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閑話2.噂の恐ろしさ
しおりを挟むジゼルが学園を休学している最中。
学園内は荒れに荒れていた。
その原因は先日の事件だけではない。
生徒会を始めに、学園内の風紀を守る風紀委員達が事を起こしたのだ。
とは言え、彼等は法律に触れるような真似はしない。
風紀委員長はあくまで学園内の風紀を守り、格式高い学園の名誉を守りながらも生徒達が安心して学園生活を送るのに務めていたのだが、今回の事件で強行突破に踏み切ったのだった。
月の一度の朝礼で、生徒会が新たな校則や、委員会が全校生徒の前でお知らせなどを発表する場で彼等は。
『この度我が校でとても残念な事件が起きました。ある生徒達の喧嘩を止めた生徒が魔法で攻撃を受けてしまったという前代未聞な事件です』
壇上に立ち、全校生徒の前ではっきり告げたのは風紀委員長のエリック・ソーヤだった。
「おい!」
エリックの発言で一番に怒ったのは言うまでもなくハルバートだった。
しかしクラスの生徒に押さえつけられ、その場から動けなくなった。
『我が校では暴力行為や学園内で私闘による魔法は禁じられています。にもかかわらずこのような事が起きました』
『現在魔法攻撃を受けた生徒は一命は取り留めましたが、未だに学園に来ることもままならりません。私達風紀員は再びこのような事がないように防ぎたく思います』
『そこで皆さんに意見を頂きたいのです』
エルリックに続き他の風紀委員が告げて行く。
そんな中、生徒達は騒ぎ始める。
「どうやって防ぐのかしら?」
「大体魔法科の生徒が傍若無人だからこんなことになるんだろ」
「そうよ、魔法科の生徒や騎士科の生徒は…」
魔力の低い生徒や、商人や下級貴族で魔力がない生徒はここぞとばかりに愚痴る。
しかし、ここで反論するのが強力な魔力を持つ魔法科の生徒からしたら一部の生徒でひとくくるにされるのは耐えがたかった。
「勝手な事を言うなよ」
「そうよ。私達をあんなのと一緒にしないでよ」
「そうよ。あんな馬鹿集団と一緒にしないで!」
事件を起こした一行やその争いを面白がる生徒は多いが僅かに介入しなかった生徒も多くいた。
「大体、複数の男と遊んでいるなんて下品だわ。流石平民上がり」
「陰湿な嫌がらせを指示したのは高位貴族でしょ?いくら男を取られたからって素行が悪いんじゃない?」
「「何ですって!」」
互いに対立する者同士。
特に旧貴族派と新貴族派は相容れない部分があった。
中立的な派閥でもだ。
これまで顔を合わせればにらみ合いで済んでいたがそこには理由があった。
彼等の諍いを止めるストッパー役がいたからだった。
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