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番外編舞台裏の功労者②

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俺がキャルドンを奈落の底に叩き落そうとした同時期、辺境地でマリエルが怪しい行動を起こしているとサジータ妃に告げられた。


「あの女、まだ諦めていないようじゃ」

「本当にゴキブリ並みの精神ですね」

「成り上がりの大富豪を誘惑して、もう一度這い上がろうとする精神は認めてやってもいいが…努力の仕方を待ちあげておるぞ」


確かにそうだ。
もっと他に努力すべきことがあるだろうに。

しかもマリエルが誘惑する男はそろって金を持っている若い既婚者の男ばかりだ。
やり方が汚くて陰湿過ぎて反吐が出そうだった。

「大方、愛人にでもなったつもりだろうが…金もなく、下女扱いを受ける奴隷を愛人にする馬鹿がいるか?まぁ見た目はそこそこだから暇つぶし程度にしか考えておらんわ」

「公爵夫人も中々言いますね」

「優しいぐらいだろ?」

普段は物言いが厳しいが優しさもある。
特にルイスに関しては厳しくも優しく見守っていたのだから。

サジータ妃は厳し用に見えて誰よりも慈悲深い方だった。

だからこそ、他者の思いやりを踏みにじり他人を踏みつけてでも自分の保身を優先する行為を嫌う。


「狙い通り布石は投じて置いた。あの馬鹿女はあっさりと罠にかかってくれた」

「こちらもスパイを潜入させました。キャルドンは気づいていないでしょう」

「本当に馬鹿な二人だ…自ら破滅したのは自分達の愚かさ故だと言うのに」


既に俺達が罠を張り、キャルドンとマリエルを同じ場所に送るべく行動した。


そしてキャルドンは俺の想像通り自ら墓穴を掘り、結果としてあの辺境地の牧場に送られることになった。

既に詐欺罪に殺人未遂を犯しているので同情の余地もない。
今までの財産は既に没収され、すべての財産を失った以上はどうすることもできない。


そしてマリエルも同じだった。
素直に働いていればまだマシな生活が送れたと言うのに、自分で過ちを犯したのだから。


あの女が誘惑してだまし討ちをしようとした男は辺境地でもそこそこ名のある下級貴族だ。
しかしその男の妻が厄介だったのだ。


そうとも知らずに本当に馬鹿な女だ。


「しかし、あの二人を処分しなくて良かった。泳がせておいて敵対する派閥を抑え込むことができたのだからな?」

「キャルドンに至っては…イオナ令嬢には申し訳なく思いますが…中立側の貴族派を抱き込むことができましたし。平民からの支持率を更に得ることができたのですから」

「ああ、イオナ令嬢にはそれ相応の物を与えるつもりだ。そしてラッド夫人にもな?」

今回マリエルの事で俺達の協力者になってくれたラッド夫人には感謝してもし足りないのだから。


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