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番外編マリエルの末路⑪
しおりを挟むどうして私は誰からも裏切られるの?
私はただ幸せになりたかっただけなのにどうしてよ!
「シェリー嬢だけは、お前を心から思いやっていたと言うのに」
「は?」
何を言っているの?
あの女も私に親切にする振りをして嘲笑っていたに違いないわ!
「お前は本当に最後まで自分の事しか愛せないのですね。シェリーがお前に隠れて食事を与え、薬を与えていた事は知っています。その所為で上級メイドから折檻を受けていたというのに」
「は?」
「下級メイドの食事はお前よりマシでも量はそこまで変わらないのです。なのにあの子は自分の食べる分をお前に分け、着る服もお前に与え、身を削っていた…にもかかわらずお前はシェリーに非道な行いをした」
「そんなの知らないわよ。勝手にしたんじゃない…どうせ優越感に浸っていたんでしょ?馬鹿じゃないの?誰もが自分が一番かわいいのよ!私は幸せになる為に利用しただけよ!何が悪いのよ」
私は悪くないわ。
だって、私はこんな場所にいるに相応しくないんだから!
「これ以上は耳汚しでございます。どうか…」
「良い、まったく持って学習能力がない女よ。お前は生まれる場所を間違えたな…貴族として生まれるべきではなかった。いや、人として生まれるべきではなかったかもしれぬ」
「何を…」
「貴様ののような下劣な女がルイスの婚約者であった過去は不要じゃ。汚点にしかならぬ」
「何をする気…」
この時初めて言いようのない恐怖を抱いた。
今までも怖いと思った事はあっても、この女だけは別格だった。
「そなたに奴隷の刻印を焼きつけよ」
「えっ…」
傍に控えていた男達は焼きゴテを取り出す。
「それを拘束せよ」
「「「はっ!」」」
「やめて…そんな物を!嫌よ…それだけは!」
重罪人が犯した時に刻印を焼き付けられる儀式。
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家畜同様の扱いを受け、一度焼き付けられた刻印は一生消えないと言われている。
「お願いやめてぇ!」
「無駄だ。お前はそうやって泣きながら懇願する人間をどれだけ踏みつけた?他人の親切をどれだけ踏みにじったんだ」
「何で私だけ…そうよ。お母様は!私だけの責任じゃないわ!こうなったのは…」
こんな風に私を育てたお母様が全部悪いわ。
「ここで母を身代わりにするか。本当に愚かな…非道だな」
「お前の母親はもう会うことはない。お前が問題を起こす前日に修道院に入る事が決まった」
「何ですって!一人で逃げたの!」
なんて最低な女なの!
娘の私を見捨てて一人逃げていたんなて!
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