【本篇完結】無能だと言われて婚約破棄に追放されましたが、女王陛下に見初められました!

ユウ

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46.老人と伯爵令嬢

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無事に戴冠式が終わり、ルイスのお披露目も滞りなく終わってしばらくして。


ストラス領内が荒れだしたことは小耳に挟んでいる。


「まぁ、こうなると思ったわ」

「本当に申し訳ない」


「ストラス伯爵…いいえ、ジョイル様に責任はありません」


現在、私はフェンネル家の別邸にて元ストラス伯爵とお茶を飲んでいた。

もうストラス伯爵ではないのだけど。

ジョイル様はルイスが追放されてすぐに引退され、領地の一番奥地に身を潜めたが、老人があんな場所でお一人なのは危険だと思い、別邸をお貸しした。


当初は断られたが、前ストラス伯爵が亡くなってからルイスを唯一庇ってくれた方で。
今回の一件でも最初に頭を下げ、慰謝料代わりにご自分の財産の全てを差し出してきた方だ。

詫びるべきはあの馬鹿親子なのに、本人も謝罪させるべく努力したのだろうけど。

母上に更に心労を与えるのは解っていた。
だからこそ、彼なりにあの馬鹿親子に裁きを与えることにしたそうだ。

あの馬鹿親子の別邸を取り壊し、領地の半分を国に返上し、残りを我が家に差し出すとの事だ。

父上は上王陛下の指示を待つとの事だったけど。


「領民にも申し訳ない事をしましたが、後から移住できるようにある程度の支援はしました」

「暴動は貴方が?」

「ええ、あれは私の知り合いに頼んだ者です。後は幻術を少し」

今頃領民に追われて悲鳴を上げているだろう。
何所にもいる場所はなく逃げ回り、あげくの果てには私が仕組んだ仕掛けで魔獣に襲われているはずだ。


「しかし魔鳥が敵意を持ったのは意外です」

「そうですね…特にフレスベルグに標的にされるとは…何をしたのか」

巨人族とも言われる北の守護鳥のフレスベルグは気性は荒いが、こちらから攻撃しなければ襲わないはず。

襲われると言う事は何かしたのだろうけど。
フレスベルグだけでなく魔鳥も集中的に彼等を襲っている理由なんだろう?


どうであれ、神鳥に忌み嫌われたと事で噂を流せば万々歳だ。


「ルイス様は王都でも大活躍のようですな」

「様は結構ですよ」

「そうは行きませんぞ?あの方は既に王配殿下なのですから」

変な所で頑固な方だ。
けれど、ルイスが今まで耐えることができたのはこの方の御かげかもしれない。

お祖父様はあの通り解りにくいし、素直に孫を可愛がれないツンデレだ。


「ジョイル様、弟は貴方を慕っておりました」

「アディーレ殿…」

「私達の祖父はあの通り頑固者です。弟は祖父との間に距離がありましたので…貴方の事を実のお祖父様として慕っておりました。十年間耐えることができたのは貴方のおかげです。姉としてお礼を申し上げます」

「私は大事な弟君を傷つけてしまいました。守ることができませんでした」


既に高齢で、離れた場所で暮らしているのだから仕方ない。
あの馬鹿親子も上手く出し抜いたのだから、ジョイル様を責める気はない。


「もし、悪いと思われらならば…今後とも弟を助けてやってください。あれは変な所で詰めが甘いのです」


ルイスは私と違って甘い。
敵と判断したら徹底的に潰す冷酷さが欠けている。

だからこそ、周りに性悪な人間がいてちょうどいい。

そう私のようにね?


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