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閑話7真実の愛の先に
しおりを挟む王都新聞ではナターシャが犯した事や、ハルバートの罪状が公にされた。
学園でナターシャの取り巻きとなっていた男子生徒は夢から覚めたが、これまでの行動により、勘当されたり、追放された者が多かった。
影響を受けて婚約破棄を言い出した男性も少なくなかったので学園では色々問題が生じた。
一時の感情で将来を棒に振るような行動をとった彼等は婚約者と寄りを戻そうとしたたが。
「待ってくれ!話を聞いてくれ」
「離す事はありませんわ。婚約破棄は了承しましたので、もう私の前に現れないでください」
「婚約破棄を破棄させてくれ…あんなのは気の迷いで!」
「もう遅いですわ。真実の愛に生きたい…愛の無い結婚なんてしたくないと公の場でおっしゃったではありませんか」
ナターシャ達に影響され、まるで流行のように男子生徒は婚約破棄を告げたのだが。
そもそも貴族の婚約は家同士の繋がりを守る為でもある。
特に没落寸前の家を守る為に身分が低い令嬢と婚約するする際は様々な制約がある。
それを一時の感情で破る等許されることはない。
今ここで口論している男子生徒は実家が傾きかけ、婚約者に援助してもらっているのだ。
しかし、婚約者以外に恋人を作ったのだ。
「すべてを捨てて生きて行きたい女性がおられるんでしょう?私は応援しますわ…幸いにも私が爵位を継承できることになりました…ですが、私の名を使って散財したお金は返済していただきます」
「待ってくれ!俺は」
「一連の事件のおかげで、父は、他人に家を継がせるるよりも実子の方が良いと言ってくださいましたの。アナタとの婚約は不要になりましたの」
「そんな…じゃあ俺は」
「知りませんわ。すべてを捨てて愛する人と一緒に何処へでもお好きにお行きなさいませ?ですが、契約違反をなさったので慰謝料を請求しますので」
「払えるはずが…」
「無理ならば構いませんわ?そうなった時は…ねぇ?」
不敵に笑う笑みが悪魔の微笑みのように思えてならない。
一時の感情ですべてを捨てると追う事は簡単な事ではない事を今さらになって後悔しても遅い。
「ナターシャ様に感謝しなくてはなりませんわ」
「えっ…」
「婚約中に貴方の本性を知れて…結婚後でしたら簡単に離縁はできませんでしたし。きっかけになりました」
まだまだ男尊女卑が激しい世の中であるが、恋に現を抜かす男が多いのを見せしめにできたからこそ、女性の風たりがましになったのだ。
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