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48.恥ずかしい連中~シアンside
しおりを挟むあの女が色々やらかしてくれたおかげでしばらくは騒動で忙しくなるだろうけど、早くジゼルを隣国に行かせてあげたい。
ようやく幸せになれるのだから。
「もう、誰にも…」
「お嬢様」
「何?」
老執事が遠慮がちに部屋に入って来た。
「どうしたの?」
「ウェルド伯爵家から手紙が届いております」
「全部燃やしなさい」
また手紙?
婚約破棄を破棄したいと言う手紙がずっと来ているけど、そんなものを相手にするはずがないわ。
一連の騒動で、ナターシャに夢中だった男達は伝染病の如く婚約破棄をした。
まるで何かのブームのように。
その所為で学園内でもちょっとした事件に発展した。
ようするにロマンス小説の如く酔って真実の愛を貫くだなんて馬鹿な事を言って、一時の感情で婚約者に婚約破棄をした男子生徒が増えたのだ。
だけど、彼等は誤解をしている。
自分達だけが不幸と思っているようだけど、家の為に覚悟をして政略結婚を強いられたのは女性もだ。
それを勝手に悲劇の主人公気取りなのだから。
ある意味女性の方が苦労を強いられていると言っても過言ではないのに。
だけど、そのおかげで婚約破棄をされた令嬢を筆頭に自立を目指すべきだと言う声が上がった。
その所為でその場の勢いでとんでもない事をした馬鹿な男子生徒は学園中でも笑い者だ。
家が傾き政略結婚をしなくてはならない男子生徒や、入り婿が決まっている次男、三男なんて悲惨だろう。
「まぁ自業自得ね」
私だってシルキス様を許す気もない。
元から私だって彼に何の感情もないし、あくまで義務があるだけ。
なのに他の女に現を抜かし、私を冷たい女だと侮辱したのだから。
もう関わり合いたくないわ。
なのに情けない男達は学園でも恥も外聞もないのかしらね?
「待ってくれ!話を聞いてくれ」
「もう貴方とは他人ですわ」
「そんな、あんまりじゃないか」
「私を愛する気はないと言ったのは何方ですの?下級貴族風情と口汚く罵倒したではありませんか」
元婚約者と寄りを戻したくて後を追いかけている姿はストーキングと一緒だった。
「もういい加減にしてください!私はもう…」
「そんな言い方はないだろ!」
「いい加減にんさったら?」
私は嫌がる女性を付け回す男が大嫌いだわ。
だから割って入らせてもらう。
「なっ…ファミリア辺境伯爵令嬢」
「部外者ですけど、嫌がる女性を付け回すのは紳士のする事ではなくてよ」
こんな男がいるから社交界が腐るのよ。
やるなら徹底的にしてやらないと。
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