巻き込まれて婚約破棄になった私は静かに舞台を去ったはずが、隣国の王太子に溺愛されてしまった!

ユウ

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61次代の為に

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学園ですべきことはもうなくなった。
一足早く卒業試験を受けさせてもらい、私は学園で最後の挨拶を交わす事にした。



「ジゼル…」

「アンリエット様」


「すべての手続きが終わったようですわね」

「はい、この度は本当にありがとうございます」



私が隣国に行きやすいようにアンリエット様は手助けをしてくださったのだと後からお兄様から聞いた。

「たいしたことはしてませんわ」

「サンチェスト侯爵家の後を継がれるとお聞きしました」

「ええ、今回の一件のおかげです」

ナターシャ様の取り巻きはあの後、婚約者に寄りを戻したいと訴えたらしいが後の祭りだったと聞く。


婿養子になる事が決まっていた者や、借金を抱えていたので婚約と同時に借金を肩代わりしてもらっていた者も少なくなかった。


しかし、一時の感情に任せてすべてを壊してしまった。



「待ってくれ!話を…」

「しつこいですわ!婚約破棄を望んだのは貴方でしょう?」

「あれは気の迷いだ」



廊下で男女が口論を続けているが、どう見ても嫌がる女性に付きまとう男だった。



「パルキウス子爵令嬢は平民の幼馴染と婚約する事が叶ったそうですわ」


「えっ…」

「彼女は他に好きな男性がいらしたのですが、家の為に諦めたのですけど…今回の騒動と婚約破棄騒動でパルキウス子爵が考えを改めたそうですわ。彼女が跡継ぎになり、幼馴染の彼が補佐になるとか」

「それは…」


本当に皮肉な事だわ。
元婚約者の彼は哀れだけど、身から出た錆だわ。


「本当に愚かよね?あんな女に騙され浮かれて、最後は全てを失うのだから」

「本人同士はともかく、ご両親が少しばかり気の毒ですね」

「確かにね…だけど、息子の教育を間違えたんじゃない?自分達は役を演じて酔っていたのよ」


アンリエットの言葉は正論でとても手厳しかったが、貴族であることを自覚していなかった。


「自分だけが家の犠牲になったなんて思うからよ。むしろ女性の方が犠牲になっているのに」

「アンリエット様…」

「だから私が…いいえ、私達の代でこのおかしな常識を変えるわ」


ナターシャ様の介入を割る事ばかりではなかった。
彼女の身勝手な行動で傷ついた人は多かっただろうけど、きっかけになったかもしれない。


「彼等は踏み台になってくれましたわ」

「アンリエット様…」

「不義を働いて、女性が我慢を強いられるなんて不公平ですものね」

ごもっともです。
浮気をしても女は耐えるのが当たり前なんて世の中はおかしいと思った。


だからこそ私達の手で変えなくてはならないのかもしれない。


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