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⑥
しおりを挟むそれから私達は様々な困難が待っていたけど、幸福な日々だった・
流行り病で両親を亡くし、事故で夫を亡くした後も周りの人に支えられながら息子を育ててきた。
再婚の話も出たけど、私一人で立派に育てようと決めたのだから。
私の願いもくみ取ってくれたのか、優しい子に育ってくれた。
寂しい思いをさせることもあったし、片親であることで肩身の狭い思いをさせたこともあったけど、真面目に生きていれば幸せになれる。
そう信じてきた。
貴族が通う学校に通い、その年の代表生徒に選ばれ貴族のお邸の会計士として働くことができた。
会計士は国の財政にもかかわることができる。
貴族のお邸で数年間働き実績を得れば宮廷勤めも可能になる。
息子は不正を許さず、真面目な性格を買われ周りからも評価されるようになった。
一人前になった息子を見て私はようやく安堵した。
…はずだった。
あの子が婚約者を紹介してくるまでは。
サンディ・シンパシー。
見た目は美しいけど私との相性は決していいとは言えなかった。
「お初におめにかかります」
「ええ…よろしくねサンディさん」
顔に出ていなかっただろうか。
私があまり彼女の事を好きでないことを。
この時そう感じた。
でも、まだちゃんと人となりを知らないなら否定するのは失礼だと思い長い目で見ることになった。
なのだけど、サンディさんの実母は…
「私の自慢の娘の結婚式ですからこの程度は…それから招待客ですが、教職の方はお呼びにならないでいただきたいのです」
「息子の父親代わりの方を呼ばないとなれば後から恥をかきますわ。それにこんな広すぎる会場はやりすぎですわ」
リンダ夫人はかなりの浪費家で派手好きだった。
二人の収入を考えれば、費用の問題が出る。
「それは婿側の親が援助すべきでしょう?」
「援助はしますが、不要なもの…」
「不要ですって!私の自慢の娘を結婚させてあげるというのに!うわぁぁぁん!」
気に入らなければ泣いて自分の我儘を通そうとする。
元姑と同じ人種だった。
何よりさせてあげるとは何様なのか。
頼んだ覚えはない。
でも彼女からすれば自慢の娘を嫁がせてやるのだから感謝しろと言わんばかりだった。
その所為か親の援助の資金は違いがありすぎたし。
息子の同僚も貴族、もしくは商人以下の身分は参加を認めなかったのだ。
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