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23.舞い降りた天使
しおりを挟む私の名はサジータ・モリアーヌ。
この国の第二王女ととして生まれたが、長子が王となることが決まっていた。
一時は、王位継承権を争うべく馬鹿な貴族達が私を王にして傀儡にしようとしていた。
だが、私も馬鹿ではない。
幼少期から姉に反感を持つ者は多くいたので私を王にして政権を奪おうとする魂胆は丸見えだった。
だから私は成人すると同時に王位継承権を返上した。
長子が跡継ぎになるのが常識であるが、血筋や才能があれば優先される。
私達は異母姉妹だった。
姉の母君は伯爵令嬢で私の母は公爵令嬢。
身分さは明らかだったが、先々代国王は崩御された後に姉君の母が女王となった。
義母上は立派な方だった。
例え私が側妃の子供であっても我が子として育て、姉も私を慈しんでくれた。
一部の者は私を信用させるための罠だと言っていたが、幼少期の姉上は騎士として振る舞い男装の麗人とも呼ばれるような王女だった。
姪のリディアにそっくりだった。
王女というよりも王子であり貴公子と言う方がしっくり来ていた。
そんな姉上の伴侶に選ばれたのがなんというべきか…男の癖にやけに淑やだった。
性別を間違えて生まれて来たような控えめな男だった。
そして弱そうだった。
強く美しい姉上は何故このような男を伴侶に選んだのだろうかとも、疑ったが。
姉上はずっと無理をしていた。
どの国でも男尊女卑の激しい世で女が認めらるには男以上の働きをして当たり前だったからだ。
そんな姉上も精神的に限界だったのかもしれない。
私は姉上におんぶにだっこだった事を気づかされるも、何もできなかった。
しかし義兄上は違った。
猫殿下と馬鹿にされ、腰抜けや、女王陛下の情夫等と罵倒されながらも常に姉上の傍に寄り添い支えていた。
男とての矜持を汚されながらも最後まで姉上を愛し、守った義兄上こそが強い男だと思った。
私が15歳になった時、モリアーヌ公爵家との縁談が決まり。
公爵夫人として嫁ぐようになったが子供ができにくい体ゆえに子を授かれなかった。
社交界では陰口を散々叩かれ、精神的に参っている最中に体調を崩した私は食事も喉が通らなくなってしまった。
生まれつき体が弱かった私は子も産めず、姉上の役にも立てないならば。
貴族派の愚か共が私を利用して姉上の失脚を狙おうとしているならば、このまま朽ち果てるのが良いのではないか?
そう思った私は何もかも自暴自棄になっていたのだ。
姉上は王宮の離宮で静養するように言ってくれたが、食欲も出ずに希望を見出せなかった。
そんな時だった私の前に天使が現れたのは。
全てを諦めていた私を神は見捨てていなかったのだ。
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