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⑥
しおりを挟む「本当にくだらない男」
蔑むような発言と僕をゴミ以下だと言わんばかりの言葉にいらだつ。
「身の程を弁えない馬鹿な男。こんな男死んでしまった方がいいのに」
「何を…」
「リサ先生は優しすぎるのよ。好きでもない男と無理やり結婚させられ尊厳を奪われ。体を汚されて…真に愛する人と生きることも諦めて」
真に愛するのは僕だろう?
第一、僕達の結婚は無理やりってどういうことだ。
「何を言っているんだ。僕は望まれて…」
「ふっ…アハハハ!何を言っているの?ありえないわ」
「そっちこそ何を言っているんだ!」
もしここに僕を拘束する連中とガラスの壁がなかったら抑え込んでいるだろう。
それだけの屈辱をされたのだ。
「まだ知らないのね?教えてあげる…リサ先生に嫉妬する醜い夫人が無理やり縁談を結んだのよ。年頃なのに結婚していないなんて外聞が悪いとか色々あることないことを吹き込んでね!」
「そんな!嘘だ!」
だって…
それじゃあリサは僕を愛していなかったのか?
僕は望まれて婚約をして結婚していたんだから。
「叔父様の妻、もしくは愛人の座を狙っていた男爵夫人は適当な男をリサ先生にあてがった…特に女性を復習したがる馬鹿な男をね」
「そんな…」
僕達の結婚の仲介人をしてくれた男爵夫人がそんなことを。
「面倒な姑は、嫁を支配したがっていた…しかもリサ先生のご両親は商人として成功しているからお金があるわ」
「違う…」
「結果、しょうもない出来損ないの男は聡明な妻のおかげで世間からの風当たりは良かった。くだらない事業に手を出した馬鹿な舅と姑もいい暮らしができたもの」
「違う違う!」
「全部リサ先生のおかげ。なのにお前はリサ先生が優秀なのが気に入らなかった…そして有頂天になったお前はリサ先生の功績を自分の力だと思った」
「僕は優秀で…それにリサは子もできない」
「子供が出いないのは、お前の母親が薬を盛っていたからよ」
「何だって!」
薬ってどういうことだ?
母さんがリサに薬を盛っていたなんて…
「同居を開始したころからね…血液を検査で毒が検出されたわ。薬の出どころも解っている…リサ先生は妊娠しにくい体なんかじゃない」
「違う!リサは子を身ごもれなくて…」
「それこそありえないのよ。現に子を身ごもっているのだから」
「は?」
「リサ先生は妊娠しているわ」
僕と結婚して一度も子を身ごもらなかったのに。
「叔父様とリサ先生は結婚してすぐ身ごもった…それはお前に問題があるから」
「嘘だ嘘だ…うわぁぁあ!」
これ以上聞きたくない。
僕に問題があった?
子供ができないのはずっとリサの所為だと思った。
子供ができない欠陥だらけの女を僕は優しく見守っている理想的な夫だと思いたかったんだ。
既にズタボロな僕だったが、悪魔のようなお嬢様は足りなかったようだ。
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