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閑話1.叔父の激怒①~次男の場合
しおりを挟む東北を統べる大貴族、ユーモレスク家。
北を制圧している領地では多くの作物が盛んで、アルメリア王国の塩や砂糖を生産している。
その所為もあってか、領地は潤っている。
ただし自然を壊す事をよしとしていないので、北側は不便な土地だった。
冬になると馬ですら荷物を運べず、トナカイが荷物を運ぶことになっている。
一番便利なのは東北の中心部で、その領地はユモレスク家一の鬼と呼ばれるある男が当主を務めていた。
その男は。
「今すぐに国を沈めてやる!ミゲル!今すぐ奇襲をかける準備をしろ!」
「レイ兄上、今すぐ部屋に戻り執務の続きをしてください。貴方に兵を与えるわけがないでしょう?我が領地を火の海にするおつもりですか」
「ああ!私の可愛い、可愛い姪が!なんて事だ。名前だけの金もない貧乏で偉そうで能無しの男に浮気されたあげくに焼き殺されそうになるとは許しがたい!今すぐ半殺しにしてやりたい」
「半殺しにするんですか」
「簡単に殺してはつまらないだろうが。死にたいと思う程追い詰めて殺さずまた苦しめての繰り返しをしてやるんだ」
「ある意味、殺すよりもえげつないですな」
今にも乱闘騒ぎを起こしかねない男の名はレイナード・ユーモレスク。
ユーモレスク家の当主で侯爵の爵位を授かっていた。
継承ではなく、彼の代で優秀過ぎる故に爵位を与えられたのだ。
彼は百年に一度現れるか否かの天才だったが、変人でもあり国王もその才能を持て余す程だった。
眉間に皺をよせながらも冷静に対応するのはレイナードの弟で実質、ユーモレスク家を取り仕切っているミゲル・ユーモレスク。
放蕩な兄のストッパー役だった。
「お前は自分の姪があんな目に合わされて平気なのか!鬼!悪魔!」
「本を投げないでください。その本はセオ兄上からの贈り物です」
「何だと兄上の!早く言わんか馬鹿者!」
唯我独尊で超がつく程我儘男は優秀であるが協調性がない。
しかし優秀過ぎる故に放置すると危険なので、領地にて監視役がいることで侯爵の地位を許されている。
しかし改革や頭の回転の速さは脅威だった。
時折ネジが一本取れていると思われがちだったのだが――。
公には兄を追い出し跡継ぎになったと。
目的の為ならば赤子も平気で殺すと呼ばれるのだが、その正体は。
「兄上ぇぇぇぇ!」
病的なまでに兄を愛しているブラコンだった。
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