107 / 169
②
しおりを挟む無礼な弁護士は無慈悲にも僕たちを奈落の底に叩き落すような真似をした。
「離縁にかんしては奥様の許可は必要ありません。夫に虐待をしたという事実確認がありますので」
「は?」
「精神的な虐待、金銭的な虐待ですから…」
「そんな!」
姉さんは無実だと叫んでいるが嘘で塗り固められてきた証言は意味がない。
「私は何もしてないわ」
「何もしなかったのが問題なのがまだ解らないのかしら?本当に女性を見る目がなかったのね」
「こればかりは何も言えないよ母さん」
姉さんを他所に義兄とその母親は既に離縁をするのは決定的なようだった。
まずい…
このままだと僕たちはどうなるんだ?
「母さん、父さん!このまま…って!父さん?」
なんとかこの場を逃れなくてはならない。
姉さんの問題にこれ以上巻き込まれてたまるものかと思ったが隣で父さんが死んだ魚のような表情をしていた。
本当に使えないな!
「待ってくれ!」
「ロンド?」
こうなったら僕だけでも逃げないと。
嘘をついて酷いことをしていたのは姉さんだ。
だから僕は関係ない。
いや、むしろ姉さんの所為で酷い目に合ったんだから被害者じゃないか?
そうだ。
僕は何も悪くないんだ。
「僕は関係ない」
「ロンド!何を言うの…」
「だってそうじゃないか。姉さんが自分で招いたことだ…大体姉さんがやりたい放題して僕はとばっちりを受けたんだ!離縁するなら勝手にすればいいし、慰謝料も、教育費も姉さんが支払えよ。だけど家族を…僕を巻き込まないでくれ!」
どうして僕が姉さんの尻ぬぐいをする必要があるんだ?
おかしいじゃないか!
「結婚して別の家庭を持っているなら関係ない…これ以上僕を巻き込むな!破滅するなら一人でしろよ!姉さんの所為で僕の生活はメチャクチャにしたんだからな!」
姉さんがミレイの育児を丸投げしなければ今頃笑っていたはずだ。
同居だってしなければ余裕のある暮らしをしていたんだ。
「全部姉さんの所為だ!母親の自覚もないくせに子供なんて作るから」
「アンタ!」
「姉さんは昔から母さんに媚びて、学校だって行かせてもらって…優秀じゃない癖に!」
母さんの口癖は姉さんは優秀だからって言っていたけど、学校だって実力で入ったか怪しい。
「昔から男を誘惑することは天才的だったからな」
「なんてことを言うのよ!」
「自分の我儘を通すために近所の男を誘惑していたしな!学校だって体を使ったんじゃないか?仕事だってそうだろ?」
ずっと姉さんが嫌いだった。
長男の僕よりも長女の姉さんを優遇して甘やかし続けた母さんも悪い。
僕は被害者なんだ!
1,920
お気に入りに追加
5,158
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
自分勝手な側妃を見習えとおっしゃったのですから、わたくしの望む未来を手にすると決めました。
Mayoi
恋愛
国王キングズリーの寵愛を受ける側妃メラニー。
二人から見下される正妃クローディア。
正妃として国王に苦言を呈すれば嫉妬だと言われ、逆に側妃を見習うように言わる始末。
国王であるキングズリーがそう言ったのだからクローディアも決心する。
クローディアは自らの望む未来を手にすべく、密かに手を回す。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
酷い扱いを受けていたと気付いたので黙って家を出たら、家族が大変なことになったみたいです
柚木ゆず
恋愛
――わたしは、家族に尽くすために生まれてきた存在――。
子爵家の次女ベネディクトは幼い頃から家族にそう思い込まされていて、父と母と姉の幸せのために身を削る日々を送っていました。
ですがひょんなことからベネディクトは『思い込まれている』と気付き、こんな場所に居てはいけないとコッソリお屋敷を去りました。
それによって、ベネディクトは幸せな人生を歩み始めることになり――反対に3人は、不幸に満ちた人生を歩み始めることとなるのでした。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】側妃は愛されるのをやめました
なか
恋愛
「君ではなく、彼女を正妃とする」
私は、貴方のためにこの国へと貢献してきた自負がある。
なのに……彼は。
「だが僕は、ラテシアを見捨てはしない。これから君には側妃になってもらうよ」
私のため。
そんな建前で……側妃へと下げる宣言をするのだ。
このような侮辱、恥を受けてなお……正妃を求めて抗議するか?
否。
そのような恥を晒す気は無い。
「承知いたしました。セリム陛下……私は側妃を受け入れます」
側妃を受けいれた私は、呼吸を挟まずに言葉を続ける。
今しがた決めた、たった一つの決意を込めて。
「ですが陛下。私はもう貴方を支える気はありません」
これから私は、『捨てられた妃』という汚名でなく、彼を『捨てた妃』となるために。
華々しく、私の人生を謳歌しよう。
全ては、廃妃となるために。
◇◇◇
設定はゆるめです。
読んでくださると嬉しいです!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
離婚したらどうなるのか理解していない夫に、笑顔で離婚を告げました。
Mayoi
恋愛
実家の財政事情が悪化したことでマティルダは夫のクレイグに相談を持ち掛けた。
ところがクレイグは過剰に反応し、利用価値がなくなったからと離婚すると言い出した。
なぜ財政事情が悪化していたのか、マティルダの実家を失うことが何を意味するのか、クレイグは何も知らなかった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
溺愛されている妹がお父様の子ではないと密告したら立場が逆転しました。ただお父様の溺愛なんて私には必要ありません。
木山楽斗
恋愛
伯爵令嬢であるレフティアの日常は、父親の再婚によって大きく変わることになった。
妾だった継母やその娘である妹は、レフティアのことを疎んでおり、父親はそんな二人を贔屓していた。故にレフティアは、苦しい生活を送ることになったのである。
しかし彼女は、ある時とある事実を知ることになった。
父親が溺愛している妹が、彼と血が繋がっていなかったのである。
レフティアは、その事実を父親に密告した。すると調査が行われて、それが事実であることが判明したのである。
その結果、父親は継母と妹を排斥して、レフティアに愛情を注ぐようになった。
だが、レフティアにとってそんなものは必要なかった。継母や妹ともに自分を虐げていた父親も、彼女にとっては排除するべき対象だったのである。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【短編完結】地味眼鏡令嬢はとっても普通にざまぁする。
鏑木 うりこ
恋愛
クリスティア・ノッカー!お前のようなブスは侯爵家に相応しくない!お前との婚約は破棄させてもらう!
茶色の長い髪をお下げに編んだ私、クリスティアは瓶底メガネをクイっと上げて了承致しました。
ええ、良いですよ。ただ、私の物は私の物。そこら辺はきちんとさせていただきますね?
(´・ω・`)普通……。
でも書いたから見てくれたらとても嬉しいです。次はもっと特徴だしたの書きたいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる