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81お嬢様の思い~マリーアンジュside

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幼い頃に両親を一度に亡くした私は色がなかった。
世界のすべてがモノクロに見えて、怖くて仕方なかった。


両親を亡くした私に近づく大人は怖くて、口では優しい言葉を言いながらも能面をつめている。


怖くて、気持ち悪くてどうしていいか解らなかった。



「可哀想に」

「まだお小さいのに」

「だけど今取り入れば…」


口では憐れみながらも私を見る目は道具のようだった。



そんな中ヨハネス叔父様だけが違った。


「はじめして。私はお前の叔父さんだ」


欲のない目で見ながらもどこか悲しい目をしていた。


「お前だけでも無事でよかった。姉さんが生きていたらそういうだろう」


「やだ…」


何がいいの?
お父様もお母様にいない。

私は本当に独りぼっちになってしまったのに。


「お前だけでも生きていてくれてよかった…本当に」

「どうして?」

「お前は姉さんの肩身だからだ」


この時気づいた。
叔父様が泣いていることに。

涙を流せないけど泣いているのが解った。

握った手が震えていて、私と同じぐらい悲しいんだと解った。


だから叔父様は信じてもいいかもしれない。


そう思ったけど、両親を亡くした私を引き取ってくれた叔父様は私の所為で変な噂を流されるようになった。


叔父様に群がる人は多い。
あわよくば利用しようと考える人が多くて私に近づいてくるのもその所為だった。


誰も信じられない。

叔父様と侍女長以外は信用できず、侍女をつけてくれても。


「ナリアと申します」


「マリーアンジュよ」



目が笑っていない。
私を見下すような目をしてきたので無理難題をつけて嫌がらせをした。


私の世話役と言いながら、叔父様が留守の間に勝手に執務室に入る物を盗んでいるのを見た。


だから邸から追い出した。
家庭教師に関しても同じようなことをした。


「何故こんな勉強をしないといけないの?」

「社交界デビューに必要だからです」

「こんなの学ぶまでもないわ。貴女の歩き方は優雅じゃないのよ」

「なっ…」


私を子供だと馬鹿にしているけど、家庭教師はお母様程優雅な所作ではない。
それに私の知りたいことを教えてはくれない。



だから意地悪な質問を投げかけた。


生徒の質問に答えられない家庭教師なんて必要ない。


それから一年間。
私が家庭教師と合わず、叔父様が頭を抱えるようになった。



そんなある日の事だった。


新たな家庭教師が私の前に現れた。


それがリサ先生だった。






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