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番外編モモちゃんの戦い③

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僕のパパは常に危険と隣り合わせだった。
先日の暗殺事件だけでなく、事務んの娘を愛人にさせながらパパを失脚する計画もしかり。

「モモ、お手柄だ」

「クー!」

ただし、僕達は協力者と常に情報交換をしながらパパを守って来た。


「アイツの警護は俺達だけでは限度がある。だが、常にお前がアイツの傍にいることで安全は保障される」

勿論だよ!
僕とパパは常に一緒だよ!


「大体、フレスベルグの寵愛を受けているルイスを仇名すとかどんだけ命知らずなんだよ。鷲は王者の象徴ともいわれている。その代表となるフレスベルグを守護神にしているのにな」

本当にね?
万国共通で、鷲や鷹に竜などの種族は縁起が良く一族が繁栄するとう言われている。
現に多くの大国の紋章に鷲と竜が使われているのだから。


実際にも僕達のような高位な種族の寵愛を受けた人間は神の愛し子とも呼ばれている。

けれど、無条件に愛し子になれるわけじゃない。
生を受けてから成してきた事で、愛しい子の資格を失う者はいるのだから。

パパは不遇な扱いを受けながらも慈悲の心を捨てなかった。
常に弱い者を思いやる心を失わなかったからこそ加護を受けたに過ぎないのだから。


「ルイスの失脚を狙う連中は計画を変え、ルイスを利用する気だ」

「クー!」

まだ諦めていないの?
本当にしつこい連中だよね。


「王都の外れで良くない噂を耳にした。とある男のな」

「クー?」

とある男ってだぁれ?
オスカーが虫けらを見る様な目で見ていた。


「名をキャルディオと名乗っているが…偽名だ」

「クー!」

写真を見せられ僕は直ぐに気づいた。

この男!

すごく嫌な人相をしている。


「お前は会った事はないだろうが…あの馬鹿女の元夫だ。まぁ体だけの関係でちゃんとした手続きをしてないがな」

あの頭の悪い人間か!
僕のパパを散々侮辱して傷つけた女の。


「あの女は王都から追放できたが、あの男は無傷だ。貴族としての地位はなくしても悪だくみを考えている可能性がある…王都に近くにいる情報をキャッチしたんだ」

「シャー!」

冗談じゃない!
またパパを傷つける気なの?

「あの女もこのまま大人しくしているとは言えない…表向きは王都から追放したが、平民に成り下がって労働させられているだけだ。俺としては生ぬるいと思っているんだがな?」

「クー!」

当然だよ。
生きているだけも不愉快なのに、温情をかけられたんだからね!

それに僕の勘だけど、ああいう人間は死んでも反省しないと思う。

どうせ自分は悪くないとか言って悲劇のヒロインぶっているに違いないよ。


「なぁ、モモ。パパの為に一肌脱がないか?成功すればパパを助けられるぞ」

パパを助けられる。

「何よりお前が人の為に尽くしたとなればパパはどれだけ喜ぶだろうな?可愛い息子が成長したと泣いて喜ぶだろう」

パパが喜ぶ。
僕がパパを助ける。


そんなの…


「クー!!」

やるに決まっているじゃない!


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