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23.新たなロマンス~ミハイルside
しおりを挟む事件からしばらくして、学園内で新たなロマンスが生徒達の間で新たな噂の的となっていた。
『号外、新たなロマンス』
『隣国の王子と心優しき姫君の恋は海を越えて』
事件発生時に率先して生徒を守ったジゼルの武勇伝は即座に噂となり、新聞部は記事にしたのだった。
隣国の王太子殿下であるウィルフレッドは控えめで感情を表に出さない事で有名だったが、感情をむき出しにしてジゼルを救った姿は更に彼の印象を良くし、女子生徒からの人気は上がった。
対する他の面々。
特に問題を起こした一行は学園内では白い目で見られていた。
まぁ事実だろうが。
「いやぁ、実によくできた記事だな。まるで小説みたいだな」
「ミハイル…」
学園中の噂となっているウィルフレッドは頭を抱えているが、俺は楽しくて仕方ない。
「まぁそう深く考えるな。そのうち新しい噂で持ち切りだ」
「何のだ」
「ウィルと我が妹の結婚話だ」
顔を俯かせ頬を染める表情を見ておかしくなる。
普段から我が国の貴族、官僚とも対等に渡り合う程の頭脳と行動力を持つと言うのに。
「まぁ、良かったじゃないか」
「半分面白がっているでしょう」
「いや、心から喜んでいるさ」
あのままあの男と婚約なんて俺は許さない。
口約束で、正式な物ではないのでどうにかして婚約破棄をさせようと考えていた。
貴族の娘としての責任を果たそうと必死になるジゼルを思うと言えなかったが、あの男の浮気を知ってすぐにでも婚約解消をさせたかった。
「こうなって良かったが…完全には喜べないがな」
「ええ」
本当に律儀な男だ。
だからこそ信頼しているし、ジゼルを安心して任せられる。
「火傷の傷はある程度綺麗になっているのだろう?」
「ええ…ですが、風の魔法で受けた傷が酷くて」
服で隠せる部分であるがドレスの露出度を押さえればなんとでもなる。
だが、ジゼルの精神的な部分を考えると居た堪れない。
「叔父上が今、国中の医師を集めて脅迫している」
「ああ、レイナード殿ですか」
悪い人ではないか少しばかり頭が残念な人だ。
俺も幼少期に会ったが、重度のブラコンなのはドン引きする。
「本当にとんでもない事をしてくれた。今後国内は荒れるだろう」
「アレンディス殿下のお立場はどうなりますか」
「廃嫡は免れるも、厳しい立場になる」
直接手を下してはいないが、婚約者候補がしでかしたので全くの無関係という事で済まないだろう。
しかしアレンディス殿下も責任を感じており、医師の手配や他にできる限りの事をしようと奔走し、今回のような事故が二度と起こらない為ようにするとの事だが。
「チェイス侯爵家の処遇はどうなりました」
「あれが一番厄介だ」
目下の悩みはあの非常識一家だろうな。
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