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番外編キャルドンの転落①
しおりを挟む何故こうなったんだ!
あの日、マリエルの失脚から俺の人生は不幸のどん底だった。
ストラス伯爵家が俺の物になるはずだったが、邪魔な紐男を追い出してしばらくして俺達の生活は一変した。
これまで順調だった商売は上手く行かなくなり、商人はそろって離れて行った。
残ったのは使えない商人や、出来損ないの癖に文句だけは一人前の職人達だけだった。
新しい商品を開発するのにもいちいち文句をつけ、安全性が保障できないな等と愚かなこと言いだした。
安全性だと?
そんなもの売ってしまえば関係ないだろう?
第一、今まで作ったポーションの単価が安すぎたんだ。
納税だって安くなければもっと稼げたと言うのに、商売の何たるかを別ってないクズ素人のあの男が使用人達を調子に乗らせた結果だ。
だから生意気を言う奴はむち打ちにしてやった。
辞めたいならば辞めさせ、他の場所では働けないように悪い噂を流してやった。
なのに――。
俺の作った化粧品が粗悪品だと噂が流れ。
ルイスがいなくなってからストラス領地は悪い事が連続で起きてしまった。
最終的には邸を手放さざる得ない状況になり、魔鳥達が俺達を襲って来た。
夜逃げをするようにして邸を離れ、隠居した爺に頼る事にした。
老いぼれでも利用価値はあると思ったが、その場所には既に邸などなかった。
後から聞くと、ジョイルは既に領主の座を降りたとの事だ。
しかも、マリエルに伯爵家を継ぐ資格はない事を後から知った俺は貧乏くじを引かされたのだと思った。
伯爵家の跡継ぎだから。
財産があるから近づいたんだ。
なのにこんな役立たずの女と、年増女とこれ以上一緒にいるメリットはない。
だから捨てた。
慰謝料代わりに荷物から金品を奪った。
これでも足りないぐらいだったが、最後の情をかけてやったんだ。
それから程なくして離れた領地にて再出発をすることにした。
イシュミール領内にある町、ブルーベルト。
商人が集まる街で、賑わいを見せているので商売もしやすかった俺はとある貴族の邸に潜り込んだ。
そこの貴族は資産家であり、主は馬鹿が就く程のお人好しだった。
自分の不幸を語りながら涙を誘うような事を言えば同情して俺を邸に迎えた。
子爵家であるが元は平民だったらしく、元は中級階級だったが、慈善事業を活発に行った事で、功績を認められ子爵の爵位を与えられたとか。
現在は大きな商会を持っていると聞かされた。
これ以上のカモはないと思い、天は俺を見捨てていなかったと思った。
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