【本篇完結】無能だと言われて婚約破棄に追放されましたが、女王陛下に見初められました!

ユウ

文字の大きさ
上 下
86 / 91

番外編マリエルの末路⑦

しおりを挟む


あの後すぐに馬鹿なメイドを閉じ込め、私は支度をした。

あの女は下級メイドの癖に、化粧道具は悪くなかった。
煌びやかとは言えないが上等な装飾品に、イヤリングなども持っていたのでドレスアップに使うことにした。


白粉がなかったので上級メイドの部屋に忍び込んで懐に忍ばせた。
これぐらい当然だわ。

私は散々な苛めを受けたのだから。

これであいつ等も終わりよ。


「悪くないわね…」

化粧を終えた後、髪型が少し寂しく感じたが、仕方ない。

「やっぱり私にメイドは似合わないわ。貴族こそ私の姿よ」

鏡に向かって微笑みながら私はその場を後にした。

これで私は元の生活に戻れる。
今夜は良い日になるだろうと思って疑わなかった。


パーティー会場に何食わぬ顔で参加しながら、私は目当ての男を探す。


すると女を侍らせた男を見つける。



他の招待客も商人か下級貴族の癖に随分と身なりが良いわね。

やっぱりこのパーティーに参加する貴族は家格こそ高位貴族に劣るけど、財はかなり持っているようにも見えた。


どうせなら財産を持っている男をキープして置いて、後から厳選するのも良いわよね?

だって、侯爵以下は私の相手に相応しくないし。

後に私は女王として君臨するのだから。


「お嬢さん、どうかされましたか?」

「えっ…」


柱の陰でコソコソしていると、背後から声をかけられる。


「おや、あまり見ないお顔ですね」

「はい、父の代理で参りましたの」


焦りながらもその場限りの嘘をつけば目の前の男は疑うことはなかったが、かなりのイケメンだわ。

背がすらりとしていて、とっても綺麗な顔立ち。


「私も本日の参加は初めてなんですが…貴方のような美しい姫君に出会えるとは光栄です」

「お上手ですこと」

解っているじゃない。
この男は、他の招待客の中でも別格だった。


外見、振る舞いも申分ない。


標的とは別に少し遊ぶのもちょうどいい。


「先ほどからラッド子爵を見ていたようですが…」

「ええ、紳士様はご存じですの?」

「彼…というか、ラッドい子爵家は有名ですよ。資産家としても…まだ爵位は子爵ですが、その内伯爵位を賜るのも時間の問題でしょう」


子爵が伯爵位を賜る?
余程優秀でなければ難しいはずなのに、やっぱりやり手なのね。

「ただ、気の毒なのはお世継ぎがいない事でしょうね?故に、多くの愛人をお持ちです。ですが、奥方様が少し気の毒に見えますが」

「ですが、お世継ぎの事を考えれば致し方ないと存じますわ」

「お嬢さんはお若いのにしっかりされていますね。普通ならば愛人を差別すると言うのに」

「貴族ならば当然ですわ」

そう、子供産めなく、夫の心を繋ぎ留められないならば意味がない。


私ならそんなヘマはしないわ。

しおりを挟む
感想 143

あなたにおすすめの小説

聖女召喚された科捜研の女~異世界科学捜査で玉の輿を狙う

青の雀
ファンタジー
分析オタクのリケジョ早乙女まりあは、テレビドラマに憧れ京都府警の科捜研の研究員となる。 京大院生との合コンの日、面白半分で行われた魔方陣によって異世界へ召喚されてしまうハメに 今は聖女様は間に合っていると言われ、帰る手立てもなく、しばらく異世界で分析を満喫することにする 没落した貴族の邸宅を自宅兼研究室、ならびに表向き料理屋をすることにして、召喚の慰謝料代わりに分捕った。 せっかく異世界へ来たのだから、魔法という非科学的なものを極めたいとポジティヴな主人公が活躍する 聖女様と言えども今は用なしの身分だから、平民と同じだけど邸宅だけは貴族仕様 かりそめの貴族ライフを楽しみつつ、異世界で巻き起こる様々な事件を現代科学の粋で解決に導く……予定です ついでにイケメン騎士団長や王弟殿下のハートを射止めることができるのか!?

【完結】魔力がないと見下されていた私は仮面で素顔を隠した伯爵と結婚することになりました〜さらに魔力石まで作り出せなんて、冗談じゃない〜

光城 朱純
ファンタジー
魔力が強いはずの見た目に生まれた王女リーゼロッテ。 それにも拘わらず、魔力の片鱗すらみえないリーゼロッテは家族中から疎まれ、ある日辺境伯との結婚を決められる。 自分のあざを隠す為に仮面をつけて生活する辺境伯は、龍を操ることができると噂の伯爵。 隣に魔獣の出る森を持ち、雪深い辺境地での冷たい辺境伯との新婚生活は、身も心も凍えそう。 それでも国の端でひっそり生きていくから、もう放っておいて下さい。 私のことは私で何とかします。 ですから、国のことは国王が何とかすればいいのです。 魔力が使えない私に、魔力石を作り出せだなんて、そんなの無茶です。 もし作り出すことができたとしても、やすやすと渡したりしませんよ? これまで虐げられた分、ちゃんと返して下さいね。 表紙はPhoto AC様よりお借りしております。

悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます

綾月百花   
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

【完結】義姉上が悪役令嬢だと!?ふざけるな!姉を貶めたお前達を絶対に許さない!!

つくも茄子
ファンタジー
義姉は王家とこの国に殺された。 冤罪に末に毒杯だ。公爵令嬢である義姉上に対してこの仕打ち。笑顔の王太子夫妻が憎い。嘘の供述をした連中を許さない。我が子可愛さに隠蔽した国王。実の娘を信じなかった義父。 全ての復讐を終えたミゲルは義姉の墓前で報告をした直後に世界が歪む。目を覚ますとそこには亡くなった義姉の姿があった。過去に巻き戻った事を知ったミゲルは今度こそ義姉を守るために行動する。 巻き戻った世界は同じようで違う。その違いは吉とでるか凶とでるか……。

婚約破棄されましたが、帝国皇女なので元婚約者は投獄します

けんゆう
ファンタジー
「お前のような下級貴族の養女など、もう不要だ!」  五年間、婚約者として尽くしてきたフィリップに、冷たく告げられたソフィア。  他の貴族たちからも嘲笑と罵倒を浴び、社交界から追放されかける。 だが、彼らは知らなかった――。 ソフィアは、ただの下級貴族の養女ではない。 そんな彼女の元に届いたのは、隣国からお兄様が、貿易利権を手土産にやってくる知らせ。 「フィリップ様、あなたが何を捨てたのかーー思い知らせて差し上げますわ!」 逆襲を決意し、華麗に着飾ってパーティーに乗り込んだソフィア。 「妹を侮辱しただと? 極刑にすべきはお前たちだ!」 ブチギレるお兄様。 貴族たちは青ざめ、王国は崩壊寸前!? 「ざまぁ」どころか 国家存亡の危機 に!? 果たしてソフィアはお兄様の暴走を止め、自由な未来を手に入れられるか? 「私の未来は、私が決めます!」 皇女の誇りをかけた逆転劇、ここに開幕!

毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。

克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。

寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。

にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。 父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。 恋に浮かれて、剣を捨た。 コールと結婚をして初夜を迎えた。 リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。 ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。 結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。 混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。 もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと…… お読みいただき、ありがとうございます。 エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。 それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

処理中です...