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ここにいる連中は外の情報はほとんど入らないから何が真実か偽りか解らないんだ。


僕は新聞に書かれている程の事をしたのか?
ミレイを放置したことは虐待と言われるのは今なら理解できる。

でも、そもそもの原因は姉さんで。
赤ん坊をどうしていいか解らないんだし、第一子育ては女の仕事だろ?


男がするものじゃないんだ。
なのに裁判でもさも僕が悪いように言われ。

リサだってそこまで僕を憎んでいるわけじゃない。
だから裁判にでなかったんだ。

なのにあんまりじゃないか!


「おっ…二人のお通りだぜ」


「おい、何俯いてんだ。見ないと損だぜ?」

空気が読めない爺が僕の背中を押した。


すると大通りには立派な馬車が通っている。


皇族が婚礼時に使う馬車で、まるで皇帝と皇妃の結婚式パレードかと思う程の豪華さだった。


「何だ…あれは」

「通常ならまずないが、お相手が先帝陛下の腹心の家臣であり、甥だしな」

「周りも許すよな…つーか、護衛騎士は近衛騎士ってどうなんだ」

「いんじゃないか」


近衛騎士だと!
王族や皇族以外は護衛につかないんじゃないのか?


「馬鹿な…相手は貴族ではないのに」

「お前馬鹿だと思ったが、物を知らねぇんだな」


こんな馬鹿な爺に言われたくない!


「貴族じゃなくても皇妃になった前例はある。皇后だってな」

「それに、伯爵の奥方なら問題ないだろ?先手陛下が許可しているなら」

「だな!身分至上主義なんて時代錯誤だ…にしても奥方は美しいな」

「あれで平民って嘘だろ?貴族のお嬢様にしか見えないぞ」


揃ってリサを褒めちぎるクソ爺達にイライラする。


「ふざけるな。あれは僕の…」

元妻だって言おうとしたが、最後まで言えなかった。


「おい、無礼なことを言うなよ」

「聞こえたら不敬罪になるだろうが」

「本当に非常識な男だな。親の顔が見てみたいぜ」

「やめておけよ。こんな教養のない男はきっと孤児で情夫だったんだぜ」



口をふさがれて違うと言えなかった。
暴れてもどこにそんな力があるのか解らない。


爺の癖に!


「おお、キスするぞ」

「いいねぇ、若いって…記者の前でサービスか」

「ヒューヒュー!」


うざい…

限りなくうざくて仕方ない。


この後見たくもない光景を強制的に見せられ、屈辱の四時間を過ごした。
日が暮れた頃に船が出て夜の花火に爺達は再びわけのわからないことを離され、町でのお祭りモードは一週間続いたのだった。


…が、僕の地獄はここで終わらなかった。

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