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79裁判の後で
しおりを挟む裁判の詳細を旦那様に詳しく聞かされて私はもう何も思えなかった。
どこまで自分勝手なのか、これでもという程を知ったのだから。
事前に私は療養中であるということにして邸にこもり、裁判に参加しなかった。
元より当事者であるライアスさんが訴えを起こし、私は被害者の一人ということになっている。
旦那様は私を表舞台に立たせるのを拒んでいたが、その場合裁判で裁くことはできない。
その為ライアスさんが矢面に立ってくれた。
元より完全に彼女との縁を切りたいと言っていたからだ。
その後に公開裁判は新聞に報道された。
公開裁判は新聞の見開きページになっており、悪女サンディとして取り上げられていた。
精神を患いながらも欲深さだけは変わらずという。
「あの裁判の後、精神カウンセラーを受けさせられたそうだ」
「それは…なんとまぁ」
カウセリングする側も大変だわ。
病があるなしに自尊心が強い方であるので素直にカウセリングに応じるとは思えない。
「刑務所でも騒動を起こしているそうだ。予定よりも早い段階で刑務所を出ることになる」
「それは…」
「ああ、これ以上留めおく必要がない」
人によっては早く刑務所に出られると喜ぶかもしれないけど、実際は違う。
刑務所の方がずっといい暮らしができるのだから。
「税金を無駄に使う必要がない…聖職者も、反省の色がないなら早々に送り反省させるべきだと」
「反省しますか?」
「するわけないだろ」
裁かれた人を悪く言いたくないけど、反省するとはどうにも思えない。
でも今まではまだいいけど、辺境地に行ってもしれは通用しない。
悪意に満ちた噂と、働かなければその日の食事にありつけないような領地だし。
「これまでどれだけ恵まれていたか思い知ればいいんだ」
「そうですね」
もう会うことはない。
だから私も気にすることは止めよう。
「これでようやく終わった」
「はい」
「だが、あんな輩を野放しにしないように。今後は法律の改正が実施される。特に裁判を見学していた平民のご夫人は法律に関心を持ってくれるだろう」
これまで政治に関心がない女性が多すぎた。
学ぶ機会もないと言えば仕方ないが、無知は罪だ。
自身の身を守る為に最低限の法律を学ぶ必要がある。
女性にはまだまだ厳しい世の中だからこそ。
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