今日で都合の良い嫁は辞めます!後は家族で仲良くしてください!

ユウ

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被告人が発言する許可を与えられ、ジャンが質問を投げかけた。

「先ほど貴女の弁護士が言うように精神的疾患をお持ちであれば、これまでの行動は病の所為だと判断されます」


あの女をじっと見るも視線を合わせようとしない。


「判断力が欠けているならば、何故自身の娘を義母にあかせたり第三機関を頼らなかったのでしょう」


「それは…実家に」

「調べによると、貴方は弟の元妻に世話を任せきりにして…仕事を辞めて娘の世話をするように強要したそうですね。これは、精神的な虐待に当たります」

「違うわ。ミレイの件に関しては母が…母が頼めばいいって。嫁なんだから当然だってすべて丸投げにしろと言われて…母は昔から私を思い通りにしたがって」

「ほぉ?では貴女の意思ではないと?」

「そうよ?」

「では先ほど弁護人が言っていたように貴女は判断力が欠けていた…精神的疾患がるから元夫にも何故無理な仕送りをしたか覚えていない」


「それは…」


言葉を飲み込むあの女はどういえばいいか解らないのだろう。
どうしたら逃げ切れるか考えている。



「母と父がそうしろと言ったのよ!仕送りのお金は全部実家に奪われたのよ…だって嫁は稼ぎなんてないから!」

「なっ…姉さん」


馬鹿だろこの女。
シンパシー家の生活費はほとんどリサが稼いでいた。

「それは妙ですね?当時シンパシー家は大変裕福で。弟夫妻は共働きで自家用の馬車も購入されています。それから当時、貴方がブランド服飾店で買い物をされていた写真です」


「なっ…そんなものまで」

「裁判長、被告は夫から無理な仕送りを強要し、弟の元妻からもお金を着服し、尚且つ私物を売りさばく証拠もございます…どの程度の精神的疾患をお持ちなのでしょうか」


「それは…精神の起伏は解らないわ!貴女は医者じゃない癖に解るわけ!それに弟の嫁のもの私物といっても使わない物を売ってリサイクルしてあげたんじゃない!」


――もうだめだこの馬鹿。


「本人の許可もなくですか」

「でも、実家に住まわせてあげているのよ」


聞くに堪えないな。
裁判長も頭を抱えながら視線をそらしている。

裁判関係者も被告側の弁護士もありえないだろという顔をしている。


おそらく勢い余って言ってしまったのだろう。



ジャンは口元に笑みを浮かべた。
この勝負は確実にこちらのものとなった。


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