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閑話6.追われる者
しおりを挟むルイスが去ってからストラス領地は荒れる一方だった。
薬草は枯れ、果物園も実がなる事はなかっただけでなく立て続けに大雨が続いた。
他にの残った農地は魔獣に荒らされ、大鷲がストラス領地を襲っていた。
普段は人に仇名すことがないフレスベルグなのだが、何故か故意的に攻撃を仕掛けるようになり。
空を飛ぶ魔鳥達も彼等の敵意に従い、ストラス領地を攻撃した。
特にマリエルの所有する邸を頻繁に襲って去って行く始末だったのだ。
その所為で他の領地は神に嫌われた者として見られるようになった。
古来より、竜や鷲は神の象徴とされ。
彼等に好かれる人間は崇拝され、その者が治める領地は栄えるとも言われている。
歴代の女王は鷲の紋章を掲げているのもその為だった。
鷲は誇りの象徴で絶対的な覇王の証でもあるのだったが、逆に鷲に敵意を持たれることは加護を失い神の怒りを買った物だとされていた。
現在マリエルとキャルドンは全ての領地から爪はじきに合っていた。
「きゃああ!何よ」
「鳥が…鳥が襲って来たわ!」
現在、領地内では鷲達が邸を囲み事あるごとにマリエルを襲っていた。
領民を追い出すのは武器をチラつかせばなんとかなるが、鷲や魔鳥等は簡単に追い払うことができず酷い時は邸を捨て、別邸に隠れ住んだりしていたのだ。
それでも彼等は鼻が利くので匂いで居場所をかぎつける。
「領民に次は鳥?何で私を狙って来るのよ…きゃああ!」
「こっちに来るなマリエル!俺は鳥が苦手なんだ!」
一緒に逃げるキャルドンは既にマリエルを助ける気はなかった。
我が身が一番大切だったのか、自分だけ逃げるのに精いっぱいだった。
「きゃああ!私の髪飾りが!」
頭をつつかれダイヤモンドのついた髪飾りを奪われ鷲に蹴り飛ばされ地面にダイブした。
「くっ…」
「ギャウ!」
遠くで鷲達が馬鹿にしたように笑っていた。
「こんのぉクソ鳥がぁぁぁ!」
「待ちなさいマリエル!」
「馬鹿!止めろ」
止めるのも聞かず石を掴み鷲に投げようとするも、石は嘴でキャッチされてしまい。
目を光らせた鷹の親玉に睨まれる。
「え…」
「「ギャウ!」」
石を投げられた仕返しに突っ込んで来た。
「いやぁぁぁぁ!」
この後鷲の大群に襲われ追剥に合うマリエルは悲鳴を上げ、目が覚めた時は服がボロボロにされていたのだった。
そしてその有様を見た領民が内心ではざまぁ見ろと思っていたのだった。
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