今日で都合の良い嫁は辞めます!後は家族で仲良くしてください!

ユウ

文字の大きさ
上 下
71 / 169

71④

しおりを挟む





夢の国のようだった。
すべてが煌びやかな世界で私には縁がないと思った。


社交界に出ることもあった。
学生時代、豪華なパーティーに参加したけど。


桁が違う。


「先生、疲れましたの?」

「精神的に…まるでおとぎの世界というかシンデレラになった気分です」


本当にね。
私にとっては別世界だった。


「先生、この程度で驚かれては困りますわ」

「リサ、慣れればどうということはない」

「慣れますか…」


私の実家はそこそこ資産はあるけど、基本倹約かだった。
商売とは使う時は使うけど、それ以外は質素だ。


成金等の一代限りの資産家は違うのだろうけど。
本当のお金の使い方を見誤ることは三流の商人なのだから。


その考えが体に染みついている。


「リサ、君は伯父上と似たような考えを持っている」

「大伯父様は先帝陛下なのに倹約かですものね、無駄遣いという言葉が大嫌いですもの」

「はい?」


先帝陛下が倹約家?
そんな話を聞いたことはない。

だってご自身で事業を立ち上げ、お金の神様とも言われる程。
当初、先帝陛下が皇族に養子縁組された時代は帝国は傾きつつあった。

現在は安定しているのは先帝陛下の斬新な改革の賜物だと聞いている。



「言ってなかったが伯父上の実家はそこまで裕福ではなかったんだ」


「大体、湯水のようにお金を使っている馬鹿が財を失うのですわ。家柄だけでお金のない高位貴族は沢山いましてよ。その癖大伯父様にお情け頂戴の方が多いのです」

「お嬢様…」


確かに、お金の使い道を間違えている貴族は多い。
自身の浪費でお金がない領地持ちの貴族は領民に負担を強いて赤字を黒字にしようとしている。


「伯父上は、三十年前に皇居の使用人を大量に解雇して、側妃も切った」


「それは…聞いております」


先帝陛下の前の代の皇帝陛下は女癖が酷く、愛人を50人も抱えていた。
その所為で国庫は赤字状態で、側妃もやりたい放題するあまりに後宮が赤字の原因になっていた程だ。


でも実際には数名の皇妃が横領をしていたという話もある。



「伯父上の代で、側妃は廃止している。一部では世継ぎ問題を騒いでいる者もいたが」

「別にいないなら大伯父様のように王侯貴族から養子縁組を取ればいいのですわ。血が繋がっても馬鹿の血では使い物にならないでしょう」


「マリー、頼むから皇居でそんなことを言わないでくれ」


ああ、お嬢様を見る旦那様の目が死んでいる。
言っていることは正しいのに私も胃が痛くなるのだけど。


この後すぐに更に胃が痛くなる体験をするなんて知る由もなかった。


しおりを挟む
感想 452

あなたにおすすめの小説

自分勝手な側妃を見習えとおっしゃったのですから、わたくしの望む未来を手にすると決めました。

Mayoi
恋愛
国王キングズリーの寵愛を受ける側妃メラニー。 二人から見下される正妃クローディア。 正妃として国王に苦言を呈すれば嫉妬だと言われ、逆に側妃を見習うように言わる始末。 国王であるキングズリーがそう言ったのだからクローディアも決心する。 クローディアは自らの望む未来を手にすべく、密かに手を回す。

離婚したらどうなるのか理解していない夫に、笑顔で離婚を告げました。

Mayoi
恋愛
実家の財政事情が悪化したことでマティルダは夫のクレイグに相談を持ち掛けた。 ところがクレイグは過剰に反応し、利用価値がなくなったからと離婚すると言い出した。 なぜ財政事情が悪化していたのか、マティルダの実家を失うことが何を意味するのか、クレイグは何も知らなかった。

いや、あんたらアホでしょ

青太郎
恋愛
約束は3年。 3年経ったら離縁する手筈だったのに… 彼らはそれを忘れてしまったのだろうか。 全7話程の短編です。

皆さん勘違いなさっているようですが、この家の当主はわたしです。

和泉 凪紗
恋愛
侯爵家の後継者であるリアーネは父親に呼びされる。 「次期当主はエリザベスにしようと思う」 父親は腹違いの姉であるエリザベスを次期当主に指名してきた。理由はリアーネの婚約者であるリンハルトがエリザベスと結婚するから。 リンハルトは侯爵家に婿に入ることになっていた。 「エリザベスとリンハルト殿が一緒になりたいそうだ。エリザベスはちょうど適齢期だし、二人が思い合っているなら結婚させたい。急に婚約者がいなくなってリアーネも不安だろうが、適齢期までまだ時間はある。お前にふさわしい結婚相手を見つけるから安心しなさい。エリザベスの結婚が決まったのだ。こんなにめでたいことはないだろう?」 破談になってめでたいことなんてないと思いますけど?  婚約破棄になるのは構いませんが、この家を渡すつもりはありません。

正妃である私を追い出し、王子は平民の女性と結婚してしまいました。…ですが、後になって後悔してももう遅いですよ?

久遠りも
恋愛
正妃である私を追い出し、王子は平民の女性と結婚してしまいました。…ですが、後になって後悔してももう遅いですよ? ※一話完結です。 ゆるゆる設定です。

そんなに優しいメイドが恋しいなら、どうぞ彼女の元に行ってください。私は、弟達と幸せに暮らしますので。

木山楽斗
恋愛
アルムナ・メルスードは、レバデイン王国に暮らす公爵令嬢である。 彼女は、王国の第三王子であるスルーガと婚約していた。しかし、彼は自身に仕えているメイドに思いを寄せていた。 スルーガは、ことあるごとにメイドと比較して、アルムナを罵倒してくる。そんな日々に耐えられなくなったアルムナは、彼と婚約破棄することにした。 婚約破棄したアルムナは、義弟達の誰かと婚約することになった。新しい婚約者が見つからなかったため、身内と結ばれることになったのである。 父親の計らいで、選択権はアルムナに与えられた。こうして、アルムナは弟の内誰と婚約するか、悩むことになるのだった。 ※下記の関連作品を読むと、より楽しめると思います。

だってお義姉様が

砂月ちゃん
恋愛
『だってお義姉様が…… 』『いつもお屋敷でお義姉様にいじめられているの!』と言って、高位貴族令息達に助けを求めて来た可憐な伯爵令嬢。 ところが正義感あふれる彼らが、その意地悪な義姉に会いに行ってみると…… 他サイトでも掲載中。

平民の娘だから婚約者を譲れって? 別にいいですけど本当によろしいのですか?

和泉 凪紗
恋愛
「お父様。私、アルフレッド様と結婚したいです。お姉様より私の方がお似合いだと思いませんか?」  腹違いの妹のマリアは私の婚約者と結婚したいそうだ。私は平民の娘だから譲るのが当然らしい。  マリアと義母は私のことを『平民の娘』だといつも見下し、嫌がらせばかり。  婚約者には何の思い入れもないので別にいいですけど、本当によろしいのですか?    

処理中です...