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47.間違えた選択
しおりを挟む人の大切な物を奪って、それでも顧みることがなかった。
ゲームでのナターシャは良くも悪くも真っすぐで一生懸命だった。
だからこそご都合主義でもヒロインとして成立したけど。
今の彼女は…。
「彼女にはスパイ容疑がかかっていますわ。これから拷問して吐かせなくてはなりません」
「彼女がスパイですか」
もしかしてこれは、ゲーム上で知りえた情報をペラペラしゃべっていた所為かしら?
あんな口の軽いスパイなんているはずないのだけど。
「何処の国の回し者か…随分と馬鹿な人間をスパイに選んだものだが」
「ああ、何を思ったのか」
アレンディス殿下とアンリエット様はスパイとは思いたくないようだわ。
決して彼女を庇うわけではなく、こんな馬鹿なスパイがいたなんて思いたくないだけなのだろうけど。
「さぁ立て」
「痛い!ウィル様!」
騎士達に無理矢理立たされ嫌がる彼女はウィル様を呼んで助けを求めるも。
「気やすく私を愛称で呼ばないでくれ。君に愛称で呼ばれる筋合いはない」
「そんな…」
そもそも他国の王族を馴れ馴れしく名前で呼ぶのは無礼に値するのだ。
ゲームと現実を理解できなかった彼女は未だに受け入れられないだろうけど、この後ようやく現実を知ることになるだろう。
「ジル、申し訳ありません」
「ウィル様が悪いわけではありません」
「警備を強化すべきでした」
タイミングが悪かったのだ。
ティエリとリナリアが隣国に行く為の手続きをしていたので邸に残れなかったのだ。
「傷の方はたいしたことはないようですけど、陰湿ですわ」
「服を切り裂くなんて…本当に」
アンリエット様とシアンの治癒魔法でナターシャ様つけられた切り傷は癒えた。
そしてその後ナターシャ様は騎士団に連行された後に幽閉された事だけは聞かされたけど、二度と会うことはなく。
私は学園にも戻ることなく、一応事情聴取を受けることになった。
男爵家への罪に関しては…
「過度な罰は望みません。ですがしかるべき対応をお願いします」
「本当によろしいのですか」
「ええ、この国の法律を信じます」
今回の事で学園側も見直すべき校則もできただろうし、私自身もこれ以上何もできないと思った。
卒業試験を一足早く受け、一人卒業という形を取った後に二週間後アクアパレス王国に行く準備が進められた。
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