争にあたって、魔族の中でも最も魔力の強い者が選ばれた。強い者が権力をもつ魔族の社会では当然のことだ。だが、争いの火種となった宝玉を誰かが手に入れれば、それが誰であっても魔王にとっては自分の地位を脅かす脅威になる」
これが、魔王にのみ語られることを許される歴史というものなのだろうか。
だけどそれが、先ほどまでの話にどうつながるというのだろう。
「だから『人間を倒して宝玉を手に入れる。その力で魔族はさらに強力になる』という魔族の大多数の主張に賛同するふりをしていても、もし宝玉を手に入れたとしたらすぐに破壊する気だったんだよ」
初代魔王が葬られているという墓をコンコンと叩いて、魔王は続ける。
「しかし初代は、聖女に出会った。聖女は勇者からの保護を求めるのと同時に、魔族と人間の融和を唱えた。それでも人間との敵対路線を改めない初代を説得するために、何度も魔王領にやってきた。その美しさ、ひたむきさにいつしか初代は、心を奪われた」
それはつまり――初代魔王は、当時の聖女に恋をしていたということ?
その言葉に、なぜか心が冷えていく。
懐かしい記憶を思い出すかのように語り続ける彼の紫の瞳には、果たしてなにが映っているのだろう。
あの微笑みは、誰に向けられたものだっただろう。
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