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⑥
しおりを挟む例え裕福でも平民と貴族の婚姻は難しい。
間を取り持ってくれる人が必要で、でも叔父様を利用したい人は多いと子供ながらに察した。
「お嬢様、新し母君はやはり若く美しい方がふさわしいですわ。私の姪のような」
「そうですわ。ですからあまり若い家庭教師を傍に置くのはどうかと」
「いかに旦那様のお情けとはいえ…教養もないくせになんて図々しいのでしょう」
私が落ち着き、リサ先生が三か月過ぎても私の家庭教師を続行していることで私の心が落ち着いたと勝手に勘違いしていたらしい。
噂では両親を失ったショックで病気だとか噂を流していたのも知っているのよ。
その噂を流しているのも目の前のデブ夫人。
本名はデブリタ男爵夫人。
私はデブ夫人と呼んでいる。
見た目ではなく心が油まみれのデブだからだ。
自分だって平民だった癖に男爵に見初められたからなのか。
リサ先生は平民であるけどご両親は立派だ。
そんじょそこらの成金とはわけが違うしお父様は商人としても成功を収めている一方で慈善事業も行っている。
お母様も元は侍女で教養もある。
平民でありながら貴族以上の教養もある立派な人だわ。
数回お会いしたけど、私が当初傲慢な態度を取っても子供扱いせずにちゃんと大人としての対応をしながらも甘やかしてくれた。
「あんな元侍女と成金の娘なんて…」
「本当に伯爵様も何故…」
聞いていて腹が立つわね。
このおばさん…
「それは叔父が人を見る目があるからではなくて?」
「は?」
「見た目だけ取り繕った女性って…見ていて哀れなのよね。貴女のように」
「なっ…」
「服のセンスもアウトだけど。叔父様、潔癖症なの…それに選ぶ権利があるわ。私もだけど」
唖然とした表情をしている。
私が大人しくなったと思っているのでしょうけど。
私は変わらないわ。
「貴女、臭いのよ…叔父様吐きそうな肥溜めのようだって言ってたわ」
「なんですって」
「耳も遠いのね?医者に診てもらうのことをお勧めするわ…それから叔父様は馬鹿な人嫌いなの」
真っ赤になって怒るデブ夫人。
でも知った事じゃないわ。
勝手に怒っていればいいのよ。
「このクソガキ!」
けれど隣にいた侍女が私に汚い言葉を吐き暴力を働こうとした時だ。
「きゃあああ!」
私は悲鳴を上げた。
すると…
「お嬢様!」
「リサ先生!」
偶然廊下を通りかかったリサ先生とマミーが殴られそうになった私を見て助けてくれた。
「なんてことを」
「怖かったわ…この人たちが」
「どういうつもりです!」
私はリサ先生にしがみつきながら二人を見ながら笑ってやった。
以後、デブ夫人は邸の出入りを禁じられたけど。
その数か月後の事。
リサ先生に縁談が持ち上がったのだった。
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