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私が子供をなんて夢にも思わなかった。
だって、ずっと子供ができなかったのだから諦めていた。


なのだけど。
マミーが腕の良い女医を紹介してくれた。


その女医さんは女性特有の病を研究している。
特に不妊治療に悩む女性の心強い味方らしいのだけど、近年、子供ができにくい女性には遺伝もあるとのことだった。

後は仕事が過酷だったりするらしいけど。
これまで子供ができないのは女性側の責任とされていたのだが、それは大きな間違いだと聞かされた。

そもそも子供ができないのは女性の責任にするのが間違いだった。
確かに子供を産むのは女性だけど、男性側にも問題は存在することを聞かされたのちに子ができにくい体質かどうか検査をしてもらい、そののちに子供を産むための治療を行うようだけど。


先生曰く、私の年齢ならばまだまだ十分に子供を作るチャンスはある。
肉体的にも若いとのことだった。


体を調べた後に健康そのものだと判断された。


結婚して一年で子ができる人がいればそうではない人もいる。
なのに一方的に私の責任にするのは論外だと叱られたのだ。




先生曰く。



「ちゃんとした準備をして、子作りに励んでください。それでもだ、ダメなら一度治療をしましょう」


そういわれて、私は焦るのを止めたのだ。



でも結婚もしていないのに私は旦那様の子を望んでいるなんてはしたないと思った。





「先生、またぼーっとしてどうしました」


「えっ…いいえ」

「マリーがあんなことを言うからだ」

「だって先生は若いですけど。叔父様はもういい御年ですもの」


お嬢様、旦那様が本気で落ち込んでいます!



「マリー…」


「だって本当の事でしょう?ですから大伯父様も焦っていたのですわ」


旦那様はまだ三十過ぎだわ。
そこまで焦る必要があるのかしら?


「私だって先生とこんな風にいつまでいられるかわかりません」


「お嬢様…」


「私が皇室に入ったら…会うことだって」



さっきまで明るかったお嬢様の表情に影が指す。



皇室に入られたら今までのようにお会いするのは難しい。
もしかしたら年に一度会えるかどうかどうかだ。


だからこそお嬢様は私に…


「マリー、お前の婚約者は私の従弟に当たる方だ」

「だとしても解りませんわ。未だに皇室は閉じられて環境ですわ…内助の功をしろとかいう女官だっていたら私は籠の中の鳥ですわ」


お嬢様が籠の中の鳥なんて想像ができないわ。


でも不安を抱いて当然だわ。



「ですから、私が籠の中の鳥になる前にやりたいことを全部することに決めましたわ。まぁ離縁されたのちの事も考えませんと」


「マリー!」


一瞬しんみりしたけど。


お嬢様はある意味自由にふるまいそうな気がしてきた。
離縁もやりかねないと思うのは私だけではなかったのだから。


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