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「全員同罪ですな」


弁護士の言葉だけが響く。


「証言は録音させていただきました。これで皆さんは有罪です」

「は?」


何故僕の言葉を録音する必要がるんだ?

「馬鹿で助かりました。これで裁判になっても貴方達は有罪。シンパシー家の罪を明らかにできます。証言はしっかりとれましたね?」

「ええ、これで今度は身に覚えがないと言われても通りません!」

背後にいる役人の女が僕を睨みつける。

「あの時は証拠不十分でしたが、先ほど何もしていと言いましたね?赤ん坊が泣いていても、病気でも何もしないで無視をした。これは身体的虐待の項目に入ります」

「元奥様に関しては虐待により殺人未遂の項目に入ります。挙句に離縁が決まった後にもご両親の職場に押しかけ脅迫をなさいました。これに関してもしっかり報告します」

「それは…」

「離縁した状態では他人。赤の他人である貴方が他人の家に勝手推し入り暴力行為をなさった証言はありますし。当時の映像はしっかり録音されていますので…何でしたら裁判なさいますか?」


「裁判…」


「ええ公開裁判となるでしょう?ですがその場合大勢の前で貴方が虐待したことが知られるでしょう。そうなればこの先生きていくのも困難でしょうね」


そんな真似をされたら僕はこの先どうなるんだ。
そこまでされるほどの事をしたというのか?

そんな大げさになるほど。


「貴方が素直に罪を改めていればリサさんは許す気でした。ですが、もうリサさんが許しても周りが許さないでしょう…町でも騒ぎを起こしたのですから」


「だが!」

「何より平民が貴族に手を出したのですから」

「貴族だと?」

リサは平民のはずだ。
貴族だなんて何を言っているんだ。


「リサ様は先日、正式にティンファニー伯爵家に嫁がれました」


「伯爵家…」

「そんじょそこからの名ばかりの貴族ではなく名門貴族で、後見人は先帝陛下です」

「嘘だ!」

「嘘ではありません。ティンファニー伯爵閣下は若かりし頃からリサさんに好意をお持ちでした」

「だが、再婚だろう!」


通常男と違い女は離縁してすぐに再婚ができない決まりだろ?
いくら皇族の血縁者だからって!


「法律をちゃんと理解されていないのですね?特例があれば可能ですし、三人の証人が得られれば再婚は可能です」

「そんな…」


「元よりお二人は思いあっていましたが、平民と貴族では難しかったのですが…今では事情が違います」


「そんなのおかしい!許されるはずがない!」


何でリサが伯爵夫人になれて僕はこんな惨めな扱いを受けるんだ。


すべての現況はリサなのに、リサだけが幸せになるなんて許されるはずがない。


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