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35.私はヒロイン~ナターシャside②
しおりを挟む早速恋愛イベントを発生させるべく、行動をしたけど思う様に上手く行かなかった。
最初から好感度が高かったのは、同じく攻略対象の一人。
侯爵家の令息のハルバード。
彼は政略結婚の為に格下の伯爵令嬢と婚姻を結ばされていた。
望まない婚約に疲弊していたのが設定で、その相手はあの時私を咎めた女だと言うのが解った。
けれど、私とハルバードが親しくしても特に何かしてくることもない。
所詮なモブに近い脇役に過ぎないのだから何もできないわ。
ハルバートは別に推しキャラというわけではないけど。
取り巻きにはちょうどいいと思ったし、それなりに権力もあるから友人程度に傍にいた。
でも私の一番の推しキャラは――。
あの方だった。
「失礼、そこを通していただけますか」
「え?」
「ウィルフレッド殿下!」
そう、ナナイロの中でダントツで人気の高いキャラクター。
ウィルフレッド・アクアパレス。
隣国の王太子殿下で留学の為に一時的に滞在している。
容姿端麗で頭脳明晰なのだけどクールビューティーな王子様だ。
憧れの人が目の前にいる。
アレン様も素敵だけど、ウィル様も素敵なのよね!
「すまないが別館の図書館は開いているだろうか」
私に真っ先に話しかけているわ。
ゲームでは攻略対象になるには隠しルートに入らなくてはならなかったけど、既に恋愛フラグが立っているのね。
やっぱりヒロインの特権が…
「ウィルフレッドさ…」
だったのに。
「ジゼル嬢」
「は?」
私を無視してウィルフレッド様は後ろにいるあの女に真っ先に声をかけた。
「図書館の時間はまだ間に合いますか」
「ええ、問題ありません。案内いたします」
「ありがとうございます」
何であんな地味な女に声をかけるの?
「ウィル様!よろしければ私が案内しますわ!」
「は?」
「なっ…愛称で呼ぶとはなんと無礼な!」
傍にいる従者が私を咎めるも気にしない。
「図書館なら私が一緒します。その後一緒にお茶をでもいかがですか!」
「ナターシャ…」
「いいですよね?隣国からいらしてお一人なんて可哀想ですわ」
ここで恋愛フラグを立たせるために放課後のルートに入らないと。
そう思っていたのに。
「ナターシャ様、その言い方はあまりにも無礼ですわ」
「おいジゼル!」
「ハルバード様、貴方様も咎めるべきです。隣国の王太子殿下を愛称で呼ぶなど無礼過ぎます」
なんて嫌味な女なの!
私達の間に横入りするなんて。
婚約者を取られた腹いせね!
この時私はこの女を敵と判断した。
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