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72元夫の後悔
しおりを挟む離縁の取り消しを行おうとするも教会側は承認しされ、リサに会いに行こうにも取り合ってもらえない。
既に二度の警告を受けているので、リサの実家に行くことはできない。
役人からこれ以上の接触をするなら弁護士が法的手段に出ると脅しをかけて来た。
しかも、僕たちがミレイを誘拐した等とありえないうわさも流れた。
これもすべてリサの両親の所為だ。
少しリサに厳しくしたことを恨んでいるんだろう。
僕たちは嫁を育てただけだ。
子供が出来ないのはリサが悪いのに、どうして…
今まで従順だったリサは、反抗的な態度を取るなんて。
今までならこんな反抗的な態度を取ることはなかったのに、やっぱり原因はあの我儘なお嬢様だ。
リサは両親を亡くした可哀想なお嬢様に同情していた。
だからどんな無茶な命令も聞いていた。
だけど甘やかすことと躾は違う。
リサは家庭教師という名の召使をしていたにすぎない。
なのに僕達には家庭教師としての仕事をしているなんて嘘を言っていた。
お金だって、別に気にする必要はない。
十分の稼ぎがあるのに家庭に縛られるのが嫌だったのか。
ばかばかしい理由だ。
外で働いたから対等になるわけじゃない。
夫を陰から支える事こそ妻の役目だというのに、何故解らないんだ。
同居する前までは僕の言うことをちゃんと聞いていた。
「どうして解らないんだ!」
イライラする。
町では僕を蔑んだ目で見る女性達。
特にあの嫌味な女教師は以前から僕に対して酷い事をいう。
やれリサを大切にしろ。
リサを労われと
十分労わってやっているじゃないか。
ミレイの面倒だって、子供がいないから今から練習させたんだ。
姪と一緒に入れば母性に目覚めるだろう。
そうすれば、良き妻になれるだろうと僕は良かれと思った。
妻としてまるでなっていないリサに僕は離縁を突きつけなかった。
三年子が出来なければ離縁を命じる夫が多い中気長に待っていたんだ。
こんなに優しい夫がどこにいるんだ。
「お客さん、そろそろ店じまいなんですが」
「くそ!」
僕を見る女主人の目が気に入らない。
「客がいるのに何だその態度は。なってない…悪妻が」
「は?」
やはり外で働く女は妻として欠陥だらけだ。
リサは伯爵家に洗脳されているんじゃないかと思っていた矢先。
「最低な夫だこと」
女主人はあろうことか僕を侮辱するような言葉を放ったのだった。
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