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⑥
しおりを挟むそもそもリサが離縁を言い出したのは姉さんが実家に戻ってきてからじゃないか。
「姉さんが出戻って来たから全部おかしくなったんだ!」
「ちょっと何を!」
「そのくせ、寄生虫のように!」
「何ですって!」
そうだ。
姉さんが図々しく何度も里帰りを繰り返すからリサは嫌になったんだ。
それまでは何の問題もなかったんだ。
僕たちは円満な関係だったじゃないか。
リサの両親だって僕のをことを好いてくれていたのに。
「姉さんがリサに育児を丸投げするから疲れてしまったんだ!姉さんなんて帰ってこなければい!」
「ロンド!なんてことを言うの!」
「大体母さんは姉さんに甘すぎたんだよ!義母との同居が嫌で、実家に帰って来て。そのしわ寄せを全部リサに押し付けて…どうせ嫁ぎ先で何もできなかったんだろ!」
「やめろロンド!」
そうだ。
姉さんが嫁ぎ先でうまくいかないから実家に逃げてきたからいけないんだ。
嫁のくせに役目を果たせずに。
「そんなに嫌なら同居なんてしなければよかったじゃないか!」
「アンタに言われたくないわよ!稼ぎだって少なくて妻におんぶにだっこなくせに!」
「今はそんな話をしていない!」
「都合が悪くなったら話をそらしたわね!あんたは昔からそうよね!だから捨てられたんじゃない?」
性悪にも程がある。
僕の幸せを壊して、こんな意地の悪いことを言うなんて。
「そんなんだから姑とも上手くいかないんだ。義兄も本当は姉さんが嫌いでわざと単身赴任しているんじゃないか?ああ、もしかしたら他に女がいるかもね」
「アンタね!」
仕事はできても妻としてはまるでなってない。
母親としても何もできないからこそ、義兄は逃げるように仕事をして家に帰ってこないんじゃないか。
「ロンド!謝りなさい」
「そうだ。悪いのはリサさんだろう?」
「そういう二人はどうなんだよ!」
姉さんが全部悪い。
でも、この二人だって悪くないわけがない。
「何を…」
「母さんだってリサを奴隷のように使い倒していただろ。姉さんと一緒に」
「ロンド…貴方、なんてことを」
「父さんだって一緒になってリサを使い倒していた癖に」
姉さんが里返ししている間、何をしていた?
「アンタ、自分は何もしていなかった癖に?」
「僕は…」
「黙って聞いていれば何なの?自分の事は棚に上げて!」
姉さんが僕を睨みつけて怒鳴り散らした。
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