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②
しおりを挟むシンパシー家を罰する為に私はある計画を立てていた。
あの鬼畜外道な連中は牢獄に入れられても反省をするだろうか?
自分がこれまでしてきた過ちを心の底から悔いるか。
言葉だけの謝罪に意味はない。
賠償金などで済む問題じゃないし、それで終わらせるなんて許せない。
リサを抜いて何度か会議が行われた時のことだ。
「裁判はする必要もなく罰することは可能です」
「勝率は」
「言うまでもありません」
ジャンは優秀な弁護士だ。
確実に有罪にしてくれるだろうが人を殺したわけではない。
故にそこまで重い罪にできない。
今の段階ではだ。
「虐待に関する問題はこれまで悩まされました。男尊女卑の世ですので男が有利なようにできていますし、裁判長は公平にと言いながらも男よりになるのです」
「随分な公平な裁きです事」
「法律がおかしいのです。不貞行為に関しても一度だけの不貞行為は許されますので」
嘆かわしいことこの上ない。
だからこそ、裁判を見せしめにしたいというジャンの言葉に乗ることにした。
「まずは、あの馬鹿どもに踊ってもらいます。ミレイちゃんにいかに酷いことをしているか、第三者に目撃させ、証拠をしっかり残させます」
「その件に関してはグレイス夫人に協力願おう」
「はい、次にミレイちゃんの親権です。各自にライアスさんに渡るように持っていきます。向こうは単身赴任をしてほったらかしにしたことを追及するでしょうが」
「それも壊せるか」
「はい。そもそも夫の単身府についていかなかったのですから」
選択権はあったはずだ。
選んだのはあの女なのだから。
事前の対策は準備万端にした。
予定通り自信の非は認めずヒステリックに声を上げて終わった彼らは正式に捕らえられた。
しかしこのままでは重い裁きを受けることはない。
罪人にとって塀の中は安全で決して悪い環境ではない。
人によっては不名誉だというが、食事付きで屋根のある場所で寝泊まりができるだけでなく身の安全が保障されている。
中には衣食住の為にわざと罪を犯す輩もいるのだから。
「塀の中の暮らしを長くさせるのは税金の無駄です。早い段階で外に出します。罪人が外で生活することがどれだけ恐ろしいか教えてやるべきです」
「だが、今の段階では外に出しても…」
「ですから、その為にも裁判を…公開裁判を行うのです」
公開裁判。
上流階級の裁判では平民が裁判に参加するのを制限されている。
ほとんど貴族の身分に近しいものが加害者の場合行われる特別な措置が行われている。
だが公開裁判とは、平民が自由に参加できる。
出所した後に彼らが相応の報いを受けるためにはうってつけだった。
「簡単に許すものか」
「本当の地獄を味合わせる必要がありますからね」
私は決して優しい人間ではない。
そのことをしっかり教えてやらないとな。
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