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28.隣国の姫君
しおりを挟む美しい容姿に似合わず、セラビィ様は肝っ玉母ちゃんのようだった。
「彼女は私の従妹です」
「申し訳ありません!」
王太子殿下のお従妹ということはだ。
王族じゃないの?
身分が違い過ぎるわ!
「どうかそのように固く考えないでください」
「そうですよ。これから親密なお付き合いをするのですから。一生結婚できないと諦めていた殿下がまさか…ぶっ!」
「今すぐ口を塞いで欲しいようだな」
「いだだっ!」
口は災いの元とはよく言ったものだけど。
こんな人が宰相で大丈夫なのかしら?
「ジゼル様、あの方は政治に関しては明るいですが、外に関しては頭のネジがズレているのです」
「真面目に取り合う必要はございません」
いいのだろうか。
二人からしても敬うべき存在だと言うのに。
「ジゼル様がいれば俺の仕事は楽になる!何故ならばこれ程優秀な方が王妃となれば仕事を回せるからだ!」
「お前はジルを何だと思っている!」
「そうですわ!無礼ですわよ!」
「そんなぁぁ!俺はセラとの幸福な新婚生活を描く為に!」
これは、随分と残念な頭をしている。
「あの、皆様。そろそろ話を」
何時までもこうしている訳にも行かない。
今日は大事な話し合いをするべく集まったと聞いているのだから。
「そうでしたね。申し訳ありません」
「私としたことが」
ピッコロを放置して二人は静かに席に座られ話を始めた。
「先日お手紙を頂き、是非とも我が国にジゼル様をお迎えしたく思います。できれば早急に貴女様をお迎えしたいのです」
「早急に…でございますか」
「はい、殿下より事情は伺っております」
私の背中の傷の事か。
それとも私が傷物令嬢出る事だろうかと不安を抱いている最中。
「陛下と王妃様が一日も早く王太子妃となるジゼル様にお会いしたと…」
「はい?」
「おい、セラ」
そんな理由?
「これまで見合いが不発だった我が国の王太子殿下は男色家だとか、色々噂が流れておりまして」
「何だ!その噂は!」
「それもこれも殿下の所為ですわ。つきましてはジゼル様には一日も早く我が国に来てくださいませ」
反対意見はあると思っていたのに拍子抜けだった。
「そんな簡単に認めてもらえるのでしょうか」
「他所は解りかねますが、我が国は恋愛結婚は珍しくありませんわ。両陛下も恋愛結婚でしたし…何より貴女様はあのセオドール様のご息女。歓迎こそされても反対すする者は少ないかと」
お父様?
一体何をしたと言うの!
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