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⑭
しおりを挟むジャン氏の計画を聞き私達は複数の役人を同行させシンパシー家に訪れた。
ミレイの泣き声と一緒に耳障りな泣き声も一緒に聞こえた。
聞くに堪えないと思ったのは私だけではなかった。
「いい年下おばさんが、ありえない」
「前からおかしいと思ってました。聞き取りをしても途中で泣き出して話にならなかったのですが」
役人達はげんなりとした表情をしていた。
シンパシー夫人は私の元姑とそっくりだわ。
自分の我を通す為なら泣いて周りを味方にして相手を悪いと思い込ませる。
かなり幼稚なやり方だけど煩わしいと思う人間は妥協してしまう。
本人は自分の我儘が通ったと思うけど本当は違うわ。
これ以上付き合いたくなくて仕方ないと妥協しただけなのに。
「母さん」
「今すぐ飛んでいきたいのは解るわ。正直あの女を引っぱたいてやりたいわ」
扉越しにも聞こえてくる。
「サンディはどうして変わってしまったんだろう」
「そうね。貴方が私に紹介した時はここまで酷くなかったのだけど」
そう、今ほど酷くなかった。
だけど、もしかしたらあれが本当の彼女なのか、それとも何かきっかけがあったのか私には解らないわ。
「それで準備は整ったのかしら?」
「ええ、物的証拠はちゃんと」
映像を録音し、彼らがミレイに虐待を行った証拠も手に入れた。
「行くわよ」
「はい!」
私達は扉を乱暴に開けてシンパシー家の前に立つ。
「サンディ…」
「ライアス!」
何故という表情をしているわね。
「これはどういうことなのかきっちり説明してくださる?サンディさん」
「お義母さん…」
私もいるとは思わなかったので真っ青な表情になるけど、そんなこと知った事ではないわ。
「赤ん坊への精神的虐待並びに育児放置の現場押さえましたよ!」
「何よ貴方!」
「お忘れですか?保護協会の者です。先日もお会いしましたが、都合のいいことは忘れるなんて鶏以下の記憶力ですね?」
「なっ!」
女性の役人の方は以前にもサンディさんと接触していたのね。
忘れるなんてどういう記憶力をしているのか疑いたくなるけど、今最優先するのはミレイだわ。
「ああああ!」
「ミレイ…」
泣き続けるミレイにライアスは手を伸ばす。
「ちょっと何をする気!」
「どいてくれ…どけ!」
「きゃああ!」
手は出さないけど怒鳴りつけられたことにショックを受けたようね。
これまで怒ることもなかったのだからしょうがいないでしょうけど、それほ怒っているのだから。
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