巻き込まれて婚約破棄になった私は静かに舞台を去ったはずが、隣国の王太子に溺愛されてしまった!

ユウ

文字の大きさ
上 下
38 / 79

30.じっくり蝕む~ミハイルside

しおりを挟む



隣国からセラビィ嬢が視察に来ているとの情報を得て直ぐに彼女は行動に出た事を知らされる。


「やはり隣国の才女と謡われるあの方は本物のようだな」

王太子殿下の従兄に当たり、宰相閣下の婚約者でもある彼女は女性ながらにして外交官として申し分ない優秀だった。


恐らく現在アクアパレス王国で抱えている外交問題にジゼルの知恵が役立つ事は直ぐに気づくと思った。

海の国故に貿易が活発だからこそ小さな国も悪しざまに扱うと後が面倒だ。
宗教至上主義の国は団結すると後から恐ろしい事になる。

ただ、こちらが下手に出凄ると搾取されてしまうから、その線引きが難しいのだ。


「ジゼルは、これまで厄介な教国の大使とも互角…いや、先手を打って来たんだ。大丈夫だろう」

「はい。実際、ジゼル様は解決策を次々と提案しているようです」

「流石我が妹だ」

伊達に貧乏侯爵家を立て直したわけじゃない。
今でこそ偉そうにしているが、チェイス侯爵家は元は乗り合い馬車で財を築いたのだ。

辻馬車がまだ多く存在しない頃にチェイス侯爵家の祖先が普及させたと言っても過言ではないが、時代と共に辻馬車は流行らなくなった。


辻馬車では長期は難しい事も原因の一つだった。


それでも大昔からすれば移動手段が限られている中考えたアイデアは素晴らしい物だった。
馬車で財を気づいたと言うのに、今の当主は馬車は見た目が最優先としている。


チェイス侯爵家に残っている馬車も素晴らしい物だったが、今では馬車で稼ぐなど時代錯誤だと言って手入れをしていない。

現在侯爵家で持っている馬車なんて手入れもされていない辻馬車ぐらいしかない。



「彼等は知らないだろうな。既に侯爵家の調度品は差し押さえになり、残っているのは多額の借金と売れない家具ばかりだ」


「後は金庫に多くの借用書がありましょう」

「だろうな?そうだ、婚約破棄土産をやるか」


これまで裕福な暮らしができたのは誰のおかげか。
社交界でも大きな顔をできたのは先代侯爵様と父上の存在に、ジゼルが走り回り人脈を広げた事だと思い知らせてやろう。


「それで馬鹿は謹慎中に遊び歩いているな?」

「はい、意味を理解してませんね」

「まぁ、馬鹿だからな」


アイツが停学処分になっても学園に来ていたのは知っているし、この程度は想定内だ。
素直に大人しく反省されては困る。

「アイツには踊って貰う。簡単には終わらせるものか」

ジゼルが受けた苦しみを味合わせてやる。


社交界で自分達がどれだけ人脈も信頼もないかじわじわと思い知ってな。

しおりを挟む
感想 144

あなたにおすすめの小説

結婚しましたが、愛されていません

うみか
恋愛
愛する人との結婚は最悪な結末を迎えた。 彼は私を毎日のように侮辱し、挙句の果てには不倫をして離婚を叫ぶ。 為す術なく離婚に応じた私だが、その後国王に呼び出され……

「いなくても困らない」と言われたから、他国の皇帝妃になってやりました

ネコ
恋愛
「お前はいなくても困らない」。そう告げられた瞬間、私の心は凍りついた。王国一の高貴な婚約者を得たはずなのに、彼の裏切りはあまりにも身勝手だった。かくなる上は、誰もが恐れ多いと敬う帝国の皇帝のもとへ嫁ぐまで。失意の底で誓った決意が、私の運命を大きく変えていく。

誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。

木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。 彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。 こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。 だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。 そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。 そんな私に、解放される日がやって来た。 それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。 全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。 私は、自由を得たのである。 その自由を謳歌しながら、私は思っていた。 悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。

公爵令嬢は、どう考えても悪役の器じゃないようです。

三歩ミチ
恋愛
*本編は完結しました*  公爵令嬢のキャサリンは、婚約者であるベイル王子から、婚約破棄を言い渡された。その瞬間、「この世界はゲームだ」という認識が流れ込んでくる。そして私は「悪役」らしい。ところがどう考えても悪役らしいことはしていないし、そんなことができる器じゃない。  どうやら破滅は回避したし、ゲームのストーリーも終わっちゃったようだから、あとはまわりのみんなを幸せにしたい!……そこへ攻略対象達や、不遇なヒロインも絡んでくる始末。博愛主義の「悪役令嬢」が奮闘します。 ※小説家になろう様で連載しています。バックアップを兼ねて、こちらでも投稿しています。 ※以前打ち切ったものを、初めから改稿し、完結させました。73以降、展開が大きく変わっています。

【完結】断罪された悪役令嬢は、全てを捨てる事にした

miniko
恋愛
悪役令嬢に生まれ変わったのだと気付いた時、私は既に王太子の婚約者になった後だった。 婚約回避は手遅れだったが、思いの外、彼と円満な関係を築く。 (ゲーム通りになるとは限らないのかも) ・・・とか思ってたら、学園入学後に状況は激変。 周囲に疎まれる様になり、まんまと卒業パーティーで断罪&婚約破棄のテンプレ展開。 馬鹿馬鹿しい。こんな国、こっちから捨ててやろう。 冤罪を晴らして、意気揚々と単身で出国しようとするのだが、ある人物に捕まって・・・。 強制力と言う名の運命に翻弄される私は、幸せになれるのか!? ※感想欄はネタバレあり/なし の振り分けをしていません。本編より先にお読みになる場合はご注意ください。

婚約破棄を突き付けてきた貴方なんか助けたくないのですが

夢呼
恋愛
エリーゼ・ミレー侯爵令嬢はこの国の第三王子レオナルドと婚約関係にあったが、当の二人は犬猿の仲。 ある日、とうとうエリーゼはレオナルドから婚約破棄を突き付けられる。 「婚約破棄上等!」 エリーゼは喜んで受け入れるが、その翌日、レオナルドは行方をくらました! 殿下は一体どこに?! ・・・どういうわけか、レオナルドはエリーゼのもとにいた。驚くべき姿で。 殿下、どうして私があなたなんか助けなきゃいけないんですか? 本当に迷惑なんですけど。 ※世界観は非常×2にゆるいです。   文字数が多くなりましたので、短編から長編へ変更しました。申し訳ありません。  カクヨム様にも投稿しております。 レオナルド目線の回は*を付けました。

【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた

アリエール
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。

【完結】悪役令嬢は婚約者を差し上げたい

三谷朱花
恋愛
アリス・デッセ侯爵令嬢と婚約者であるハース・マーヴィン侯爵令息の出会いは最悪だった。 そして、学園の食堂で、アリスは、「ハース様を解放して欲しい」というメルル・アーディン侯爵令嬢の言葉に、頷こうとした。

処理中です...