【本篇完結】無能だと言われて婚約破棄に追放されましたが、女王陛下に見初められました!

ユウ

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57.終わりと始まり

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全てが終わった。
問題を起こした二人は早々に連行され牢屋に入れられた。

そこはどんな強い魔力を持つ者でも脱出不可能な黒の塔と呼ばれる牢屋。
最も凶悪な犯罪者が入れられる牢屋だと聞かされているが、貴族が入れられるのは前代未聞の出来事だったらしい。


でも、既に貴族ではなくなっているので、批難の目を受ける事はなかった。
何より、大勢の前で若き女王陛下を侮辱し、その伴侶までも侮辱した後に殺してやると発言したので弁護する者はいない。


裁判で捌かれる立場でも真面な弁護士が就くはずもない。
何より結果は明らかだった。


二人は二週間後には鉱山に送られた後に、辺境地で一番過酷と言われるスワルダ伯爵家の召使として奉公する事になる。


住み込みで狭い邸に押し込められ、そこで死ぬまで一生を過ごすのはある意味生き地獄となるだろうが、それだけの事をしでかしてしまった。


俺はというと…


「殿下、隣国で大飢饉が起きました!」

「西の領地で、火山が噴火したようです!」

「殿下!」


今も忙しく王宮で走り回っていた。



相変わらず裏方として忙しい日々を送りながらも充実した日々を送れているのは理由がある。


「殿下、息抜きに私の孫はいかがでしょう?」

「あのなぁー…」

裏方と言えど、俺の人気は鰻登りとなり。
隠しても何故か国民は知っているようで、貴族派が自分の孫や娘を侍女にして欲しいとか。

愛人に是非という様になり、その後始末の方が大変だった。


何故なら…

「ほぉ?懲りないようですこと」


結婚して三年、リディ―は貫禄がついて来た。


「女王陛下」

「そなた達、そんなに仕事が欲しいか?ならばくれてやる!今すぐ辺境地に向かい仕事をせよ!」


腕に幼児を抱きながら、片手には鞭を持ち、ビシバシ叩く。

「きゃっきゃ!」

「やめてぇぇぇ!お願いだから子供の前で鞭はダメ!それ以前にお腹の子供に影響が出るから!」

「この程度で影響が出るわけはありません」

いや、あるからね?
君が妊娠中に暴れるから俺達の可愛い娘は鞭に興味を持っているんだからね?



結婚一年で子を授かった。
第一王女の名前はロゼッタと名付けられ、母親譲りの活発な女の子に育った。

しかも大好きな玩具は鞭。

理由は言うまでもなくリディ―が事あるごとに鞭を取りだしては叩くから。

公の場ではしないけど。


「ロゼも!」

「ダメだからね!女の子が鞭で男を叩くなんて」


まだまだ俺の受難は続きそうだけど、それでもこんな苦労はなんて事はない。


これから待っているのは幸せな道。


無能と呼ばれて婚約破棄をされて女王陛下に見初められた俺はこれからもこの幸せを守る為に歩いて行くのだから。



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