巻き込まれて婚約破棄になった私は静かに舞台を去ったはずが、隣国の王太子に溺愛されてしまった!

ユウ

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25.隣国の問題

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リハビリと勉強を重ね私の体調は安定して来た。
一人で歩く事もできるようになり医師も私の回復に驚いていた。

けれど、ウィルフレッド様がため息をついおらていた。


「どうなさいましたか?」


「あっ、申し訳けありません。貴女との前で」

「どうか、私の事はお気になさらずに」


普段からクールで何があっても冷戦沈着な方なのに、ため息をつかれるなんて深刻な悩みを抱えておいでなのかもしれない。


「実は同盟国で少々問題が生じまして」

「問題…ですか」

「ええ、今度同盟国を招いて晩餐会を行うことになっているらしいのですが、宗教を重んじる一族の長なのです」


宗教を重んじる一族となれば南部のイプサロン首長連合国?
世界各地には教国が存在するけどあそこは少々強引な宗教団体がいる。

「晩餐会となれば肉料理がメインとなりますが、殺生を好まない。その為に以前も無茶難題を言ってこられてしまったんだ」

「ご無礼ですが、イプサロン首長連合国はどの国とも同盟を結ばれておられないはずですね」

「王政ではないが…彼等は信仰を理由に我が国に来ては無理な頼みごとをするのです。無下にすれば後から外交問題にされてしまっていると聞きまして」


できるだけ波風は立たせたくなのが本音かもしれない。


「父も頭を抱えていまして。ここで折れればつけあがると大臣は猛反発している。その一方で大臣の言葉を聞いて傲慢な王だと噂を流されては困るのです」


「ならば魚料理を出してはいかがですか?」

「魚ですか…」

「ええ」


前世でも肉、特に豚料理はご法度だ。
牛肉等も相手の怒りを買ってしまうけれど、魚ならば食べる習慣もあるはず。


「異教徒では肉を切り、血が出る事を毛嫌いします。ですが異教徒の食文化で魚を食している国も少ないですが存在します」

「そうしますと、コースメニューとしてはいさかか地味になりませんか?」

「ですが、イプサロン首長連合国はそこまで親しい間柄ではありません。しかし彼等は宗教を重んじていると言いながらもご自分の要求を求めていると聞きますわ」

普通なら、もてなしてくれる国に敬意を持たなくてはならない。
大国に横柄な態度は許されるはずもないのだから。

全てとは言わないけれど、宗教を重んじる国は政治に口を出して支援を要求する国が増えている。

心から信仰心を大事にしている者と利用する者が必ずいるのだ。



「ですから例え質素でも受け入れるべきです。無理に豪華なもてなしをする必要はありません」

「それは…」

「ここで下手に出れば侮られますわ」


戦争をしない為にも平和的にしたい気持ちは解るけど、アクアパレス王国が下に見られてはならない。


「祖国がいかにどっしり構えておられるか、かといって低姿勢ではないことを知らしめなくてはなら…」


しまった!
私は調子に乗り過ぎてしまった。


「申し訳ありません!勝手な事を!」

婚約者になったからと言って私はなんて無礼な事を!


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